ストレスは感情コントロールで上手に “避ける” ! ストレス軽減の手法『回避型コーピング』

プレッシャーや人間関係、理不尽な出来事など、ビジネスパーソンがストレスを感じるものの多くは仕事によるものです。その際、自分に合った方法でストレスにうまく対処することを「ストレスコーピング」といいます。今回はその中の、直接的な働きかけが難しい場合に有効な「回避型コーピング」に着目し、その有用性を高める“捉え方”をご紹介します。

ストレスコーピングの種類

厚生労働省のe-ヘルスネットによると、ストレスコーピングは大きく以下の2つに分けられます。

問題焦点型コーピング

たとえばストレッサー(ストレスのもと)が対人関係の場合、やるべきこと、できることなどを考えて対策を練り、対話の場を設ける、誰かに援助を頼むなど、相手に直接働きかけて問題を解決しようとすることです。ストレッサーを変化させることが可能であれば、この対処が適当でしょう。

情動焦点型コーピング

たとえばストレッサーが対人関係の場合、ストレッサーそのものに働きかけるのではなく、それに対する自分の考え方や感じ方を変えようとします。ストレッサーを変化させることが難しければ、このコーピングが適当だと考えらえます。

冒頭に記した「回避型コーピング」は、後者の情動焦点型コーピングに含まれます。

回避型コーピングとは?

九州大学大学院人間環境学府・森田美登里さんの論文を参考にすると、回避型コーピングの主な行動パターンは次のとおり。

・考えないようにする ・あきらめる ・開きなおる ・どうにでもなれと思う ・何もしないで状況の変化を見守る ・不運だとあきらめる ・問題から遠ざかる ・その状況を避ける

あきらめや思考回避でストレスを低減しようとすることから、回避型コーピングは否定的に捉えられることが多いのだそう。ストレス反応を増加させるという影響が示された研究もあるといいます。

しかし、同氏らが大学生303名を対象に実施した2003年の調査では、回避型コーピングを「ストレスから逃げる」「何もせずあきらめてしまう」という側面からのみ捉えず、「自律的にストレッサーと距離をとり、意識をストレスから分離した」と肯定的に捉えると、ストレス低減に有効な影響を及ぼすと考察されています。

満足感がストレス反応にいい影響を及ぼす

聖徳大大学院・富岡美帆さんらが論文で発表した、質問紙調査法を用い大学生・大学院生の男女214名に対し行った調査(2009年)においても、自分が選んで行ったコーピングへの満足感を経ると、ストレス反応にいい影響を及ぼすという結果が示されています。

たとえストレスをもたらす物事、人物、状況を変えられず、それらを回避したとしても、自分が選択したコーピングに満足し、「自分ができることは行ったのだ」「これがもっとも可能で適切な対処だったのだ」と考えることで、ストレス反応の軽減につなげられるわけです。逆に、逃げた自分を責めると、よりストレスが増幅するそう。

誰しもストレスの根源を変えたい、なくしたいと思うもの。そうしない限り、根本的な問題は解決されないと考えてしまうかもしれません。問題焦点型コーピングを行ってストレスを解消した人が、ストレスを回避しようとする人に対し、「直接働きかけるべき」とすすめる場合もあるでしょう。しかし、人や状況によって、それは無理あるいは有効ではない場合があります。

大切なのは、自分自身が、自分なりのストレスコーピング方略に満足することです。ある意味、方略自体に正誤はないのです。

ストレスを下げる“こと”をイメージするだけでもいい

臨床心理士の伊藤絵美さんによれば、ストレスが下がる場面や行動をイメージするだけでも、立派なストレス対処になるのだそう。つまり、自分にとって心地よい何かを想像するということです。例として挙げられている男性のストレスコーピングには、

・「好きな豚骨ラーメンをイメージ」 ・「ハワイ旅行を想像」 ・「宝くじが当たったと妄想」

といった、親しみのわく内容もあります。中には「叱っている上司の顔のほくろを数える」といった、一見不謹慎に感じられるものもありますが、あくまでもこれは、自分がつらい状況にあるという現実から、いったん意識をほかに移してダメージを最小限に抑えるコーピング。そうすることで、「もうダメだ、最悪だ」とストレスに押しつぶされそうになるのを防ぐわけです。何もかもすべてを真面目に受け止めていると心身が持ちません。うまくバランスをとってくださいね。

*** 肯定感があれば有用に働くので、自由にご自身のコーピングをリストアップしてみてはいかがでしょう。ちなみに筆者の場合はストレスがたまると「一切思考を停止して布団に入り寝てしまう」を選択します。あるいは「やりたくないことをやらずに、穏便に済むよう必死に考える」という選択もしてみます。自分にとっては、なかなか役立つ回避型ストレスコーピングですよ。

いずれにせよ、慢性的なストレスは心身の健康に悪影響を及ぼします。そして、心身の健康は仕事をするうえでの基盤となるものです。ご自身のストレスコーピングを行った際には、ぜひ自分の行動を肯定してあげてください!

(参考) e-ヘルスネット|情報提供|ストレスコーピング NHKオンライン|NHKスペシャル「シリーズ キラーストレス」第2回内容 森田美登里(2008),「回避型コーピングの用いられ方がストレス低減に及ぼす影響」,九州大学大学院人間環境学府 Vol.21,No.1,pp.21-30. 富岡美帆,小澤真(2010),「コーピング方略への満足感がストレス反応に及ぼす影響」,日本健康心理学会大会発表論文集,Vol.23,p18.

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