伝わらないのは “言葉の解像度” が低いから。「3つの問い」で誰でも言語化が得意になる。

皆さんは日ごろ、自分の気持ちや考えを、思った通りに表現できていますか?

「感動する映画を見たときに、その感動を表現しようとしても、言葉が何となく浅くなってしまう。もっといい表現があるはずなのに……」 「会議での上司の発言に対してとっさに感想を求められたとき、自分が伝えたいことがうまく言えない」

言いたいことがうまく言葉にできない。このようなもどかしい経験をしたことがある人もいるのではないでしょうか? それはもしかしたら、あなたの「言葉の解像度」が低いからなのかもしれません。

今回は、そんなもどかしさを解決する、言葉の解像度を上げるための方法についてご紹介していきます。

言葉の解像度とは?

言葉の解像度とは、本当に伝えたいことがどのくらい鮮明に言葉で表せているかを示す概念のこと。株式会社電通のコピーライターである梅田悟司氏が述べたものです。

梅田氏によれば、言葉は大きく以下の2つに分けることができるそうです。

(1)外に向かう言葉……音声として、外に発するための言葉 (2)内なる言葉……頭の中で思考を深めるための言葉

そして、言葉を発する、つまり、外に向かう言葉として考えを言語化するためには、まずは「内なる言葉の解像度」を上げることが特に重要なのだと言います。内なる言葉は、その人の本心(思考や感情)を明らかにするための道具とも言い換えられるでしょう。

例えば、写真や画像は、解像度が低いとガタガタとしていたりモザイクのようなモヤがかかっているように見えたりして、その画像が示す文字や絵を認識することが難しくなりますよね。言葉の解像度についてもこれと同じように考えます。言葉の解像度が低い状態というのは、自分の思考や感情を自分自身で正確に把握できておらず、言葉として表現することが難しい状態なのです。

具体的に言うと、「うれしい」という言葉は単純化されすぎて、解像度が低い状態であるといえます。では「うれしい」の解像度を高めてみましょう。

(例)誕生日プレゼントを友達からもらって「うれしい」とき 「うれしい」 ↓ 「誕生日プレゼントをくれてありがとう! すごくうれしい」 ↓ 「誕生日プレゼントをくれてありがとう! これ、私が前に欲しいって言っていたものだよね。覚えててくれたんだね、すごくうれしい」

2つ目の文章では、プレゼントをもらったことに対して「うれしい」ということが相手に伝わっていますね。3つ目の文章ではさらに、もらったことに対してだけではなく、自分が言っていたことを友達がわざわざ覚えていてくれたことに対して「うれしい」と述べることができています。

このように、言葉の解像度を高めていくためには、その感情や考えがなぜ湧いてきたのか、自分自身で正確に把握することが重要だと考えられます。では、自分自身の気持ちや考えをしっかりと把握するにはどうすればよいのでしょうか?

内なる言葉の解像度を高める方法

梅田氏が実践する、気持ちや思考を深める方法は全部で7つあるのですが、筆者が実際にやってみて、簡単かつ有効であった下記の方法についてご紹介したいと思います。

(1)頭の中で思っていることを書き出す 〇用意するもの:フセン、ノート 〇やり方:フセンに、今、自分が思っていることや感じていることを書き出す。 〇例:「趣味と仕事を両立したい」「友人を大切にしたい」「日曜日は家族と良い時間をすごしたい」など、今頭の中にある問題や考えを深めたいテーマをすべて書き出す。「現在の感情」などのシンプルなものも可。

(2)「なぜ?」「それで?」「本当に?」の3つを問い、答えを書く 〇用意するもの:先ほどのフセンとA4用紙 〇やり方:A4用紙1枚につき、1つのテーマのフセンを貼り、そのテーマごとに3つの問いを書き込んでいく。 〇例:画像を参照

(1)のステップで書き出したことについて、(2)で思考を深めていきます。この3つを問う目的は以下の通りです。

「なぜ?」……考えを掘り下げて、価値観や欲求について考えていくこと。 「それで?」……考えを進めるため、それをすると具体的にどのような効果があるのか、あらゆる可能性について想像すること。 「本当に?」……本当にそれをする必要があるのか? について改めて見直し、様々な観点を持てるようにすること。

(画像は筆者にて作成)

画像の右側には余白があるかと思いますが、筆者の場合、この余白は、また後日そのテーマについて考えるときに使用します。その際には、同じペンの色を使っても構いませんが、色を変えるとより分かりやすいかもしれません。この方法は、感情や考えだけでなく、様々なテーマに応用が可能ですよ。

言葉の解像度をあげるメリット

上記では、どのように言葉の解像度を上げるのかを述べてきました。 では、言葉の解像度を上げることができるようになると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。

1. 誤解されることがなくなる 皆さんには、話しているうちに結局何が言いたいのかが分からなくなってしまったり、言いたいことではないことを言ってしまったり……そんな苦い経験がある人もいらっしゃるかもしれません。このような、自分が本当に言いたいことが理解されずに終わってしまうといった失敗は、言葉の解像度を上げることで回避できますよ。

言葉の解像度を上げる過程では、自分の気持ちや考えを深堀りし、しっかり理解することになります。そのため、相手に対し何を伝えたいかも明確になります。伝えたいことをはっきりと意識しながら話すことができるようになるのです。

2. 共感を得やすくなる 言葉の解像度が上がると、共感を得やすくなります。なぜなら、人は「理由」を知ることで、共感や納得をするからです。

例えば、セールスコピーなどでは、消費者がその商品を「買うべき理由」や「使うべき理由」を明確に伝えることが大事だと言われています。消費者に商品を購入させるには、その商品の必要性や魅力に共感させ納得させることが必要だからです。セールスコピーには、消費者が何となく感じていること(その商品の魅力や必要性)を改めて言語化してあげる役割があるのです。

このように、明確な言語化は相手の心を動かすためにも有効であるといえるでしょう。

3. 気づきが多くなる 明確な言語化を行うことで、自分の中でも多くの気づきが得られます。

私たちが言語化をする前には、なんとなく感じていたり考えていたりする「無意識」の状態があります。しかし、そこから言語化するためには、その「無意識」を「意識」して、言葉に直す必要があります。そのため、言葉にしようとすればするほど、私たちは自分の本心を「意識」し向き合うことになるのです。

例えば、あなたが仕事がなかなかうまくいかず、落ち込んでいるとしましょう。仕事が時間内に終わらなくて、自分ではなんとなく「仕事ができない」という自覚があるとします。そんなときは、「なぜ?」「それで?」「本当に?」を問いながら言葉の解像度を上げ、「なんとなく仕事ができないと思っている状態」に向き合ってみてください。

そうすると、言葉の解像度を上げる前には「なんとなく仕事ができない」程度にしか考えられていなかったのが、「電話をとる件数が多く、電話をとると集中が切れて、自分の仕事に戻った時にうまく集中モードに入れない。だから仕事がなかなか終わらない」ということに気付くかもしれません。

このように、言葉の解像度を上げることで「なんとなくそうは思っているけど言語化をしていない状態」から脱し、自分の現状に正確に気づくことができるようになります。深く内省をすることになり、気づきが促進され、その後の成長につなげることができるでしょう。

*** 言葉の解像度を上げるために必要なことは、「自分の本心を意識する」こと。最初は、時間がかかったり難しいと感じたりするかもしれませんが、納得いくコミュニケーションができるようになるだけでなく、自分の成長にも還元されていくメリットもあります。「なんとなく思っていることを言葉にしてみる」ことに、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

(参考) 梅田悟司著(2016),『「言葉にできる」は武器になる。』,日本経済新聞出版社. 日本マーケティング協会|マーケターにとって大事なのは、言語能力ではなく言語「化」能力だ ビジネスのためのWeb活用術。|コピーライティングに説得力を持たせる5つのコツ 次元クリエイト|人々から【共感】を得るための表現方法4つのヒント・コツ

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