○○勉強法、○×記憶術……世間には、記憶術や勉強法に関する情報があふれていますが、自分に合ったものを選び、それを実際に最後までやり抜くのは、なかなか至難の業ではないでしょうか。

そもそもどんな勉強法が自分に向いているかわからない。実際にやるには時間がかかりすぎる。実践してみたところつまずいてしまったが、解消法はわからない……。私自身、そんな悩みに直面したことが何度もあります。

そこで、勉強法を抜本的に変えなくても、普段の勉強スタイルにちょっとプラスして意識するだけでぐんと差がつく5つの勉強テクニックを紹介します。

1. 全体像把握から始めよ

勉強は1にも2にも全体像の把握です。いきなり細部から勉強を始めてしまうと、その分野をマスターしたとしても、応用問題に対応できなかったり、他の項目とのつながりが理解できていないせいで、改めて全体像から勉強し直さなければならなくなったりしてしまいます。

例えば、古典の勉強をしていたとして、古典文法の活用表とにらめっこして、それだけを覚えようとしても、実際の文章の中でどのように出てくるのかがわからなければ、覚える意味がありませんよね。活用を覚えたら次に何をすればいいのか、覚えた活用がどう役立つのか、なんてこともわかりません。

このような無意味な勉強にならないためにも、ある科目の勉強を始める場合にはまず、その科目自体の全体像を把握するようにしましょう。

歴史を勉強するのであれば、最初におおよその流れを漫画やドラマで見ておくといいでしょう。国の歴史や時代の歴史など、何の歴史を学ぶのかによって、全体像が把握できる適切な素材を探してください。先に全体的な流れや主要な人物を知っておけば、勉強する過程で「そういえばここでこういう分野も関連していたな」と関連付けながら学ぶことができます。また、細部を勉強する場合の優先順位や重要度合いもつかみやすくなるので、学習計画を立てるのがぐっと簡単になります。

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2. 切り替えるな

「机に向かっている間だけ勉強に集中し、それ以外の時間は休憩! メリハリが大切!」といったように、勉強と休憩をすっぱり切り替える人がいます。

しかしこのような勉強法では、スキマ時間が全く活用できません。スキマ時間を効率よく使えば、勉強効率のみならず生活クオリティーまで上げられるのです。

・信号待ち時間、50秒
・電車待ち時間、数分から10分
・エスカレーター、1分
・シャワー時間、5分
・寝る前、10分
・トイレ、1分
・歩行時間、数十分
・寝てる時間
・お昼を注文して待ってる時間、5分
・電車に乗ってる時間、1時間

(引用元:HiCareer|第29回 隙間時間の見つけ方、活用法&時短勉強法!

これは、小熊弥生さんという同時通訳者の方の1日の隙間時間の一覧です。小熊さんは、独自の勉強法に加え、これらのスキマ時間を活用することで、TOEICの点数をたった半年間で、280点から800点へ、さらには950点にまで伸ばしたのだそうです。

一つ一つは、本当にちょっとした時間ですが、合計すれば大きな時間ですよね。スキマ時間を一切切り捨てて、勉強するのは机に向かっている時間だけ、と限定してしまうのは得策とは言えないのです。

スキマ時間には、ちょっとした文法書を読んだり、単語帳をめくったりして、少しの時間でもできる勉強をしてみてください。また、電車に乗っているときのように少し長めに時間が取れる時には、古典作品に触れてみるのもいいでしょう。こうした小さな積み重ねが、あとで机に向かって勉強するときの効率アップに役立つのです。

最初はトイレの壁に単語を貼って眺めるだけでも大丈夫。できるところから始めてみましょう。

3. 質より量

皆さんは「10,000時間の法則」というものをご存知でしょうか。世の中で成功者として知られている人たちは、その分野においておおよそ10,000時間もの時間をかけているそうです。上達や成功には、絶対的なトレーニング量(時間)が必要だということですね。

「勉強の“質”を高めることが肝心だ」とよく言われます。質は、確かに大切でしょう。どれだけ勉強の量を積み重ねたところで、全く効果のない方法でやっていれば、その時間は無駄になってしまいます。ですがその逆もまた然りです。勉強の質は非常に高くても、トータルの勉強時間が圧倒的に少なければ、決して効果が出ることはないのです。

「量より質を求めてしまった」ことが原因で、勉強に躓いてしまうことがあります。勉強していても目に見える効果がなかなか出ないとき、「私がやっている方法は合っているのかな?」と不安になり、「もっと質の高い勉強法があるはずだ」と別の勉強法を探し始めてしまう。その結果、勉強がうまく進まない。これが、量より質を求めた勉強をしてしまうことによる失敗の例です。

10,000時間の法則から分かるように、そもそも、勉強の成果が出るまでにはどんな人であれ一定時間時間が必要です。そのことを理解していないと、このような失敗に陥ります。勉強し始めてもすぐにやり方を変えてしまうのは、せっかく10,000時間に向けて時間を積み上げ始めたのにも関わらず、もったいないことなのです。

いわゆる「王道」の勉強法の中には、一見回りくどいものもあるかもしれません。しかし、継続すればきちんと成果がでる方法だからこそ、王道と言われているわけです。

成果が出ずに悩んだとき、この勉強法でいいのか迷ったときは、「質より量」と言い聞かせながら量を積み重ねることに専念しましょう。結果が出るのは、もうひと踏ん張りを乗り越えられたその先ですよ。

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4. アウトプットが基本

勉強に失敗する人の中には、「教科書の買いすぎ」「ノートをきれいにまとめすぎ」といった特徴が散見されます。これらは一言でまとめると「インプットを重視しすぎた勉強法」だといえます。

勉強というものは、単純化するとインプットとアウトプットの繰り返しです。新しい知識を頭に入れて、それを問題を解くという形式でアウトプットする。この流れがスムーズに行えれば、たいていの問題は解くことができるはずなのです。

ここで一つ考えてほしいのですが、インプットとアウトプット、どちらが勉強として楽でしょうか? ……そう、インプットですね。アウトプットは、自分の知識を総動員して能動的に考えないといけませんが、インプットであればテキストやノートに書いてある知識を頭に入れていくだけなので、受動的な作業とも言えます。

人間は放っておくと楽な方に流れてしまう生き物。意識しないでいると、ついついインプットに時間をかけすぎてしまったり、勉強に躓いた時の原因をインプットに使っている教材に求めて、もっと質のいいインプットによって問題解決を図ろうとしたりしてしまいます。

ですが、実際に試験の場で求められるのは、与えられた問題を解くというアウトプットの過程だけなのです。いくらインプットがうまくても仕方ありません。

インプットはアウトプットの手段、と割り切って、アウトプット重視の勉強に切り替えましょう。

5. 同じ環境に甘んじるな

「自習室は毎回同じ席」「家の机じゃないと勉強できない」なんていう人はいませんか。実はこれは理論上はちょっぴり効率の悪い勉強法です。

「文脈依存記憶」というものがあります。例えば、あなたが自宅の1階にいるときにはさみが必要になり、2階に取りに行ったとします。その途中で家族に話しかけられでもして、2階に上がったときには、いったい自分がなにをしにここに来たかを忘れてしまいました。ですが、1階に戻ってみると「ああはさみだった」と思い出す――。このようなことを「文脈依存記憶」といいます。

この例でみれば、1階の部屋という環境で記憶したことは、2階という別の環境よりも、1階という同じ環境のほうがより思い出しやすい、ということですね。

このことは、私たちの普段の勉強にも当てはまります。図書館で勉強したことは図書館で思い出しやすいですし、家で勉強したことは家で思い出しやすい知識となっています。だからこそ、いつも同じ環境で勉強すると「心地よい」のですが、試験本番は必ずしも自分が慣れ親しんだ環境で行われるわけではありません。むしろ、そうでないほうが多いでしょう。

環境に依存した記憶となってしまわないようにするためには、普段から様々な場所で勉強し、慣れ親しんでいない場所でも記憶を思い出す練習を積んでください。

また、試験直前であれば、試験会場に似た雰囲気の場所で勉強すると良いでしょう。多くの人が机に向かって勉強する図書館や自習室のような、本番の会場に近い場所を積極的に利用することで、文脈依存記憶をポジティブに活用することもできます。

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ここで紹介した5つのテクニックは、普段の勉強においてちょっと意識するだけで格段に勉強の結果が変わってくる、大事なことばかり。ぜひ頭の片隅に置いておいてくださいね。

(参考)
ザ・チェンジ|勉強の方法を見直して学習力をグングン伸ばす9つのポイント
Study Hacker|スキマを制する者は勉強を制する! スキマ時間勉強法
HiCareer|第29回 隙間時間の見つけ方、活用法&時短勉強法!
HappyLifeStyle|質を求めた勉強は失敗する。スピードのある勉強が成功する。
静岡大学情報学部|文脈依存記憶
NAVERまとめ|“天才”に生まれ変わる「10000時間の法則」