みなさんは、勉強を続けていますか? 試験期間や資格受験等の前に突発的に勉強することはあっても、その後も継続して勉強できているという人はそう多くはないでしょう。
勉強に限らず、続けることは難しいですよね。では、コンスタントに勉強を続け、習慣化させるにはどうしたらいいのでしょうか。今回は、脳科学的に効果のある、勉強をし続けるための方法をご紹介します。
どうして勉強を続けられないのか
勉強を継続させようと思っても、ついつい「今日はいいか……」とだらけてしまい、習慣化させることができない人は多いのではないでしょうか?
なぜ、やる気はあるのに三日坊主になってしまうのでしょうか。 実は、人間の本能によるものなのです。人間は、本能的に「いつも通り」を安全だと捉え、「変化」を脅威と捉えます。そのため、新しくもたらされた変化には抵抗し、「いつも通り」を維持しようとしてしまうのです。
つまり、勉強をし続けるために必要なのはやる気や根性ではありません。本能にあらがえるだけの工夫や努力が必要なのです。
1.勉強を“いつも通り”にしよう
そんな「いつも通り」を維持しようとする本能のために三日坊主に陥りがちな勉強習慣ですが、勉強することを「いつも通り」にしてしまえば何も怖くありません。まずは習慣化させる工夫をしましょう。
勉強することを含めた行動を習慣化させ、脳に「これがいつも通りの習慣だ」と思い込ませることで、いつも通りを維持しようとする本能を利用してしまうことができます。
例えば、「スマホの電源を切ったら机に向かう」、「通勤中、電車に乗ったら参考書を開く」など自分の中でルールを作り、「スマホの電源を切る」、「電車に乗る」などをスイッチにしてみましょう。毎日続けるうちに、自然と習慣付いていくはずです。
2.とりあえず始めよう
どんなに億劫でも「とりあえず始める」ことが大切です。
例えば、普段は面倒臭くて滅多に片づけない部屋をテスト前の現実逃避で片付け始めたら止まらなくなってしまって気づけばピカピカになっていた、という経験はありませんか? これは、心理学者クレペリンが提唱した作業興奮と呼ばれる心理作用によるものです。ひとたび作業を始めると、脳の側坐核と呼ばれる部分が刺激されます。この側坐核が刺激されると、作業を労せず続けることができるのです。
最初は無理やりにでも机に座って、テキストやノートを開きましょう。また、この側坐核は適度な運動でも刺激されるため、ガムを噛んで顎の筋肉を動かすこともオススメです。
3.ゴールを細かく設定しよう
作っている資料の完成まであと数行だから、と昼休みの時間になっても「完成させてしまおう!」と一気に集中力が上がることはありませんか? これは、ゴールが見えてくると集中力がアップする接近勾配の法則によるもの。
この法則を利用して細かくゴールを設定することで、やる気を増進させることができます。例えば、100ページの問題集を終わらせることが最終目標の時は「1日5ページ」程度の細かな目標を設定すると、「あと少し」という気持ちで毎日高い集中力を持って臨むことができるのです。また、目標の達成によってドーパミンも分泌され、よりやる気も出てきます。
このように、作業興奮を使って勉強を始め、接近勾配の法則でやる気を増進させると良いでしょう。
4.時間を区切ろう
時間を管理して勉強を行う、ポモドーロ・テクニックと呼ばれる勉強法もオススメです。 これは25分間の集中タイムと5分間の休憩を交互に繰り返すというもの。タイマーなどを使って徹底的に管理し、25分の集中タイムを過ぎたらキリが悪くても必ず一旦作業をやめます。時間を区切ることで、より集中して取り組むことができるのです。
また、人にはツァイガルニク効果と呼ばれる、達成できた物事よりも達成できなかった物事や中断している物事の方が強く記憶に残っている、という現象があります。 例えば、テレビドラマでは核心に迫るシーンでCMが入ったり、誰が犯人だか分からない状態のまま劇場版に続くようなことがありますよね。これらは、中断させることで人々の関心を引くツァルガイニク効果の応用とも言えます。
ポモドーロ・テクニックで時間を管理し、キリの悪いところで勉強を中断することで、中断された勉強に関する記憶が強く残り、継続しやすくなるのです。
*** 勉強など、何かを習慣化させたくてもついつい三日坊主に陥りがちですが、いろいろな工夫を凝らして勉強を習慣化させたいですね。
なお、集中力を保つ方法については、「勉強に集中する方法まとめ。音楽・場所・食べ物を利用しよう」でも詳しく紹介しています。ぜひご参照ください。
(参考) PRESIDENT Online|なぜ、何をやっても三日坊主になるのか? ダイヤモンド・オンライン|第4回 使うのは自分の脳内物質だけ!今すぐ集中、やる気アップさせるコツ NIKKEI STYLE|驚くほど集中力アップ 生産性が高まる3つの新発見 Wikipedia|ツァイガルニク効果 マナトピ|脳科学が教える学びを続けるコツとは?