「集中できない…」と悩むのならば “心の知能指数” を高めよう。そのためにできる8つのアドバイス。

感情的知性、心の知能指数とも呼ばれる EI(EQ)は、企業・教育機関・公共機関など、さまざまな教育環境で活用されています。この概念を広めた心理学博士のダニエル・ゴールマン氏によれば、心の知能指数が高い管理者ほど成功を収めているそう。

また EI は、ストレス軽減と集中力アップにも有効なのだとか。さっそく説明しましょう。

EI(感情的知性)の要素と影響

EI(感情的知性・心の知能)は、2人の心理学者、ピーター・サロベイ博士とジョン・D・メイヤー博士が1990年に発表した理論です。研究者によっては、IQ(知能指数)と同様の認識能力と考えているそう。

日本では EQ(Emotional Intelligence Quotient)と表記されることが多く、英語では EI(Emotional Intelligence)と表記されるのが一般的なのだそうです。その要素とされているのは、以下の4つ。

1.自己認識能力:自分の感情を客観的に捉えて評価し、自信をもてる 2.自己管理能力:自分の感情をコントロールし、あらゆる状況で柔軟に対応できる 3.社会性:他人の感情を感じとり、考え方や論点、人間関係などを理解できる 4.社会的技術:コミュニケーション能力、チームプレーヤーとしての技量がある

貨物航空大手の FedEx Express 社が EQ をリーダーシップ研修に取り入れたところ、主要なリーダーシップ能力が 8〜11 % 向上し、参加者の半数以上が効果を実感したそう。また、参加者の72%が「決定判断力の大幅な改善」を報告したとのことです。

ストレス管理と集中力の向上にも役立つ EI

会議が長引いて時間を奪われ焦ったり、メールの返信や書類の提出を急かされたり、一方的な電話に振り回されたりといった、注意を散漫にする外部からの刺激だけではなく、それによって生じるストレスも、集中を妨げる大きな原因だといいます。

「短期的なストレス」は、ストレスホルモンのコルチゾールレベルを上げてアドレナリンを増やし、“全力で締め切りに間に合わせる”など瞬発的なパワーを与えてくれますが、「長期的なストレス」は、コルチゾールを持続的に増加させるため、集中力や記憶力などに悪影響を及ぼすそう。

しかし、ペンシルバニア大学教育大学院教員のカンディ・ウィーンズ氏は、そのように精神的な緊張を事欠かないビジネスパーソンでも、ストレスの管理や集中力の向上は可能だと話します。

それには、EI(感情的知性)が有効とのこと。

ウィーンズ氏は、EI(感情的知性)を使ったコンピテンシーの違いで、ストレスに押し潰されるかどうかが決まると、自らの研究で確信しています。

カギは「 EI 」を使った「成果に結びつく行動特性」

「コンピテンシー」は、次のように説明されています。

コンピテンシーとは「職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性」です。

(引用元:カオナビ人事用語集|コンピテンシーとは? モデル化、メリット、課題、評価の導入、面接について

つまり、カンディ・ウィーンズ氏は、感情的知性(EI)を活用した成果(ストレス管理)に結びつく行動特性(コンピテンシー)が集中力を向上させることにもつながると、説明しているわけです。

そのためにも、同氏は次のことを把握しておくよう、アドバイスしています。

EI を使い、ストレスを管理して集中力を上げる第一歩

1.ストレスの原因を書き出す

何にストレスや不安を感じるか書き出し、自分で「何とかできること」と「どうにもできないこと」に分ける。後者については、「どうしようか」ではなく「どう受け止めていくか」と、客観的になって考える。

2.集中力低下の変化をたどる

臨床心理学者のマイケル・リプソン氏によると、集中力低下の経路をたどり、「どこで、どんなふうに集中が途切れたか」理解することによって、気をつけられるので集中力を維持できるそう。

3.集中できないときの気分を探る

集中できないときの気分を把握しておけば、ストレスの感覚に気づくことができ、「ストレス→集中力低下→さらなるストレス→さらなる集中力低下」といった負のスパイラルを警戒できる。

4.集中力を失う状況の把握

「たとえば大事な会議中、ボーっとほかのことを考えていたら意見を求められて、頭が真っ白になった」など、いつどんなときに集中力が失われるのか把握し、自分自身に対する認識を深める。

集中力をよりよく保つための実践

前項の方法で、自己認識を深めたら、次に示す「集中力をよりよく保つための実践」のなかから、自分に合うものを選んで行ってみましょう。

デジタルデトックス

米国心理学会の調査から、コミュニケーションテクノロジーへのアクセスを遮断したり制限したりするデジタルデトックスが、精神衛生上望ましいとのこと。

脳に休息を与える

睡眠不足は、集中力を阻害し、理解力や判断力、意思決定にも悪影響を及ぼすので要注意。

マインドフルネスの実践

神経科学者リチャード・デイビッドソン氏によれば、マインドフルネスは、注意力において重要な脳の前頭頭頂部の働きを強化させるとのこと。

集中力を他者に向ける

いくつかの研究から、不安に苛まれているときは、他人の気持ちやニーズに注意を向けると心が静まり、回復力が高まると明らかになっているそう。

(参考:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|DHBR最新号から|EI(感情的知性)はストレスを減らし集中力を高める

*** ストレスを管理して集中力を高めるために、カンディ・ウィーンズ氏のアドバイスを解釈して紹介しました。集中できないときは、「どうしたら集中できるか?」と焦らず、「何が自分に起こっているか?」と客観的に考えてみてくださいね。それが、 EI(感情的知性)を高めること、 EIを使ったコンピテンシーを伸ばすことにもつながり、成功への道筋をつけてくれるでしょう。

(参考) DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|DHBR最新号から|EI(感情的知性)はストレスを減らし集中力を高める サイバーユニバーシティ株式会社|グローバル人材はEQが高い?「エモーショナル・インテリジェンス」とは カオナビ人事用語集|コンピテンシーとは? モデル化、メリット、課題、評価の導入、面接について The Emotional Intelligence Network • Six Seconds|Case Study: Emotional Intelligence Improves Leadership at FedEx Wikipedia|心の知能指数

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