習慣が人をつくる——故事や名言から紐解く「小さな積み重ねと習慣の大切さ」

StudyHackerの読者のみなさま、こんにちは。習慣化コンサルタントの古川武士です。

この連載では、みなさんの人生に役立つような習慣化の話をしていければと思います。わたしがこれまで著書で書いてきたことのダイジェスト的なものだけでなく、旬な話題に絡めたもの、または、わたし自身のひらめきなども入れ込んでいくつもりです。

「習慣が人をつくる」「習慣が大切である」――。そんなことは、小学生の頃から頭ではわかっていることかもしれません。でも、大人になったいまだからこそ、これらの本質が理解できるものです。あらためて、習慣がわたしたち自身、そして、人生にどのような影響を与えるかを考えてみましょう。小手先だけのテクニックではなく、小さな積み重ねの大切さを実感し、それを実生活に活かしてみてください。

第1回は、故事や名言から紐解く “習慣化の大切さ” についてです。

名言から探る「積み重ねの大切さ」

小さな積み重ねや習慣の大切さは、偉人の名言や故事から読み解くことができますが、ある調査では人気の座右の銘1位は「継続は力なり」だそうです。ということを考えると、わたしたちはすでに、人生訓として継続の大切さを本能的に感じているのだと思います。

まずひとつめとして、続けることの重要さを知るために次の名言を紹介しましょう。

人は習慣によってつくられる。優れた結果は一時的な行動ではなく、習慣から生まれる(古代ギリシャの哲学者 アリストテレス)

 

 

人は習慣の生きものであり、さらに人生で目指す結果は、一時的な努力ではなく継続的な積み重ねから生み出されるものだと語っています。アリストテレス自身、生涯にわたって、政治、文学、倫理学、論理学、博物学、物理学などあらゆる学問領域を対象にしたそうです。そしてなんと、著作は約550巻もあったとされます。彼が天才であったことは間違いありませんが、地道な習慣の継続があったことも忘れてはなりません。

小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへいくただひとつの道だ(シアトル・マリナーズ イチロー)

 

 

現在はシアトル・マリナーズ会長付特別補佐となりましたが、イチローの野球人生は偉大なる結果とともに歩んできました。

・MLBシーズン最多安打記録保持者(262安打) ・通算安打世界記録保持者(NPB / MLB通算4,257安打でギネス世界記録に認定) ・最多試合出場記録保持者(NPB / MLB通算3,563試合出場)など記録多数。

そんなイチローが強調した言葉が、「小さなことを積み重ねること」です。スタメンから外れて試合にでる機会が減ったときでも、毎日の練習やルーティンに対する姿勢はまったく変わらず、コツコツと小さなことを積み重ねていました

同じ野球界では、名選手・名監督として名を刻んだ野村克也さんも「小事が大事を生む」という言葉を大事にしていることで知られます。

薫習(くんじゅう)」(仏語)

 

 

これは、「香が物にその香りを移していつまでも残るように、みずからの行為が心に習慣となって残ること」という意味です。

わたしたちの毎瞬の行動や言動は、心の習慣になっていく――。わたしも仕事柄多くの人に会いますが、あった瞬間にその人の放つ「オーラ」が伝わってくるものです。そのオーラとはすごさという意味ではなく、人間の心から染み出すように、花が香りを放つように自然と滲み出てくるものというニュアンスと言っていいかもしれません。

それは、「優しいオーラ」「激しいオーラ」「思いやりのオーラ」「知性のオーラ」「母性的なオーラ」「愛のオーラ」「不信のオーラ」「敵視のオーラ」「倦怠感のオーラ」「自信のないオーラ」など、さまざまです。これらは心の習慣がその人のオーラとなって出てくるのではないかとわたしは思います。それが証拠に、相手と話をしていくと、ひとつひとつの言動が見事にそのオーラを物語っているからです。

そして、そのオーラが人間関係をつくり、信頼をつくり、人生をつくっていく。小さな日々の言動をおろそかにせず、習慣として良いものを積み重ねることは自戒の念を込めて本当に大切なことだと思います。

習慣は自分と環境の相互作用からつくられる

さて、自分のなかで小さな積み重ねや良い習慣を積み重ねることが大切であるということをそれぞれの言葉から見てきました。しかし、習慣というのは、個人だけで決まるものではなく、環境から強く影響を受けてつくられていくものです。それを知るために、次のふたつの故事を見ていきましょう。

朱に交われば赤くなる→「人は関わる相手や環境によって、良くも悪くもなる

 

 

わたしは仕事柄、新入社員研修で企業に呼ばれることがあるのですが、商社や広告代理店の社員、または、メーカーのエンジニアなど新入社員だった人たちが、わずか1年もすると、どっぷりと社風に慣れ、その会社、その職種っぽい話し方や態度を取るようになっていきます。必然的に、放つオーラや言動も1年前とは随分と変わっているものです。1年間、来る日も来る日も先輩や上司と仕事をし、同じように思考し行動をする。それだけでなく、飲み会で深く語り合うことで朱に交わり、赤くなっていくというわけです。

都会に住むのか、静かな自然のなかで住むのかでもまったく人が受ける影響も変わってきます。環境やまわりの人から強く影響を受けて、行動や思考習慣はつくられていくのです。

 

では、もうひとつの故事を見てみましょう。

類は友を呼ぶ→「気の合う者や似通った者同士は、自然に寄り集まって仲間をつくる

 

 

学生時代のクラスメイトを思い出してみてください。実に不思議な引力で似たもの同士が集まっていませんでしたか? 体育会系のノリのいいタイプ、文化系でおとなしいタイプ、ちょっと悪ぶった不良グループ……など、類するエネルギー同士が引き合っていたのを思い出します。

わたしたちは、付き合う人や環境から強く影響を受け自分がつくられるし、一方で同じような人と自然に集まるという法則のなかで生きています。だからこそ、「自分を変えたい」と思ったときに、付き合う人や環境を選んでいくことに意味があるのです。なぜなら、一緒にいる人たちの感情、思考、行動習慣などに影響を受けるからです。まさに鶏と卵の関係で、自分と環境をどのように変えていけばいいのかはセットで考えたほうがいいということです。

今回は、小さな積み重ねや習慣の大切さを、故事や名言から紐解いてご紹介しました。みなさんの心に響き、自分自身を見直すきっかけになれば幸いです。

【今回の習慣化ルール】 ・自分自身と優れた結果は、一時的な行動ではなく習慣からつくられていく ・わたしたちの毎瞬における行動や言動が、習慣とその人のオーラをつくる ・習慣は、個人だけで決まるものではなく、環境から強く影響を受けてつくられていく

 

30日で人生を変える「続ける」習慣

古川武士

日本実業出版社(2010)

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