もっと自分をたいせつに。『自分中心心理学』という考え方

相手のことを優先しすぎたばかりに、自分の作業がおろそかになってしまった……。すでに自分の仕事で手いっぱいであるにもかかわらず上司や同僚などから新しい仕事を頼まれてしまい、断りきれなかった……。こんな経験のある方はいないでしょうか。

そのような状況に陥っている人の中には、いつもいつも誰かに振り回されているような気がして、どうすればそこから抜け出せるのかわからないと悩んでいる方も多いはず。そこで今回は、他人に振り回されないようにするためのコツについてお伝えしていきます。

他人に振り回されてしまうのは、あなたの「優しさ」が原因かも?

例えば自分のすぐ近くに、仕事で困っている同僚や後輩などがいたとしたら、皆さんはどういった行動をとりますか。手伝ってあげたり、アドバイスを与えたり、という方が多いのではないでしょうか。もちろん、このような優しさはとても大切です。良好な人間関係の維持やチームの目標達成のためにも、一緒に仕事をしている仲間をお互いに助け合う精神はなくてはならないものでしょう。

しかし、その優しさが過剰になってしまうのは要注意です。必要以上に他人に気を遣ったり、周囲からの評価を気にしたりしながら行動していると、相手はそこにつけこんであなたに物事をどんどん任せてきます。

一般に、優しすぎる人は自己評価が低いもしくは劣等感が強いところがあるため、「相手のために行動しなければならない」と、相手中心の考え方をしがちなのだそう。しかし自分に余裕がない場合は、その考え方自体がストレスになってしまいます。結果、優しすぎることが原因で「相手に振り回されている」と感じてしまうのです。

また心理カウンセラーの大嶋信頼氏は、他人の言動を気にしてしまう原因として「脳」の仕組みを指摘しています。“他人の行動を見ると自分も同じ行動をとるよう働きかける” という脳のネットワークを、私たちは持っているのだそう。そのため、たとえば自分の近くに威圧的な人がいると、その悪い感情に影響されてしまい、脳が緊張して無意識に相手に合わせるような行動をとってしまうことがあるのです。

知っておきたい「自分中心心理学」という考え方

周囲に振り回されない人になるために知っておきたいのが、「自分中心心理学」という考え方です。これは、心理カウンセラーの石原加受子氏が提唱した、他者中心から自分中心への考え方へと思考を切り替えるプロセスのことです。

例えば仕事で、早急に提出する必要のある資料を作成しなければならなくなったとします。しかしそんな中、自社の新しい企画について相談したいと後輩が言ってきたらどうするでしょうか。

「他者中心」で考えるならば、「わかった。どうしたの?」というように、こちらの仕事をいったん中断してでも相手のサポートをしようとするでしょう。しかし自分も時間に追われているため、「なんでこうしないの?」「こんなこともできないの?」等、ついイライラして口調がきつくなってしまうおそれがあります。そうなるとお互いに不快な気持ちを抱えてしまいますよね。

一方で「自分中心」に考えると、最優先すべきはあくまで自分の仕事ですので、「わかった。今は先にやらなければいけないことがあるから、あとでもいいかな?」と、相手に振り回されることを未然に防ぐことができるのです。また口調を穏やかに伝えられれば、相手を不必要に傷つけてしまうこともありません。

では私たちはどのようにすれば、この「自分中心心理学」を普段の生活に取り入れることができるのでしょうか。具体的な方法をご紹介していきます。

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「自分中心心理学」を取り入れる方法

1. 「自分の気持ち」を明確にし、それを基準にする

自分の状況を把握して相手に流されないようにしましょう。そのためには「自分の気持ち」を明確にしたうえで、それを判断の基準にすることが大切です。

忙しいときに仕事を頼まれたとしても、「自分には今やるべきことがあるから、そちらを優先して取り組みたい」と思ったら相手に遠慮をする必要はありません。むしろ、頼みを断るよりも自分の仕事を遅らせてしまうほうが、最終的に上司に叱られてしまったりほかの仕事に支障が出たりしてしまいます。

ここでお伝えしている「自分中心に考える」とは、決して独りよがりな考え方をすることではありません。他者に振り回されることによって本末転倒な結果を引き起こしてしまわないように、しっかりと自己管理をするということなのです。

断る理由や後回しにしたい理由を丁寧に伝えれば、相手の理解も得られるはず。他者ではなく自分自身の気持ちに焦点を当てるようにしましょう。

2.「相手の気持ちがわかる」という思いこみをやめる

「〇〇さんはきっとこうしてほしいに違いない」という考えは、もしかするとただの自分の思いこみに過ぎないかもしれませんよ。

例えば、気を遣い良かれと思って仕事を手伝ったにもかかわらず、相手からは「ありがとう」の一言もなかったと怒りを感じた場合、きっとあなたは相手に振り回されたと感じるのではないでしょうか。しかしそれは自身が考えて行動した結果であって、相手のせいにするべきではありません。

相手の立場を考えてみましょう。仕事を手伝ってもらえてラッキーだと思う一方で、手伝うのが大変だったと不機嫌そうな表情をされたら、親切の押し売りのように感じてしまいますよね。これでは人間関係にも悪影響を及ぼしてしまいかねません。

このように、過剰な気遣いをやめるだけでも、他人の一挙手一投足に振り回されることはなくなります。もし「〇〇さんが大変そうだな」と思ったら、相手に状況を聞いたうえで、誰か余裕がありそうなほかの人に頼むとよいでしょう。わざわざ自分が全てを引き受ける必要はありません。

*** ぜひ皆さんも、お伝えした方法を試してみてください。きっと相手に振り回される機会を減らすことができるようになりますよ。

(参考) PHP Online 衆知|損している気分が「満足感」にかわる“自己中心心理学” NIKKEI STYLE|「自分中心」思考で、上司や後輩へのしつこい怒りから自由に TOWNWORKマガジン|人目が気になって仕方ない人必見! もう他人に振り回されなくなる自己暗示の言葉

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