目標があるけれど、なかなか達成できない……。目先の業務に追われ、慌ただしいまま毎日が過ぎていってしまう……。そう悩んでいる人はいませんか。もしかしたら、タスクの優先順位を間違えていて、そのことに気づいていないのかもしれません。
今回は、目標達成に必要不可欠となる本質的な仕事を見極め、その他のタスクにかける時間を減らして、大きな成功を手に入れる方法をご紹介します。必要なのは1日5分間だけ!
筆者は以前営業として働いていた頃、この方法を実践したことで、たったの3ヶ月で売上げ600%アップを達成できました。難易度の高い目標があり、どう達成すればいいのかわからないと悩んでいる人におすすめです。
『7つの習慣』Steven Coveyの時間管理のマトリックス
Steven Coveyの『7つの習慣』を読んだことがある方も多いのではないでしょうか。7つある習慣のうち、第3の習慣である「重要事項を優先する」章で紹介されている以下の表。緊急性と重要性でタスクを分類しています。
緊急○ | 緊急× | |
---|---|---|
重要○ | 第1領域 | 第2領域 |
重要× | 第3領域 | 第4領域 |
表の4つの領域の中で1つだけ増やすべきものがあります。どれだと思いますか?
答えは第2領域、「緊急ではないが重要なこと」です。それ以外、特に第3、4領域は減らすべきタスク。具体例を交えて説明しましょう。
(第1領域)緊急で重要なこと 締め切りが迫っており、やらないと大きな影響を及ぼす、絶対にやらなければいけない仕事です。
・重要な会議への出席 ・大事なお客様との急な約束 ・上司から依頼された急ぎの仕事 ・トラブル・クレーム対応
第1領域に追われて、日々忙しく過ごしている人は多いはず。
(第2領域)緊急ではないが重要なこと 締め切りはないものの、仕事の生産性を上げ、長期的な目標を達成するために不可欠な仕事です。
・目標設定とアクションプランの作成 ・現状把握と問題点の考察 ・TO DOリストの作成 ・業務効率化のためのマニュアル作成 ・スキルアップのための勉強 ・自己啓発のための読書 ・見聞を広めるために新しい場所に足を運ぶこと ・人材育成 ・人脈作り ・健康維持のためのスポーツ
将来、第1領域につながる準備運動のようなタスクとなります。例えば、普段からスキルアップのために英語の勉強をしておけば、急に上司が外国人になっても仕事で成果を認めてもらいやすいもの。また、健康な体がないと、集中して仕事に取り組むことはできません。
(第3領域)緊急だが重要ではないこと 締め切りが迫っているものの、重要度はそれほど高くない仕事です。
・急な電話 ・重要でないメールの返信 ・他の人に頼んでも良い仕事 ・形だけ参加している会議 ・報告書の作成 ・突然の来客対応
急を要するため優先しがちですが、こればかりをしていても目標達成には近づけません。緊急性は、外部からの働きかけによるもの。主体的に行動しないと、第3領域にかける時間を減らすことはできません。
(第4領域)緊急でも重要でもないこと
・SNS、ネットサーフィン、テレビ ・スマートフォンのゲーム ・待ち時間 ・雑談
疲れがたまると、ここに逃げたくなります。その結果、残業の連続に。帰宅後も、ぼーっとテレビを観たりスマートフォンをいじったりしている間に時間がどんどん過ぎてしまうでしょう。
第1、3領域のタスクは緊急なので、締め切りに追われて深く考えずに実行しているはず。一方、第2領域は重要だけれども緊急ではないため、意識的に時間を割こうとしなければいつまでたっても行動に移せません。第4領域は無意識のうちに時間を無駄にしている可能性があります。
「緊急ではないが重要なこと」の時間を増やすメリット
第2領域の「緊急ではないが重要なこと」は、目標達成に必要不可欠。急務や雑務とは違い、本質的なタスクと言えます。目の前の仕事をただこなすだけでは、高い目標はクリアできません。
目標をクリアするには、今まで当たり前のようにやっていた第3、4領域の時間を大幅に削減し、そこで生まれた時間を第2領域にあてる必要があります。
私の例をご紹介しましょう。売上げを3ヶ月で6倍にするという目標達成のため、第2領域に多くの時間を割きました。最初にしたのは、現状把握のため、以下の問いに対する答えと解決策を探ること。
【問い】 ・なぜ現在の受注額が月50万円なのか ・3ヶ月で受注額を月300万円にするにはどうすればいいか 【答え】 ・商品の単価が低いから ・見込み顧客の数が少ないから ・営業スタイルが非効率的だから(電話→訪問営業) 【解決策】 ・商品の単価を3倍に設定する(商品価値を3倍にするため商品改良をする) ・見込み顧客数を3倍に増やす(関連領域で新たなビジネスモデルを作る) ・効率的な営業スタイルにする(Facebook・メルマガ等を利用)
加えて、解決策の実行に必要なスキルアップのために、するべきことをリスト化(読書、勉強、人脈作りなど)。アクションプランを作ってスケジュールに落とし込みました。
あとはスケジュールに従って1ヶ月間準備をし、翌月売り出すだけ。結果、売上げが3倍近くに! 3ヶ月後には売上げが6倍以上になり、目標を達成できました。
第2領域の時間を増やしたことで、今までのやり方では決して実現できなかった難題を成功へと導くことができたのです。「緊急ではないが重要なこと」の時間を増やすメリットは、ゴールまでの最短のルートを得られることです。
「緊急ではないが重要なこと」の時間を増やす方法
そうは言っても、普段の仕事に追われて、「緊急ではないが重要なこと」の時間を確保できない……。そう悩む人もいるでしょう。そこで、5分でできる簡単で楽しい方法をご紹介します。
元になるのは勉強嫌いの私が1年で3000時間勉強して京大に合格した「ぬり絵勉強法」で紹介されている「ぬり絵勉強法」。15分勉強したら方眼紙に1マス、勉強した教科の色で塗りつぶしていく方法です。
楽しくやる気が出るだけでなく、たくさん勉強している科目とそうでない科目が一目でわかり、バランスよく勉強するのに役に立ちます。
今回ご紹介するのは、以下の目的のために「ぬり絵」をする方法です。
・現状、第3領域や第4領域にかけている時間を把握するため ・今後、第2領域にかける時間を増やすため ・今後、第3領域と第4領域にかける時間を減らすため
手順は以下の4つです。
1. ノートに時間軸を書く(または時間軸が書かれている手帳を用意する) 2. 時間軸に沿って自分が今日したことを書き出す(仕事もプライベートも含む) 3. 4つの領域別に、4色のマーカーで各タスクを塗る 4. 最終的に2色のみを目指して、毎日「ぬり絵」を継続する
まずは現状把握が重要。ステップ1~3により、自分がどの領域のタスクに多く時間を割いているかが視覚的にわかります。思っていたよりも、第3領域や第4領域に時間を使っていることに驚くのではないでしょうか?
4色の色を選ぶときは、増やしたい第2領域は一番好きな色、減らしたい第3領域や第4領域はあまり好きでない色にすることを勧めます。あとは毎日、一日の終わりにその日したことを書き出し、4色のマーカーで塗るというぬり絵を継続していくだけ。
好きな色での第2領域を増やし、嫌いな色の第3領域や第4領域を減らせるように、翌日意識してみましょう。
慣れてきたら、すでに行った行動を振り返るだけでなく、今後の予定を計画するときにも同様に「ぬり絵」をするのも効果的。ステップ2の「今日したこと」を「明日以降の予定」にするだけです。
第1領域は自分ではコントロールできないことも多いですが、第2領域はできる限り多く、第3、4領域は少なくできるように、計画をたてましょう。
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何事も楽しんでできるのが一番! ぬり絵で楽しくタスク管理ができれば、継続しやすくなりますよ。上手にタスクを管理して、目標を実現させましょう!
(参考) Stephen R. Covey,(2011),『まんがと図解でわかる7つの習慣(別冊宝島 1805号)』,宝島社