やりたいことなんて無理に見つける必要ナシ。9割の “夢がない人” のための「天職との出会い方」

みなさんは、ご自身のビジネスパーソンとしてのキャリアについてどのように考えていますか?

「やりたいことはこれだ」というはっきりした“行動の軸”を持ち、将来の展望は明るいと感じている方は素晴らしいですね。一方で、目の前の仕事を忙しくこなしてはいるものの、自分の天職がいまだ見つからず、将来の生き方に漠然と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。転職をしようかどうか悩んでいる方もいらっしゃるかもしれませんね。

そこで今回は、自身のキャリアを見つめ直し、今後のビジネスパーソンとしての人生をどう歩んでいくかを考える指針となるポイントについて、お伝えします。

明確な夢や目標がある人は「To Do型」

まずは、今のご自身の状態を知るところから始めましょう。『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』の著者で“「職業人生の設計」の専門家”として活動する北野唯我氏によると、人は仕事の楽しみ方によって「To Do型」と「Being型」という2つのタイプに分類されるのだそう。

人間には「何をするか」を重視するToDo型と「どんな状態でいるか」を重視する「Being型」の人間がいる

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|「やりたいことを仕事にしよう」論はほとんどの人にとって重荷でしかない

「To Do型」とは、明確な夢や目標を持ち「何をするか」に重きを置いている人のことを指します。ソフトバンクグループ創業者の孫正義氏はその好例です。北野氏によれば、「To Do型」に分類されるのは世の中のたった1%ほど。ビジネスに関して自身の哲学を語れるような人が、ほんの一握りの「To Do型」になります。

みなさんの中に、「社会にとって革新的な商品を生み出す」といった野望を抱き、それを実現するための行動を実際に起こせている人はどれぐらいいらっしゃるでしょう? おそらく、あまり手は挙がらないはずです。それほどまでに「To Do型」は少ないのです。

自分のありたい状態を大切にする人は「Being型」

一方の「Being型」とは、「どんな人でありたいか、どんな状態でありたいか」をより重視する人のこと。例えば「ワーク・ライフ・バランスを実現する」「同僚に尊敬できる人がたくさんいる」「仕事は1人で黙々と進めたい」といったように、実現すべき目標というよりもどのような状態で働きたいかのほうを大切にする人は、「Being型」に分類されます。北野氏いわく、「To Do型」を除いた残り95~99%の人は「Being型」なのだそう。

北野氏の主張は、私たち日本人にとっては特に当てはまりやすいかもしれません。アメリカの調査会社であるギャラップ社が2017年に公表した、仕事への熱意(エンゲージメント)についての国際比較調査によれば、仕事に熱意を持って積極的に取り組んでいる従業員の比率は、日本ではたったの6%だったそう。アメリカの32%と大差がついただけでなく、調査した139カ国中なんと132位という最下位クラスだったのです。

ただし、こうした結果を見て「『Being型』では仕事に熱意をもって取り組めないから、『To Do型』を目指すべきだ」と考えるのは早計です。なぜなら、本来「Being型」の人が無理に「To Do型」になろうとしても、成功するとは限らないから。北野氏も、今のビジネスパーソンをとりまく風潮を次のように憂慮しています。

現実には、99%の人が「どうしてもやりたいこと」に強くこだわらないBeing型の人間であるにもかかわらず、今の世の中はYouTubeのコピーに代表されるように「好きなことを仕事にすること」が強く推奨されている風潮に見えます。

(引用元:同上)

「To Do型」が良くて、「Being型」が悪いというのではありません。「Being型」は「Being型」なりに、より熱意が高まる仕事の仕方や考え方をする必要があるのです。

自分の価値を表す「マーケットバリュー」を知る

ここまでお読みくださった多くの方はおそらく「Being型」に当てはまったことと思います。そこで、「Being型」の人がこれからどのように行動選択をしていくべきかをを考えてみたいのですが、その前に「マーケットバリュー」という考え方について紹介しておきたいと思います。

マーケットバリューとは、「技術資産」「人的資産」「業界の生産性」の3つを掛け合わせることによって決まる、人の市場価値。これは北野氏が提唱する考え方で、それぞれの意味は次のとおりです。

・技術資産は、他の会社でも通用する技術的蓄積。職種に紐付く「専門性」(例……法人営業)と、職種に紐付かない「経験」(例……マネジメント経験)に分けられる
・人的資産は、一言で言えば「人脈」。あなただから動いてくれる人がどれだけいるか
・業界の生産性は、一人あたりの粗利。これが、給料の原資となる

(引用元:北野唯我著(2018),『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』,ダイヤモンド社.)

先ほど、「Being型」は「Being型」なりに、より熱意が高まる仕事の仕方や考え方をする必要があるとお伝えしましたが、そのためにはまず自分の現状を知らなければ、行動や考え方を変えることなどできませんよね。その「自分の現状」を知るには、マーケットバリューを測るのが一番なのです。

「Being型」の私たちは、今後のビジネスライフをどう生きてゆくべきか?

では、「Being型」の人は今後のビジネスパーソンとしての人生をどのように歩んでいくべきか――。結論から申し上げると、一番大切なのはいまの仕事の中で何が得意なのかを見極めることです。先ほど紹介したマーケットバリューを棚卸し、自分の得意分野を分析するとともに現在の自らの市場価値を知ることで、ビジネスパーソンとしての価値を高めていく方策を立てましょう。

例えば、営業の仕事に就いていて、日々多くの人と関わりがあるビジネスパーソンであれば、「人的資産」が強みとなります。それに加えて、営業にまつわる各種スキル(会話や資料作成テクニック、心理学など)を身につけるために書籍やスクールなどで勉強して「技術資産」を高めることができれば、マーケットバリューは大きくなりますね。

北野氏によると、理想的なキャリアは3つの要素のうち2つ以上が高い状態。そして最終的には、3つすべてが高い状態を目指すとよいのだそう。このようにしてマーケットバリューを高め、“重宝される”人材になれば、現在の職場でも転職をしても活躍できるようになるはずです。

また、キャリアに関するアドバイスを提供する80,000 Hoursの共同創業者・CEOであるBenjamin Todd氏は、20年間に及ぶ60以上の研究を分析した結果、天職となりうる仕事の要素の第一は「得意な仕事であること」だとしています。「自分が得意な仕事かどうか」は、マーケットバリューについて考えてみればわかります。取り組み次第でマーケットバリューが大きくなるような仕事なら、自分が天職にするにふさわしい仕事だと言えるに違いありません。

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現状では、自分が心から楽しめる仕事ができていない人もいるでしょう。ですがそれでも問題ありません。大切なのは、自分の今のレベルを知り、それを高める努力をすること。そうすれば、自分の得意分野を見極め、心から打ち込める天職を見つけることができるはずです。そうすれば、きっと満足のいくキャリアを歩むことができるようになりますよ。

(参考)
北野唯我著(2018),『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』,ダイヤモンド社.
ダイヤモンド・オンライン|「やりたいことを仕事にしよう」論はほとんどの人にとって重荷でしかない
新R25|映画の主人公も、“使命”には途中で気付く。やりたいことがない人のための転職入門
日本経済新聞|「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査 
80,000 hours|We reviewed over 60 studies about what makes for a dream job. Here’s what we found.

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