「まずは仮説を立てよう」などとよく言われるように、仮説という言葉は、ビジネスにおいて数多くの場面で使われています。

しかし「仮説を立てるのに時間がかかる」とお悩みの方はいませんか?

何のデータや資料を参考にして、どんなことを言えば、説得力のある仮説として上司やクライアントに提案できるのか。そんなことを考えているうちに、時間だけが過ぎてしまう。私はある企業で学生インターンを経験したことがありますが、その時この仮説出しには四苦八苦しました。

仮説を出すのに時間がかかるという問題を抱えている方は、実は、仮説を立てるプロセスにおいてあるミスをしているのかもしれません。そのミスを解消すれば、スピーディに仮説を立てることが可能になります。

そこで今回は、仮説出しが遅れる原因を解明し、素早く仮説を立てて、仕事を効率化するためのコツを紹介します。

なぜあなたの仮説は遅いのか?

ズバリ私たちが仮説を出すのに時間がかかる理由は、仮説を立て始めるタイミングが遅いからです。言い換えると、仮説を「先に」立てていない、ということ。

本当は「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」というプロセスを辿るべきところを、「情報→仮説→実行→検証」という誤ったプロセスで実行してしまい、「先に仮説を立てて、それを再構築する」というプロセスを抜かしてしまっているのです。

仮説とは本来、先にゴールを素早く設定しておいて、検証し、修正するというプロセスを高速で回すために立てるもの。

Aという仮説を立て、それが正しいかどうか検証する。検証結果に基づいて仮説を修正し、Bという仮説を立てる。またその仮説が正しいかどうか検証し……というプロセスを素早く繰り返し、求める結論へとたどり着くための方法であるべきなのです。

にも関わらず、仮説がなかなか立てられない人の場合、失敗を恐れるあまり、前例を探すために大量のデータや資料を探すことから始めて、じっくりと目を通してから、のんびりと仮説を立ててしまっています。それでは仮説を出すのに時間がかかって当然ですよね。

ですからまずは、参考となる情報が少ない段階でも、とりあえず仮説を立てなくてはなりません。では、情報を用いずにゼロから素早く仮説を立てるには、いったい何を手がかりにすればよいのでしょう。

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仮説の手がかり1:日々の経験や価値観を用いる

素早く仮説を立てるためのひとつの手がかりとして、自身の経験や価値観を参考にしてみてください。

例えば、サービス改善のために仮説を立てるのであれば、膨大な利用データの分析や時間のかかるアンケート調査から始めるのではなく、自身がサービスを使う中でマイナスに感じるポイントや、サービスを使ってほしい人にとってより役立ちそうなポイントを想像してみましょう。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのマーケターとして有名な森岡毅さんも、前職のP&Gでヘアケア商品を担当した際、仮説を立てるには消費者の立場に立つことが大切だとして、髪の毛を金髪やモヒカンにしていたそうです。常に自身の経験や価値観を養い続けることで、素早く良い仮説を導くことができるということなのでしょう。

ですから、誰でも得られる数字のデータに飛びつくのではなく、まずは自分自身の経験に基づいて仮説を出してみてください。仮説を出すスピードは、間違いなく早まります。また、経験や価値観が深まるほど仮説の質も上がっていきますから、日々の体験や気づきを大事にしておくという姿勢も必要ですね。

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仮説の手がかり2:未経験のことは類似事例で考える

では、自分の中に経験がない分野の仮説を立てる場合はどうすればよいでしょうか。

その場合は、類似事例で考えてみることが有効です。

例えば、富裕層向けに金融商品を営業する業務の場合、自動車販売の営業を参考にすれば、意義ある仮説が立てられるかもしれません。また、月額制の音楽サービスを拡大したいなら、月額制電子書籍サービスのプロモーションを応用できる可能性があります。

自分に経験がない分野でも、知っている身近な領域に引き寄せて考えてみれば、仮説を立てることがぐっと楽になります。もし検証して外れていても、修正してまた仮説を立てれば大丈夫。なぜなら今一番問題なのは、仮説が出ずに仕事が進まないことだからです。

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とりあえず仮説を考える。

調べもしないで仮説を立てるなんて、一見非合理的に見える行為ですが、紹介したようなコツを用いて素早く仮説構築・検証を行うことができるようになれば、仕事の速さも質も向上するのではないでしょうか。

ぜひ皆さんも失敗を恐れずに、「とりあえず仮説」を練習してみて下さい!

(参考)
佐渡島庸平著(2015),『ぼくらの仮説が世界をつくる』,ダイヤモンド社.
内田和成著(2006),『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』,東洋経済新報社.
森岡毅著(2016),『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』,角川書店.
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