「継続は力なり」ということわざにもある通り、どんなものでも、モチベーションを高くもって継続することが成功の秘訣であるということは、多くの人が実感していることでしょう。しかし、誰しもやる気がまったく出ない、という時はよくあるもの。
昔のスポーツ漫画などでは、逃げたくなるような練習にも鬼コーチに檄を飛ばされながらも、気合を入れて練習に打ち込むというような場面が描かれてきたため、気合を入れることが大切なのだと、多くの人は考えてきたのではないでしょうか?
しかし、心理学の研究から、そのようなやる気の出し方は間違っているということが言われるようになりました。では、やる気がない時にはどうすればいいのでしょうか?
実は「いやいやながら始める」ということなのです。それはいったいどのようなことなのか。今回は、やる気がない時に気合を入れてはいけない理由、そして、いやいやでも始めさえすればいい理由を紹介していきます。
やる気がない時に「頑張れ!」は逆効果だった?
心理学において「生理的覚醒による優性反応の強化」という考え方があります。「生理適格性」とは、気合を入れて意識をはっきりとさせること。そして「優性反応」とは、文字通り優勢な反応のことです。
やる気がないという時であれば、優性反応は「勉強したくない」、「仕事に行きたくない」というようなもの。すなわち、人間には、気合を入れた時には、より自分がやりたいことへの欲求が強まるという性質があるのです。やる気がない時に無理にやる気を出そうとすると、かえってやりたくない気持ちが強まってしまいます。
キーワードは「とりあえず」
やるべきこと、やらなければいけないことを“とりあえず”で構わないので始めてみましょう。
例えば、掃除をしないといけないけどしたくない時は、“とりあえず”流し台に放置してある食器を片づけるということから始めてみましょう。そして作業を少しずつこなしていくと、次第に「もう少し」という気持ちがわいてきて、そのまま当初やろうとしていたことを達成しやすくなります。この反応は心理学者のクレペリンにより“作業興奮”と名づけられています。
「とりあえず」の繰り返しで作る“やる気スイッチ”
毎日継続しなければならないことはありますか? 仕事や楽器の練習、勉強などにおいて、この作業興奮を生かさない手はありません。そのためには「とりあえず」をルーティーンに取り込んでしまいます。
例えば、仕事に対してやる気を出せるようにしたいなら、仕事のはじめとして“とりあえず”シャツの袖をまくり、ネクタイを絞めるという一連の流れが考えられるでしょう。楽器の練習であれば、“とりあえず”楽器を用意し、いつも引いている練習曲を演奏してみるなど、やらなければいけないことの前に“とりあえず”やることをルーティーン化することで、変に気合をいれなくても自然とやる気になっていくのです。
*** よくある「やる気がなくても歯を食いしばって頑張る」というのは、実は心理学的には逆効果なのです。皆さんも、やる気がなかったとしても悲観せず“とりあえず”できることから始めてみましょう。
(参考) マンガでわかる心療内科|「気合いを入れるほど、うつは悪化する!?」 IT メディア エンタープライズ|ビジネスマンの不死身力 やる気をうみだすなら「とにかく、やってみる」 kof project|モチベーションが上がらないときの、ただ1つの解決法