カフェで勉強をしようと思っても周りが気になってなかなか集中できなかったり、ネットで調べ物をしていたはずが脱線してしまっていたり、大事なプレゼンで緊張してしまい集中できなかったり……。
ここぞという時に集中できず「あの時ちゃんとやっておけば良かった」と後悔したことがある人も多いはず。ちゃんと集中して物事を進めていればすぐ終わることも、つい時間がかかってしまうことがありますよね。
スマホやテレビなど、誘惑が多い日常生活の中でどうすれば集中力を高められるのでしょうか。そこで参考にしたいのが、安定感をもって高いパフォーマンスを出すことができるアスリート。
どんな大舞台でも最大限の力を発揮することができる集中力を備え持つ彼らの多くが実践している“集中力を高める方法”を紹介します。
メンタルトレーニングとは?
メンタルトレーニングとは、メンタルを科学的にトレーニングすることです。
社会主義国家であった旧ソビエトがオリンピックでメダルをたくさん取るように命令し、多くの研究者やスポーツ関係者が勝つための方法を考えた結果、生まれた考え方です。その後、1976年のモントリオールオリンピックにおける旧ソビエトや旧東ドイツの成績が非常に優秀だったことから、アメリカや西洋諸国もメンタル面のトレーニングを重視するようになりました。
そして、1984年のロサンゼルスオリンピックでアメリカが本格的にメンタルトレーニングを導入したところ非常にいい成績を出したことが、日本にもメンタルトレーニングを導入するきっかけとなったのです。
日本では、従来は「気合い・根性・精神力」といった、“ある意味”ではメンタル面を考えたトレーニングをしていたわけですが、その考え方が実際に有効なのか定かではありませんでした。そこで登場したのがメンタルトレーニングです。科学的な見地から選手のメンタルを見つめなおすことで、よりよいパフォーマンスを引き出します。
まずは深呼吸
Jリーガーをはじめ、多くのアスリートをメンタル面で成長させたメンタルトレーニングコーチの大儀見浩介さんは、簡単な集中方法の1つに「深呼吸」を挙げています。なぜなら、人間の呼吸と心の状態は密接に関係しているので、呼吸を整えることによって気持ちが落ち着き、集中力が高まるからです。
深呼吸するときのポイントが3点あります。 1)先に息を出してから吸い込む 緊張しているときは呼吸が浅くなっていることが多いので、その時に息を吸い込むと、苦しくなり過呼吸になってしまう可能性があります。そのため、先に息を出してから吸い込むようにしましょう。
2)胸を張り、顔を上げて行う 顔が下がると、胸郭が圧迫されて呼吸が浅く小さくなってしまいます。深く呼吸するためには、胸を張って顔をあげましょう。
3)ネガティブなことを吐き出し、ポジティブなことを吸い込むイメージで行う ただ呼吸するだけでなく、イメージしながら行いましょう。例えば、体の緊張を取りたい時は、筋肉が柔らかくなるイメージを持って吸い込んでみるのです。
ルーティーンを意識してみよう
真似をする人が続出した、ラグビーの五郎丸選手の両手を合わせるあのシーンは、所謂“ルーティーン”といわれるものです。ルーティーンとは、集中力を高めるための「方法・手順」のようなもの。
3000本安打を達成したイチロー選手もベンチからネクストバッターズサークルまでいつもと同じように歩いてバットをくるりと回すまでの一連の動作を「打席で集中するための大切な時間、打つための重要な準備の時間」と表現しています。このように、イチロー選手もルーティーンを持っていたのです。
スポーツ選手に限らず、ルーティーンは誰でも活用することができます。うまく集中できた日にしていた行動、うまくいった行動の直前にしていた行動に注目し、それを習慣にしてしまいましょう。なんでも構いません。「机に座ったらまずは深呼吸から始める」でも構いませんし、「水を一杯飲み干す」といったものでも良いでしょう。イチロー選手や五郎丸選手のように、いつも同じことから始める、ということがたいせつなのです。
*** 集中力は、勉強や仕事の効率を大きく左右させます。どうせなら、自分の時間は密度の高いものにしたいですよね。集中力を高めて、アスリートのようなパフォーマンスを職場で発揮してみましょう。
(参考) テレビステーション|集中力を高める「深呼吸」 メンタルトレーニング・応用スポーツ心理学協会|スポーツ選手のメンタル面強化