それ、本当にやるべきこと? 「やらないことリスト」で時間の密度を高めよう。

「やることリスト」でタスク管理をしているけれども、仕事に追われている感覚があって気持ちが休まらない……。「やることリスト」のタスクをいつも消化できずに困っている……。このような悩みを持っている方はいませんか。

一般的に “やるべきことを管理することでタスクを効率よく片づけていける” と考えられている「やることリスト」ですが、うまく活用できていないのならば別の方策を考えたほうがいいかもしれませんよ。

そこで今回は、やることリストとは真逆の「やらないことリスト」についてご紹介いたします。筆者も実際に試してみたところ、さまざまな効果を実感することができました。

「やること」をリストアップするだけではNG!

「ToDoリスト」とも呼ばれる「やることリスト」ですが、うまく使いこなせない原因はどこにあるのでしょう。ここでは、以下の2つの問題点に着目したいと思います。

1. 重要なタスクをつい後回しにしてしまう

特に優先順位や時間配分までしっかりと管理できていない場合に多く見られるのが、「リストに書かれたタスクを早く消化していきたい」という一心から、簡単に終わる作業ばかりに手をつけてしまうことです。その結果として、本当に時間を割くべき「重要なタスク」や「重いタスク」が後回しになってしまっては本末転倒ですよね。これでは上手にタスク管理ができているとは言えません。

2. 未消化のタスクが “ストレス” になる

仕事の進行具合を管理できるサービスなどを展開するiDoneThis社の調査によれば、「やることリスト」の4割は未完に終わってしまうのだとか。そして、この未消化のタスクが、私たちにストレスをもたらすのです。

心理学で「ツァイガルニク効果」として知られているが、完了していない業務はどうしても頭から離れなくなる。日中は仕事に圧倒され、夜には眠れなくなるのもこういうわけだ。

(引用元:日本経済新聞|成功者は「ToDoリスト」を使わない

確かに、やらなければいけないことが溜まっている状態が長く続くと、心身ともに疲弊してしまいますよね。それでは作業効率も下がってしまい、仕事の進捗がますます遅れてしまいます。

「やらないことリスト」を作ってみた

ここで「やらないことリスト」が登場します。やるべきことではなく “やらないこと” をリスト化する。たったこれだけで、上で挙げた「やることリスト」のデメリットを解消できるようになるのです。そこで筆者も実際に試してみることにしました。

例えば「やらないことリスト」を作る前、筆者の「やることリスト」は以下のようなものでした。

  1. 毎日30分間、TEDを聞いて英語の勉強をする
  2. 毎日読書をする
  3. 就活に向けて時事問題に取り組む
  4. 節約のために、できる限り自炊をする

しかし、向上したいという意志はあっても、目の前の誘惑に負けてしまいがちだったというのが現実でした。やるべきことはわかってはいるものの、やる必要のないことに多くの時間を使いすぎており、結果としてやるべきことがなかなか達成できずにいたのです。

そこで、上記4つのやるべきことを達成する “妨げ” になっているものを探し、以下のように「やらないことリスト」を作成してみました。

・1日の課題が終わるまではYouTubeを観ない(※「やることリスト」の1~3を達成するため) ・LINEの返信以外はスマートフォンに触らない(※同上) ・おにぎり、お茶以外は買わない(※「やることリスト」の4を達成するため)

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取り入れてみて感じた効果と作成のコツ

「やらないことリスト」を実際に作り、日常生活に取り入れてみて感じた一番の効果は、やはり自制心が働くということでした。やらないことをリスト化し、明確なルールとして設けたことで、「今、自分は “やらなくてもいいこと” をしようとしてはいないか?」という意識が芽生えるのです。

また、「やらないことリスト」の効果で無駄に浪費する時間がなくなったぶん、価値のある有意義な「やるべきこと」に時間を費やせるようになりました。やるべきことを妨げる行動を制限することで、やるべきことに集中できる環境を作り出せたのです。

また、「やらなければいけない」だとプレッシャーを感じてしまうのに対し、「やらない」はトライしやすいのも魅力のひとつでしょう。「やることリスト」であればひとつひとつを確実につぶしていかなければならず、特に数が多い場合はさばききれないことも多々ありますが、「やらないことリスト」では、単にそれをしなければいいだけ。いつでも達成感が得られるのです。

ただ、「やらない」と決めたことで自分のストレスになってしまわないように注意する必要があります。そこで、例えば筆者の場合は「1日の課題が終わるまではYouTubeを観ない」と決めましたが、食事中などに並行してYouTubeを観ることは可としました。初めは「やらない」の条件づけを緩めに設定することで、無理のない範囲から取り組めるようになるのではないでしょうか。

ちなみに筆者はSNSをほとんど利用していないので「やらないことリスト」には書きませんでしたが、普段からSNSをよく使っている人は「Twitterは10時~21時の間は開かない」といった形で設定するのも効果がありそうですね。読書を習慣化したいのならば「マンガは1日2冊以上読まない」、スキマ時間に英単語を覚えたいのならば「スキマ時間にはスマートフォンに触らない」など、目標に合わせて「やらないこと」を考えてみましょう。

ほかにもまだある、「やらないことリスト」のメリット

米国のジョンズ・ホプキンス大学の研究でも、課題を遂行するうえで “何が不要かをはっきりさせる” ことが作業効率のアップにつながる、と明らかにされています。

この研究では、モニターに表示された様々な図形から「T」の文字を探す課題を被験者に行なわせました。一方のグループには特に指示を与えずに文字を探してもらいましたが、もう一方のグループには「Tは赤い文字ではない」と教えたうえで文字を探させたのです。すると、はじめは前者のグループのほうが成績が良かったのですが、長期的に実験を続けていくと、後者のグループのほうが成績が良くなることが示されました。つまり、目標に向かって一点集中して頑張れるのは最初だけで、長く習慣化するうえでは、無駄なことを排除したほうが集中力が高まるというわけですね。

このように、“何かを習慣にしたい” あるいは “将来的に達成したい目標がある” など長期的に取り組みたいことがある場合でも、「やらないことリスト」を作成することで、より効率的に実現へと向かうことができると言えそうです。

*** 「やらないことリスト」で無駄な行動を削れば、時間の密度が高まります。「やることリスト」で悩んでいる人は、ぜひ「やらないことリスト」を試してみてはいかがでしょうか。

(参考) 日本経済新聞|成功者は「ToDoリスト」を使わない Study Hacker|やりたいことができないのは無駄が多いから! 「やらないことリスト」で時間の断捨離を。 Cunningham, C. A and Egeth, H. E. (2016), "Taming the white bear: Initial costs and eventual benefits of distractor inhibition." Psychological science, 27(4), 476-485.

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