なぜ「年収1億円男」はいつも電卓を持ち歩くのか? 成功者たちの奇妙な行動習慣。

毎朝、鏡の中の自分に問いかける——これは、Apple創業者のスティーブ・ジョブス氏が毎日行なっていた習慣です。

ジョブズに限らず、一流のビジネスパーソンたちは、普通の人にとっては “ちょっと意外な” 習慣を持っていることも少なくありません。今回は、そんな習慣の裏側に隠された意外すぎる意味を解説します。2019年、皆さんはどんな習慣を作りたいですか?

1. ほぼ全ての提案に「ノー」を突きつける

投資家のウォーレン・バフェット氏は、「成功した人と大成功した人の違いは、大成功した人が、ほとんどすべてに『ノー』と言うことだ」と語っています。直感的に考えると、ビジネスチャンスに乗り遅れないためにも、断わったりせずに “とりあえずやってみる” ほうが良いのではないかと感じてしまいますよね。

ビジネスマナー講師でパームビーチ・プロトコルスクール創設者のジャックリン・ホイットモア氏も、そう考えていたうちのひとりでした。しかし、全ての提案に「イエス」と答えていた彼女は「ビジネスの停滞」と「過度の疲労」に直面します。そこで、これまでの成果を振り返ってガイドラインを設定し、ほぼ全ての提案に「ノー」と言うビジネススタイルへと変更したところ、彼女のビジネスは再度拡大するようになりました。そのガイドラインは以下のようなものです。

・目先の成果ではなく、将来の成果を見据える ・イベントや会議に参加する基準を設定する ・イベントに参加する際は、最大限の成果が得られるよう日程等を交渉する ・自分の専門的な知識を安売りしない ・礼儀正しく断る方法を学ぶ ・自身のリソースを鑑みて、適切にクライアントを選択する

(引用元:Entrepreneur|Why 'No' is the Most Important Word You'll Ever Say ※筆者にて和訳した)

同じく、ほとんどの仕事に対して「やらない」「断る」「捨てる」という態度をとることで業績を拡大させたのが、健康プラザコーワ、ドクターユキオフィス代表取締役の臼井由妃氏。彼女は「仕事のほぼ8割は、やらなくてもいい仕事である」と語り、「責任のある立場になればなるほど、自分にふさわしい仕事を選ばなければならない」と述べています。

あなたが取りかかろうとしているその仕事は、本当に “絶対にやらなければいけないもの” なのでしょうか。時には「やらない」という選択肢を持ち、仕事を適切に取捨選択することで、将来の成功が意外と近づくかもしれません。

2. 電卓を常に持ち歩く

電卓を持ち歩く——「そんなことで何が変わるの?」と疑問に感じるかもしれませんね。この習慣の意義は「数字に慣れる」ことにあるようです

美容室「EARTH」を手がけるアースホールディングス取締役で『年収1億円になる人の習慣』の著者でもある山下誠司氏は、常に電卓を持ち歩くことで以下のような効果が得られたと語っています。

【1】現場の「異常値」を早期に発見し、早期に解決できるようになる 【2】社員の「ごまかし」をけん制できるようになる 【3】数字のトリックにだまされなくなった

これは極端な例ですが、仮に「『1億1万円』のマンションが、明日になれば1万円安くなって、『1億円』になる」ことがわかっていても、多くの人は、明日まで待つことはありません。「1億1万円」も「1億円」も大差ないと考えてしまうからです。 しかし、「1万円のワインが、明日になれば無料になる」とわかっていれば、多くの人が明日まで待つでしょう。どちらも「1万円」なのに、「1億1万円のマンション」になると待てないのは、「1億円」という大きな数字に意識が向いてしまって、「1万円の価値」を冷静に判断できなくなったからです。 (中略) 電卓を持ち歩くようになってからは、こうした「数字のトリック」にだまされることがなくなりました。商品の価値と価格を客観的に判断できるようになったのです

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|電卓を叩くだけで、「お金」に好かれはじめる ※太字は編集部にて施した)

ビジネスにおいて、数字は「お金」を意味します。そのため、何も考えずに見ると意味を持たない数字の羅列も、見方を変えることで多くの情報を引き出すことができます。なぜそのような値段にしているのか、ある時期だけ数字が異常に増減するのはなぜかなど、数字に慣れて好きになることで、よりお金を操作できるようになります。

そういった意味で、山下氏は電卓を持ち歩くことを推奨しています。スマートフォンにも電卓機能がありますが、ホーム画面から電卓アプリを起動させて数字を入力するまで僅かにタイムラグが生まれるため、本物の電卓のほうがスピーディーさは勝るでしょう。カバンから取り出した瞬間にすぐに数字を確認できる状況を作ることが、「数字を見る」ことを習慣化させるための第一歩です。

3. ToDoリストを作らない

起業家で作家のケビン・クルーズ氏が、大きな成功を集めた人物200人にインタビューを行なったところ、14の共通点が見えてきました。そのひとつが「ToDoリストを作らない」です。

タスク管理アプリを開発したアメリカのIT企業「I Done This」が利用者のデータを元に行なった統計調査によると、ToDoリストに記入したタスクのうち、未消化のものは41%にも及んだのだそう。また、ベルリン大学の心理学者クルト・レヴィン氏が学生とともに行なった心理実験によると、未消化のタスクは完了したタスクよりも強く心に残ることがわかっています。この現象は、学生の名を取って「ツァイガルニク効果」と呼ばれています。

ここからわかるのは、タスク整理のために作成したToDoリストは、じつは半分弱も消化できず、さらにそのことが私たちにストレスを与えるということです。一流のビジネスパーソンたちが、遠い先のタスクまでToDoリストに入れないのも、この事実を知っているからなのでしょう。

4. 部屋を片づけない

日本でもベストセラーとなった、近藤麻理著『人生がときめく片づけの魔法』が全米でもヒットしたとおり、「仕事」と「片づけ」の良い関係は世界中のスタンダードとなっています。しかし、以下のミネソタ大学の調査結果を知ると、片づけないことの良さにも気づけるかもしれません

この調査では、48人の被験者を2種類の部屋(散らかった部屋と整理整頓された部屋)に無作為に分け、それぞれに「ピンポン球の新しい使い方」を考えてもらうことでクリエイティビティを比較しました。そこで判明したのは、散らかった部屋で試験を受けた被験者のほうがクリエイティビティが高いという驚きの結果でした。試験を行なった、マーケティング学教授のキャサリーン・ヴォーズ氏は次のように語ります。

ものが片づいているとき、人はあらかじめ決まっていることに固執するようです。反対に散らかっていると、人は規範から自由になるようです

(引用元:WIRED.jp|創造がひらめく「片づけない」魔法

一方で、仕事をうまく進めるためには、片づいている部屋が役立つのも事実。テンプル大学マーケティング学教授のグレイス・チェイ氏は、きれいなオフィスのほうが難しい仕事の達成率が高いことを研究で示しています。

つまり、散らかった部屋と片付いた部屋のどちらが適しているかは、取り組む業務によって異なるのでしょう。例えば、新たなサービスのアイデアを生み出すことが目的ならば、散らかった部屋のほうがいいのかもしれませんね。鮮烈なひらめきが求められる作家や大学教授などの部屋が雑然としているのも、そんな理由があるからなのでしょうか。

*** 一風変わった習慣の裏側には、じつは合理的な理由がありました。ここで大事なのは、一流たちは、自分がストレスなく効率よく仕事を行なえる環境を “自分に合った形で” 作り出しているということです。今回の記事を参考に、自分はなぜその習慣を行なっているのか、そのことが逆に何かの “かせ” になっていないかを自分自身に問いかけ、本当に自分に合った新たな習慣を考えてみてはいかがでしょうか。

(参考) ハフポスト|大富豪やオリンピック選手、大成功した人には14の習慣があった Entrepreneur|Why 'No' is the Most Important Word You'll Ever Say プレジデント・オンライン|成功の秘訣「やらない」「断る」「捨てる」 ダイヤモンド・オンライン|電卓を叩くだけで、「お金」に好かれはじめる ダイヤモンド・オンライン|邪魔をされると目標達成しやすくなる I Done This|THE BUSY PERSON’S GUIDE TO THE DONE LIST(PDF) WIRED.jp|創造がひらめく「片づけない」魔法

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