自分の「市場価値」はどれくらい? VRIOフレームワークで考えるキャリア戦略

VRIOフレームワークという分析ツールをご存知でしょうか? これは経営学の中の「経営戦略」という分野で登場するツールで、企業の経営資源や能力を以下4つの質問への問いから判断するというものです。

  1. Value(経済価値)
  2. Rarity(稀少性)
  3. Inimitability(模倣困難性)
  4. Organization(組織)

これは一般的には企業が競合他者と自社との差別化、優位性を考える際に用いられます。今回はこのフレームワークを我々労働者の環境に置き換えて、キャリアを考えてみましょう。

 

Value

 

それぞれの労働者は教育を受けたり日常生活を送っていく中で、様々な“価値”を身に付けて社会へ出て行きます。 新卒で就職するのであれば、日本においては学歴を参考にする企業がまだまだ多いでしょう。転職ということになればそれに加えて前職の経歴や実績のウェイトが大きくなります。もっと根本的な部分では健康状態、仕事へのモチベーションなども関わってくると思います。

いかに自分の価値を高めていくか、またそれを相手企業にうまくプレゼンテーションするかが鍵になります。また価値は以下の3つの要素がベースとなり、大きく左右されます。つまり自分自身の価値を上げるということは、以下の3要素をいかに身につけるか、ということでもあるのです。

 

Rarity

 

企業について考えてみると、例えばAmazonは非常に強い流通網を持っています。さらに最近では地域限定ですがAmazonプライムの有料会員限定サービスとして、1時間以内に配送する“Prime Now”なるサービスを開始しました。強い流通網に加えてさらに「1時間以内に配送」というどこにも真似出来ないようなレアなサービスが加われば、それは圧倒的な強みとなります。

これは個人も同様で、能力は稀少なもの、つまり持っている人が少ない能力であればあるほど価値があります。例えば公認会計士や医師免許など、難関と言われるライセンスがあり、一般的には報酬も高いといわれています。またTOEIC、TOEFL、IELTSなどの英語に関する資格試験のスコアも上位になるとかなり稀少性が高まります。

もちろんこういった資格やスコア以外にも、自分の経験や経歴で稀少価値のあるものがあればよいアピールができると思います。

 

Inimitability

 

例えば製薬業界を考えてみると、とある企業がある新薬をリリースすると、数年後に他社から同じ効能の薬が世に出回ることがよく見受けられます。これは、先行してリリースした企業が模倣をされていることになります。 模倣されてもできるだけシェアが落ちないようにその間にブランド力を高めるわけですが、まずその技術が簡単には模倣されないか、(時間的にもお金的にもコストがかかる)というところが初めのハードルとなります。

これは製薬メーカーに限らずどんなサービスであれ、一度世に出した以上同じような商品が後続で出てくる可能性はあります。それがヒットすればするほど、その可能性は高まるので、最初から「後発品には絶対負けない」という覚悟と企画力、工夫が必要となります。

これを個人のスキルで考えると、例えば帰国子女の方は“英語力”という、他の人が一朝一夕には身につけられない能力を備えています。だからといってそれに満足するのではなく、最初から有利なスキルをさらに磨き続けて圧倒的にリードすることが差別化となり強みとなるでしょう。

 

vrio-framework2

 

Organization

 

ベンチャー企業と大手企業を一般的な視点で比較してみると、意思決定の速度に差があります。大企業には圧倒的な資本があり動かせる金額には大きな違いがある一方で、小回りが効くベンチャー企業にしかできないビジネスが存在します。 どちらにもそれぞれの良さ、特徴があるため、自分が持っている能力が価値を発揮できる組織に属しているか、またその中で最適の環境を与えられているかどうかを考えてみてください。

もし自分の長所と職場の環境がミスマッチであれば、組織内の評価が自分が思っているより低くなってしまうでしょう。配属や組織形態など、自分ではどうしようもない面もありますがそれも経営者的な視野で捉え、自分が最も活躍できる場かどうかを考えましょう。

*** このように、VRIOフレームワークに当てはめて客観的に自分の能力を捉えることで、自分の強みや弱みを改めて認識することができます。労働市場の中で自分をどう活かしていくかを考え、自らのキャリアを戦略的に考えてみてはいかがでしょうか。

《参考文献》 企業戦略論【競争優位の構築と持続】 | ジェイ B.バーニー | ダイヤモンド社 経営戦略全史 | 三谷宏治 | ディスカヴァー・トゥエンティワン

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