「史上最高の投資家」と名高いウォーレン・バフェット。8兆5428億円を越える純資産を持ち、長者番付では現在2位の世界的大富豪です。長者番付で1位のマイクロソフトCEO、ビル・ゲイツにもメンターとして信頼されている86歳は、どんな読書観を持っているのでしょうか?
今回は、ウォーレン・バフェットにとって読書とはどういうものか、そして彼自身の人生に影響を与えた名著をご紹介します。日本語に翻訳されているものの中から、ビジネス分野を中心に、投資をしない人でも楽しめる本を8冊を厳選しました。
億万長者が勧める良書を読んで、考えをブラッシュアップしていきましょう!
ウォーレン・バフェットにとっての読書とは
「私は1日中オフィスに閉じこもって本を読む」と話すウォーレン・バフェット。1日の勤務時間の80%を読書に充て、思索を深めることに費やしているそう。
以前賢くなる方法について尋ねられた彼は、1日に500ページほど本を読み、知識を積み上げることだと答えています。 投資家としての仕事を始めたときは、1日に読破したのはなんと、600、750~1,000ページ!
私の仕事は本質的にはより多くの事実と情報を集めること。(中略)他の人々の意見に関しては読まない。事実を手に入れて、そこから自分で考えるんだ。
(引用:The Week|The Warren Buffett formula: How you can get smarter)
「史上最高の投資家」の読書観は独特ですね。単なる他人の受け売りではなく、データを集めて自分で考える力は今後ますます重要になっていきそうです。
これからご紹介する本にも、伝記や実際に起こったエピソードが満載ですよ。
1. 投資家のヨットはどこにある?
あらゆるビジネスで成功するために必要な、金融業界を理解するために最適なウォール街の名作。
投資家として富を築いたウォーレン・バッフェットが推薦する多くの本は、やはり投資に関するもの。その中で一番、普段投資をしない人でも楽しめ、役に立つのがこちら。
1940年、ウォーレン・バフェットは10歳の時に本書を読んだそう。2006年の株主への手紙の中でも推薦図書として挙げています。出版から77年経った今も、描写されている金融業界の人々の性質は変わらない様子。今読んでも全く違和感がありません。
今までで一番面白い、投資について書かれた本。このテーマ(金融業界)に関して多くの非常に重要なメッセージが読みやすい形で記されている
(引用:The Sydney Morning Herald|21 books Warren Buffett thinks you should read)
幼い頃からビジネスを始めたウォーレン・バフェットは、11歳にして初めての債権を購入しました。本書を読んだ10歳の頃は、まだ投資は未経験。証券会社を営む父を持つバフェットですが、往年のお気に入りと言われる本書で、金融の世界にさらなる興味が湧いたのかもしれませんね。
2. 影響力の武器 なぜ、人は動かされるのか
アメリカを代表する社会心理学者による、相手の心を動かすという人間心理のメカニズムを解明する世界的ロングセラー。
アメリカのマーケティング・リサーチ・ジャーナル曰く、「マーケターにとって、この10年で出版された本の中で最も重要な一冊」。だまされない賢い消費者になる方法や、他人を説得する技術をプロから学ぶことができます。
自身が会長兼CEOを務める世界最大の投資持株会社、Berkshire Hathawayの株主をはじめとして、人を説得する術に長けているウォーレン・バフェット。本書は彼のオフィスの本棚にあり、何度も読み返しているそう。
Berkshire Hathawayの副会長でよきビジネスパートナーであり、バフェットと共に本を読んでは議論し合うという読書仲間でもあるチャーリー・マンガーも、何度も本書を推薦しています。
3. ビジネスで失敗する人の10の法則
コカ・コーラ元社長兼COOで、12年間にわたり世界200カ国以上の全世界の事業展開を指揮してきた筆者による一冊。
コカ・コーラだけでなく、マクドナルド、ワシントンポスト、ハインツなど数多くの有名企業の取締役も務めた筆者の、60年以上のビジネス経験を元にした法則は一読の価値あり。
筆者のドナルド・キーオには60年間の豊富なビジネス経験があり、ビジネスにおけるリーダーシップについて語るのにふさわしい。すばらしい人物で、彼を友人と呼べることが誇らしい。
ウォーレン・バフェット自身が序文を執筆し、推薦者には、マイクロソフト社CEOのビル・ゲイツやGE(ゼネラルエレクトリック)社CEOのジャック・ウェルチが名を連ねています。
4. 私のウォルマート商法 すべて小さく考えよ
創業以来わずか40年で、売上高世界第1位の企業にまで発展した、スーパーマーケットチェーンのウォルマート創業者による自伝。
年間売り上げは約51兆8千億円! 2002年に西友と企業提携し、その親会社となったことで日本でも注目を浴びたウォルマート。
ウォルマートの名前の由来ともなっているのが、創業者のウォルトン。田舎の商人が売上高世界第1位の企業を作り上げた、アメリカン・ドリームとも言える大成功の裏に潜む数々の工夫とアイディアを描いた一冊。
ウォーレン・バフェットが学生との質疑応答の際に勧め、夏のインターン生へのメールでもおすすめの本として紹介したそう。
5. ジャック・ウェルチ わが経営(上・下)
20世紀の最も優れた経営者として称賛されている、GE(ゼネラル・エレクトリック)元会長兼CEOによる自伝。
ウォーレン・バフェットは、著者を「聡明でエネルギーにあふれ、行動力がある」人物だと高評価。
2001年の株主への手紙に本書を挙げて「素晴らしい本。ぜひ手に入れて欲しい」と記したそう。他にも、本書について以下のようにコメントしています。
(著者の)ジャック・ウェルチはマネジメント界のタイガー・ウッズ。全ての経営者はジャックの経営を参考にするといい。全く同じように再現するのは難しくても、ジャックの言葉に耳を傾ければ少しでも彼に近づける
(引用:Favobooks|Warren Buffett recommends best business books)
(著者の)ウェルチは、現代のビジネスに大きな影響を与えた人物。彼の人生を振り返ることで、全てのマネージャーにとって非常に価値のある教訓が得られる
(引用:Inc.com|18 Book Recommendations From Billionaire Warren Buffett)
20世紀最高の経営者が記す自叙伝は、マネジメントに関わる人なら全員、読んでおいて損はありません。
6. 人を動かす
おなじみのデール・カーネギーによる、世界最大の自己啓発本。
カーネギー曰く、経済的な成功の85%は「考えを表現する力、リーダーシップを発揮する能力、人々の熱意を引き出す能力」によるもの。それらの力を身につけるのに必要なことが本書から学べます。
ウォーレン・バフェットは、デール・カーネギー・コースの卒業生。しかし実は、最初にそのパブリック・スピーキングコースを受講した際、人前で話すのが怖くて中退してしまったのだとか。
勇気をふりしぼり、二度目の受講でコースを修了できた彼は、オフィスにそのコース修了書を誇らしげに飾っているそう。バフェットはカーネギーについて、以下のように語っています。
カーネギーの著作とコースの受講は私の人生を変えた
(引用:Buffettsbooks|Warren Buffett's Favorite Books)
2009年にコロンビア大学でビジネス専攻の学生への講義で「パブリック・スピーキングのようなコミュニケーションスキルを身につけることで、あなたの価値が50%向上する」と述べ、コミュニケーション力の重要性を説いたバフェット。
デール・カーネギーのパブリック・スピーキング講座のエッセンスをまとめた『話し方入門』(Dale Carnegie著, 創元社, 2000年)もおすすめですが、まずは人付きあいの根本原則を学べる本書から始めるといいでしょう。
7. 破天荒な経営者たち ──8人の型破りなCEOが実現した桁外れの成功
桁外れの大成功を収める個性的なリーダーたちの手法や特徴を明らかにした一冊。
成長する会社を見つけて投資し大きなリターンを得るのが仕事のウォーレン・バフェットが深く共感するのも頷けます。2012年の株主への手紙内の推薦図書リストの冒頭にも挙げられていたそう。
資本配分に卓越するCEOについての素晴らしい一冊。
(inancial Post|9 books billionaire Warren Buffett thinks everyone should read)
ウォーレン・バフェットと自身の会社、Berkshire Hathawayも登場。また、本書で取り上げられている経営者の一人であるTom Murphyは、バフェット曰く「私が今まで見た中で最高の経営者」。
「アメリカで最も重要なビジネス本のうちの1冊」とForbesでも評されている本書から、学べることがたくさんありそうです。
8. 人と企業はどこで間違えるのか?---成功と失敗の本質を探る「10の物語」
長者番付1位のビル・ゲイツと2位のウォーレン・バフェット、世界で最もお金持ちの2人にとっての最良のビジネス書としてベストセラーに。
人生 “最良の1冊” を。ビル・ゲイツがすすめる7冊の本でも紹介した一冊。
1991年、今から26年前に、初めて会ったビル・ゲイツに「お気に入りのビジネス本は何か」と尋ねられたウォーレン・バフェットは、ためらいもなく本書を選んだそう。
ビル・ゲイツ曰く、「最初に出版されてから40年以上たつが、今でも最高のビジネス書」。本書が出版された1960年代に比べるとビジネスの中身は大きく変わりましたが、強いビジネスを形作る基盤となるものは今でも同じ。
ビジネスに関わっている人なら全員、必読ですよ。
*** 億万長者ウォーレン・バフェットが勧める本、興味があるものがあれば手に取ってみてくださいね。
また、バフェットが読書仲間と議論し合うように、みなさんも友人や同僚を誘って一緒に本を読み、どんな学びがあったか、実生活や仕事に生かせることがないか話し合ってみてはいかがでしょうか。
事実を元に自分で考える力をつけられるよう、本の選び方と読み方も工夫するといいかもしれませんね。
(参考) Inc.com|18 Book Recommendations From Billionaire Warren Buffett The Sydney Morning Herald|21 books Warren Buffett thinks you should read The Week|The Warren Buffett formula: How you can get smarter Buffettsbooks|Warren Buffett's Favorite Books Favobooks|Warren Buffett recommends best business books Farnam Street|20 Book Recommendations from Billionaire Charlie Munger That will Make you Smarter Financial Post|9 books billionaire Warren Buffett thinks everyone should read