問題の解決策が浮かばない、もやもやしていて上手く考えがまとまらない、という状況は誰しも経験があると思います。そういう時、皆さんはどうしていますか?
私がオススメしたい解決策は、とにもかくにも「言語化」を行うことです。
「人間は、言語の獲得によって高度な思考を可能にした」という説を一度は耳にしたことがあるでしょう。
また、哲学者のウィトゲンシュタインは著書『論理哲学論考』の中で「私の言語の限界は、私の世界の限界を意味する」と述べています。少々難解な言葉ですが、彼が述べようとしたことは「人間は言語を通してのみ、世界とつながることができる」ということのように解釈できます。
このように、人間の知的活動の中心には、どうしても「言語を扱う」ということが絡んできそうに思えます。だからこそ、上手に言語を扱うということは、あなたの思考を一歩先へと進める手助けになってくれるでしょう。
言語化の持つ効能
自分のわかっていることをわざわざ言語化しなくてもいいじゃないか、と思ってしまう人も少なくはないと思いますが、その「わかっている」を確かなものにするためにも、言語化するという行為は大きな意味を持っています。
人間は「わかっていないこと」を「わかっている」と思い込むことがとても得意な動物です。
数学の試験を思い出してください。「授業で理解していたはずの解法が、試験になったら上手く扱えなかった」という経験をしたことはありませんか? また、数学に限定せず、英作文や社会科の論述なんかでも、理解したはずのことが上手くアウトプット出来ないということは珍しいことではないでしょう。
数学や英語ならば問題を解くことで理解不十分だった部分を洗い出すことができますが、学校の勉強の外に出てみればそのように都合の良い「演習」はなかなかできなくなります。だからこそ、自分に「言語化する」という課題を与えることは、理解不十分を洗い出すのに大きな効能を発揮するのです。
次に、言語化をするということは、無意識に「聞き手/読者」を想定するということになります。自分以外の誰かを想定して物事を考えるということは、あなたの思考に客観的な視点を与え、知らず知らずのうちに偏った考えに陥ることを防止してくれます。
さらに言語化を行い、文章として紙に書くことで思考や問題の構造が視覚的に利用できるようになります。
物事の構造が複雑になるほど全体像を理解して総合的に考えることは難しくなるものです。その問題を解決するためにも、言語という便利な道具を利用しない手はないでしょう。
言語化上達のために
言語化をするといっても、ただ闇雲に言葉を連ねれば良いという訳ではありません。何かを言葉で表現するということは、常に「無駄な要素が含まれる」という可能性も秘めています。
そこでオススメするトレーニングが文字数を制限して表現してみるという方法です。
例えば、「100字で何かを表現してみる」という風にすると、漫然と言葉を連ねるだけではなく「何が大切なことなのか」をしっかり整理し、簡潔な表現を考えて語れるようになります。1回100字という短い文章であれば、書くこと自体にも抵抗感がなくて一石二鳥ですね。
でも、100字で書くといっても、一体何を書けば良いのだろうと疑問に思う人もいるかもしれません。ズバリ、何でも良いのです。
その日の楽しかったことや読んだ本の感想、映画の感想、晩御飯の味についてなど、何でも構いません。とにかく日常的に、言葉で表現するということを身体に染み込ませていきましょう。
それだけでも「なんとなく、こんな感じ」で済ませてしまわず、きっちりと適切な言葉を探し出すトレーニングになっていきます。
Twitterは言語化の味方
私の個人的なオススメはTwitterを利用したトレーニングです。
紙に文字を書きながらその文字数を数えるのは面倒だと思います。原稿用紙などを利用しても、ここの表現を削って、こっちの表現を変えよう、と考えているうちに何文字書いたか分からなくなってしまうでしょう。書き直すのも手間ですよね。
その点、Twitterには140字という文字数制限がありますし、残りの文字数を教えてくれる機能を持っています。100字よりは少し多くなりますが、そこに意見や感想、考えなどを書き込むことで自然と言語化の訓練が可能になります。
また、Twitterに書き込むということは誰かの目に触れる文章になるということですから、自然と言語化に必要な「客観的な視点の導入」まで達成されることになります。
日常的なツールを使っていかに効率よく自分を鍛えるかということは、忙しい中で他人と差をつける重要なポイントです。ぜひ、試してみてください。
(参考) Wikipedia|論理哲学論考 5セカンズ|思考を整理する3つのポイント DESIGN IT! w/LOVE|自分にも他人にも容赦をせずに自分の考えを言葉にすることを心がけないと おーちゃんのお金のお話|『思考の言語化を習慣にする方法について』