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唐突ですが、自分の携帯の電話番号を思い出してください。思い出したら、携帯の電話番号を言ってください。ほとんどの人は、このように思い出す時間を与えられれば、言ってくださいという指示に瞬時に答えることができますよね。しかし、もし、急に携帯の番号を言ってくださいと言われたら、まず思い出してから言う必要があるので、先ほどよりは反応が遅くなることでしょう。

この反応には、「ワーキングメモリ」という脳の仕組みが関係しています。今回は、ワーキングメモリとは何か、そして、その改善方法についてお話したいと思います。

ワーキングメモリとは?

上の例からわかるように、人間の脳というのは、すべての記憶を瞬時に引き出せるようにはなっていません。ほとんどの記憶は、長期記憶として脳内の奥、いわばハードディスクのようなところにしまわれています。必要になった記憶は、ワーキングメモリと呼ばれる場所(パソコンでいうとメモリ)に一時的に保管され、いつでも使用できるような状態になります。これが、先ほどでいうところの、携帯の電話番号を思い出したところですね。

ワーキングメモリは容量が少ないので、使わなくなった記憶はすぐに削除されます。しばらく経ってからまた携帯の電話番号を言ってくださいと言われても、少し時間がかかってしまいますよね。携帯の番号の記憶が、ワーキングメモリから削除されてしまったということです。

パソコンのメモリと同じように、ワーキングメモリの容量が増えれば、あらゆる場面で脳の処理速度は向上すると考えられます。次からは、科学的な研究結果を踏まえたワーキングメモリの改善法を見ていきましょう。

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規則正しく健康的な生活を送ることが重要

ワーキングメモリを鍛える一番の方法は、規則正しい生活を送ることです。十分な睡眠と栄養バランスの取れた3食をしっかり摂り、運動をしたり、人と話したりしましょう。こうした生活を送るだけで、ワーキングメモリを十分に使うことができるので、自然と鍛えることにもつながるわけです。食事の時に咀嚼を多めにすると良い、と報告している学者もいるので、意識してみると良いかもしれません。

とにかく、まずは規則正しく健康的な生活を送りましょう。

ゲームをしよう

ワーキングメモリを鍛えるほかの方法として挙げられるのは、ゲームをすること。ただし、すべてのゲームに効果があるかどうかはわかっていません。今回は、研究結果から効果があると明らかになっているゲームをご紹介しましょう。

1.数独やクロスワードパズル

これらのゲームは、いずれも複数の情報を処理する必要があるゲームです。複数の情報を同時に処理することは、ワーキングメモリを活性化させることが分かっています。ワーキングメモリを活性化させるトレーニングを重ねれば、ワーキングメモリは改善されていくというわけです。

2.戦略ゲーム(テレビゲームを含む)

将棋やテレビゲームの「トータルウォー」シリーズのような戦略ゲームも、ワーキングメモリの強化に有効です。こうしたゲームは、数独やクロスワードパズルと同様に、いろいろな要素を同時に処理する必要がありますよね。そのためワーキングメモリが鍛えられ、容量が増えるというわけです。も

しかしたら、黒田官兵衛や諸葛亮孔明などといった軍師は、ワーキングメモリの容量がかなり大きかったのかもしれませんね。今となってはわかりませんが。

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やるべきSNS、控えるべきSNS

ノースフロリダ大学のトレイシー博士の研究結果によれば、SNSの中にはワーキングメモリを改善するものと、衰えさせるものがあるのだそうです。その研究によると、今回のテーマになっている、ワーキングメモリを改善させる効果を持つSNSはfacebookなのだそう。

逆に、日本人の中に大好きな人も多いTwitterはワーキングメモリを衰えさせると言います。全くやらない方がいいというわけではありませんが、ワーキングメモリを鍛えたいなら、いわゆる「ツイ廃」の人は少し控えたほうが良いかもしれませんね。

他には、You Tubeの視聴もワーキングメモリを衰えさせることに繋がるようです。今回は欧米での研究だったので触れられていませんでしたが、ニコニコ動画はどうなのでしょう。少し気になりますね。

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上記で紹介したもの以外には、イメージングという方法もおすすめです。ワーキングメモリに保存しておきたい事項のイメージを絵にかいたり、頭に思い浮かべたりする癖をつけると良いと言われています。それは、文字よりも絵の情報のほうがより多くの情報をまとめて保持できるからなのだとか。ぜひ試してみてください。

ワーキングメモリを鍛えて脳の処理速度を上げることは、IQを上げることにもつながるそうです。記憶力そのものの改善にもつながることが分かっています。

いろいろなことに役立つワーキングメモリ。せっかくの機会ですので、この記事の内容をヒントに、容量を増やしてみてはいかがでしょうか。

(参考)
BBC NEWS|Memory prowess linked to gaming
マイナビニュース|記憶の脳科学
篠原菊紀,「50代からも、脳は成長するという事実:キーワードは『結晶性知能』と『ワーキングメモリ』」,日経おとなのOFF,2015年,6号,pp.16-17.
勝間和代,「『脳のワーキングメモリを鍛える!』トレーシー・アロウェイ、ロス・アロウェイ著」,日経マネー,2014年,4号,p.128.


早稲田大学先進理工学部物理学科所属。横浜サイエンスフロンティア高校卒業。大学では理論物理学を中心に日々勉強に励んでいる。