季節の変わり目に、何かにチャレンジする時。
新たな仕事や、新しい勉強を始めようという時。

そんな時自分をどう奮い立たせるかが、物事のなりゆきには大きく影響してきます。

ただ意気込んで何かを始めるだけでは、途中でうまくいかなくなったり、次第にやる気を失ったりするなどということも起きがち。しかし、物事を始める前の準備の段階で自分に「良い質問」を投げかけておくと、そういった失速を防ぐことができるのです。

その理由は、良い質問は我々が考える以上に、思考や生き方に大きな影響を与える力を持っているから。「今日は何を食べようか?」「このやり方で合っているかな?」「これでうまくいくだろうか?」人は誰でも無意識のうちに、日々多くの質問を自分に投げかけているもの。質問の中身次第で、人生や仕事の充実度は変わっていくのです。

人に良い質問を投げかけることは、その人に深い気づきを与えるだけでなく、やる気を導き「行動する」ための起爆剤になります。これは、質問する相手が他人であろうと自分であろうと同じことです。

「質問は、相手を強制的に特定の方向へ考えさせる力を持っています。
つまり、質問をされると、’1,思考し、’2,答えてしまう、のです。」
「人を動かすには、命令してはいけません。質問をすることです。人をその気にさせるのは、質問をすることです。人を育てるには質問をすることです。そして、人生で勝利するには、やはり質問をすることなのです。」

(引用元:谷原誠著(2016),『「いい質問」が人を動かす』,文響社.)

良い質問とは、質問する相手のためになるものです。良い質問は、答えを限定しませんし、行動を強要することもしません。質問された本人が問題を整理し、答えを見つけるのが、良い質問です。その結果、相手(自問の場合は自分)が本当に望んでいること、その人の可能性、隠れた才能などが引き出されるのです。

このような意図を持った良い質問をするには、質問の内容を体系的に組み立てる必要があり、状況に応じて望ましいやり方と、気をつけるべき注意点があります。

さあ、あなた独自の「良い質問」のボキャブラリーを増やして、新たな行動につなげましょう。

自分を行動させる質問

「人は自尊心の固まりで、他人から言われたことには従いたくないのですが、自分で思いついたことには喜んで従います。だから人を動かすのは命令してはいけません。自分で思いつかせれば良いのです。」

(引用元:デール・カーネギー著,山口博著(1999),『人を動かす 新装版』,創元社.)

これは、多くの経営者の指針として著書が読み継がれているデール・カーネギーの教えです。

人は、上手な質問をされれば、真剣に考えて答えを出します。そして、自分で出した答えには逆らうことなく、それを実行するものなのです。ですから、質問の相手を行動させたいなら、相手の口から、行動を意図する言葉を引き出すことが大切です。

良い質問によって、相手を特定の方向で考えさせ行動させるには、まず相手の感情を動かし、相手が理性で結論を正当化できるように手伝ってあげましょう。つまり、自分が行動を起こしやすくするには、行動につながるような自問をして自分の感情を動かし、行動を理性で正当化できるようにするということです。

例えば、英語のスキルを向上させるためにまとまった金額を費やそうかどうか迷っているなら、「大好きな洋画を、吹き替え無しで見てみたくないか?」と自問することで、自分の感情が動きます。

それから、「仮に現在の制約がないとしたら何が可能か?」の質問で自分の本音を引き出すことも有効です。また、行動にためらいがあるなら、そのためらいをポジティブに解釈しなおす質問をするとよいでしょう。「英語学習にお金を使わないという選択肢にメリットがあるのだとしたら、その根拠は何だろうか?」と確認してみるのです。さらに、自分に決断を迫るなら、対象を絞って2つか3つの選択肢を提示し「どれが一番いいだろうか?」と問うことで、結論を選びやすくなります。

自分を説得したい、自分に行動を起こさせたいときに自分に投げかけるべき良い質問とは、自分に気づきを与える質問です。無理やり答えを導こうとしたり、理想的な行動を強要するような質問であるべきではありません。

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自分を変えるための質問

自分に対して良い質問を使った場合、見逃せない効果は他にもあります。

何か課題があるとき、良い質問を自分に投げかけていくと、真の問題点、やるべきこと、やらなくてもいいこと、行動を邪魔しているものなどがはっきりしてくるのです。

「私が本当にやりたいことは何だろう?」「誰がそれをサポートしてくれるだろう?」と自分に質問し続けましょう。

行動を妨げているもの(物理的な障壁だけでなく心理的なものも)を取り除く方法が整理され、問題を解決し、行動を起こすための筋道が現れます。

自分が行動を起こすか起こさないかは、周りや「自分の外側」が決めることではありません。「自分自身の内側」つまり自分の心がどう考えるかによって、行動を起こせるかどうかは決まってきます。だからこそ、自分に良い質問を投げかけることが重要となるのです。

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良い質問は、人間関係をも変える

このように、自分に対する良い質問のレパートリーが増えることには、自分を取り巻く人間関係をも改善する力があります。

顧客や社内人脈、家族など「相手といい関係」を構築するのに、質問は絶大なパワーを発揮します。

例えば、自分を行動させるには自分の感情を動かすことが大事だと述べましたが、それは当然、相手に対しても同じこと。あなたが家族で温泉にいきたいと考えているなら、まず「『千と千尋の神隠し』のモデルとなった温泉にいってみたくない?」と聞くことで家族の感情を動かし、温泉に行くという行動へ促してみてはどうでしょう。

また、自分の行動は自分に気づきを与えることから始まるわけですが、相手を説得したいときにも、「自分が知りたいことを聞くため」や「説得したい=自分の意見を言う」ためだけに質問を用いるのではなく、相手を気づかせることで行動を導いてみてください。自然と相手をスムーズに説得することができますよ。

このように、相手に良い質問を投げかけながら、相手のリズムに合わせ、相手の自尊心や関心に繋がる場所を探しましょう。効果的に「あいづち・うなずき」のようなリアクションをしたり、相手の話を自分の言葉で言い換えてまとめ、「それは~ということですか?」と確認する質問をしたりするのもいいですよ。相手は、自分の意見が受け入れられているように感じて満足します。

反対に、「知らないのですか?」などと相手を否定するような質問は、相手の心を閉ざします。相手の「自信」「関心」「心地よさ」がある話題を探し、質問することで、相手はあなたに好意を持ちます。そうすれば、良い人間関係へとつながるでしょう。良い人間関係が構築できれば、自分の行動も周囲の行動も、今までよりスムーズに進むはずです。

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新たな勉強や、スキルに挑戦しようというとき、「良い質問を自分に問う」ことは、効率を上げるだけでなく、学ぶ人を飛躍させる原動力になることでしょう。

さああなたは、自分にどういう質問を投げかけますか?

例えばこんな質問をしたら、あなたは何と答えるでしょう。「自分が圧倒的に飛躍するために、犠牲にしなければならないことは何だろうか?」ぜひ自問自答してみてください。

(参考)
谷原誠著(2016),『「いい質問」が人を動かす』,文響社.
デール・カーネギー著,山口博著(1999),『人を動かす 新装版』,創元社.
松田充弘著(2013),『ビジネスで一番大切なしつもん』,日経BP社.