「見られていると普段の実力を出せない」のはなぜなのか。“この3つ” で心が楽になる。

見られていると普段の実力を出せない人のための処世術01

みなさんは、プレゼンテーションや会議で発言するとき、緊張や恐怖を感じずに思いどおりに話せますか? また、職場など周りに人がいる場所でも他人を気にせず、ひとりでいるときと同じように堂々と行動できているでしょうか?

他人に見られている状況になると、途端に正常な思考ができなくなる……うまく話せなくなる……そう悩んでいる人も多いのではないでしょうか

そこで今回は、人前だと緊張して普段どおりの実力を発揮できなくなる人のために、改善策や処世術を脳科学的根拠ともにお伝えしていきます。

「見られていると普段の実力を出せない……」考えられる3つの理由

プレゼンなどの壇上に限らず、職場など周りに人がいる環境に身を置くと、自分が周りの人にどう思われているのか、誰かに注意されないかなどが気になり、パフォーマンスが落ちてしまう人は少なくないはず。これにはいくつかの原因が考えられます。

1つめは、「完璧でいなければならない」という意識が足かせになっているケースです。たとえば、完璧に説明しようとしたあまり、話が長くなって空回りしてしまうこと、ありますよね。すると聞いている側は、要点がわからなくてイライラしたり、話が退屈に感じたりしてしまいます。その空気を察知し、かえって焦ってしまうのです。

2つめは、「自分に自信がない」というケース。失敗や相手からの反論を極端に怖がり、緊張して委縮してしまうのです。心理カウンセラーの高橋かずえ氏は、こういった人には「格好をつけたい」という心理があるのだと解説しています。高橋氏いわく、「有能に見られたい」「しっかりしているように見られたい」と思う人は、「本当はそんな人間ではないけど…」という否定的な気持ちを持っているとのこと。自らに自信がないからこそ、他人の前に立つと「格好をつけなければ」と焦って緊張してしまうのだそうです。

そして3つめは、そもそも生まれ持った気質として緊張しやすいというケースが挙げられます。生まれながらに高い感受性を持つ人は「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と呼ばれており、なんと全世界の5人に1人が該当するのだそう。これは決して病気や障害ではなく、あくまで先天的な心理的特性。しかし、HSPの人は「他人からの反論や指摘を恐れるあまり、周りに同調し意見をしないようになる」と、心理カウンセラーの坂本純子氏は指摘します。

いずれにせよ、人前で普段の実力がなかなか出せないでいると、仕事に支障が生じることも。たとえば、会議でよい案が浮かんだものの発言ができなかったり、大きな仕事を任されそうになったものの自信がなくて他人に譲ってしまったり……。ビジネスパーソンとして評価を得る、あるいは成長するチャンスを逃してしまいます。

そこで、以下に紹介する3つの対策を実践してみてはいかがでしょうか。緊張しがちな人にとって、いい処世術となるはずです!

見られていると普段の実力を出せない人のための処世術02

1. 無理に説明しつくそうとしない

「完璧に説明しないといけない」という思いにとらわれるあまり、普段の実力が出せない人は、いったん「6割や7割ぐらいの出来でも大丈夫」という意識を持つことが大切です。

多摩美術大学教授でコミュニケーションラボ代表でもある佐藤達郎氏は、説明をするうえで注意すべきことを自身の体験から話しています。

以前の僕は、あれやこれや、手を替え品を替え、すべてを説明しようと心がけていました。プレゼン相手が渋い表情を見せると、気持ちがあせってしまい、よく回らない口で、おおいかぶせるように説明をさらに繰り返す。とにかく沈黙に、耐えられなかったのです。説明を重ねることしか、解決法が頭に浮かびませんでした。

(引用元:ダイヤモンドオンライン|話すのが苦手だから××を目指さない 7つの「しない努力」

佐藤氏は、プレゼンが苦手な人ほどきちんと説明しようとするが、プレゼンで大切なのは「説明すること」ではないと話しています。説明は簡潔にして、そのあとに相手の反応を探り、もし反応が気になる人がいたら、こちらから「質問ありましたらどうぞ」などと、相手の発言を促して本心を聞き出すのがいいとのこと。

たとえば新製品について取引先に説明する際、「この商品は新機能がこうなっており、ターゲットは子どものいる家庭です」というように、まず簡潔にわかりやすく説明をし、そのうえで質問を受けつけるのです。そこで「以前の商品との違いは何ですか?」などと質問が来れば、相手が疑問に思っていることが把握できますよね。それらを逃さず、聞かれたことをシンプルに答えていきましょう。

最初から完璧に説明しようとはせず、まずは要点だけ伝えたうえで、相手が投げてきたボールを打ち返す――それぐらいの姿勢でいいのです。

見られていると普段の実力を出せない人のための処世術03

2. 視線が自分に集まりすぎないように指を指す

人に見られることが苦手な人が説明をする際のコツとして、著書『トヨタで学んだ「紙1枚! 」にまとめる技術』がベストセラーとなった浅田すぐる氏は、「視線のマネジメント」を提唱しています。

(前略)指さしによって、人の視線は必ず指をさした先に向かいます。

すると、視線だけでなく、意識もその先に向くことになります。結果、そこに示されている内容に集中できるようになるため、こちらの説明が短時間で理解してもらいやすくなるのです。

(引用元:東洋経済オンライン|説明下手な人に足りない「たった1つの動き」

浅田氏がすすめる視線のマネジメントは、前述の「説明は要点を伝える」と同じく、「聴き手は重要と感じたポイントしかインプットしてくれない」ということを踏まえたテクニックです。

話者が何も動作をしないと、聴衆はどこを見ていいのかわからず、視線をこちらに戻してきます。それが無言の圧力となり、緊張や恐怖を引き起こしてしまうのです。しかし、ピンポイントで見てほしい箇所を指で指すことにより、みながそこを集中して見てくれます。聴衆の視線というストレスが緩和されるのです。

これは、スクリーンを使ったプレゼン時はもちろん、紙の資料を配布した際にも使えるテクニックです。たとえば、「この資料の4ページのここを見てください」と指を指して見せれば、聞き手の視線はその資料に向かいます。

聴衆の視線と意識をこちらに集中しないようにするという意味でも、「指を指す」というテクニックは効果的といえそうですね。

見られていると普段の実力を出せない人のための処世術04

3. 高い服を着る

周囲の視線や意識に対する処世術を紹介してきましたが、前述した「自らに自信がなくて人前で萎縮してしまう」というような人であれば、自らの心理に訴えかける手段もあります。方法はとても簡単で、気合いの入った「高い服を着る」というものです。

このテクニックが効果的だと話すのは、有限会社アンギルド代表取締役社長で、200冊を超える著書がある内藤誼人氏。適当な安い服を身に着けるのと、お気に入りの高い服を身に着けるのとでは、心理的に明らかな違いが生じるとのこと。

人間は、身に着けるものも含めて自己という認識を持つので、安い服を着ていると、自分がつまらない人間のように感じられておどおどしてしまう。一方、高級なものを身に着ければ、それに見合う人間になろうという意識が強められ、堂々とふるまうことができるようになるのだ。

(引用元:プレジデント・オンライン|「高級な服」を着る人が緊張しにくい理由 ※太字は筆者が施した)

自分は弱い立場で、ほかの人間が強い立場である――そう思い込んでしまうことで、他人の反応に恐怖を感じてしまいます。そんな思考を変えるために、お気に入りの高い服を身に着けるのです。自らの価値を高めることで、周囲の人間に対して反射的に卑屈になるのを防げます

日本服装心理学協会によれば、服装には着る人の心を動かす力があるとのこと。着ている服によって人の思考や行動は変わるからこそ、こういった服装の心理効果を利用することで、人は生きやすくなるのだそうです。

また、服に限らず、靴やネクタイを奮発してよいものにしたり、髪の毛を美容院で自分らしく整えたりすることでも同じ効果が得られるでしょう。人前でも自分に自信を持ち続けられるようにトータルコーディネートしていれば、オフィスでも壇上でも、自分の立場が少し高く感じられ、周囲の視線や仕草が以前ほど気にならなくなるのです。

***
見られていると普段の実力を出せないと感じる人は、ぜひ3つの方法を試してみてください。本来の自分を発揮できるようになるといいですね!

(参考)
東洋経済オンライン|地頭の良い人は「簡潔な説明」が上手すぎる
ウーマン・エキサイト|自信がなくて緊張…どうやったら人前で話せるようになりますか?【心屋仁之助 塾】
ウートピ|敏感すぎて人間関係がしんどい……HSPの対処法と向いている職業は?
ダイヤモンドオンライン|話すのが苦手だから××を目指さない 7つの「しない努力」
東洋経済オンライン|説明下手な人に足りない「たった1つの動き」
プレジデント・オンライン|「高級な服」を着る人が緊張しにくい理由
日本服装心理学協会|服装心理学とは-服装は心を動かす

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

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