ここぞという場面で失敗するのは「本能」のせい。簡単に「脳をだます」方法、教えます

脳をだます方法1

「大事な試験の日、肩に力が入りすぎて力が発揮できなかった」
「しっかり準備したはずなのに、いざ人前に立ったら頭が真っ白になって、プレゼンがうまくいかなかった」
このように、緊張で思い通りに実力が発揮できなかった経験はありませんか?

緊張していると、息が浅くなったり、手に汗をかいたりと、身体的な変化が起こることがあります。また、自分をコントロールできなくなったり、不安感が強まったりと、メンタルにも影響を及ぼす場合もあるでしょう。じつは、これらの症状は、工夫をすれば乗り越えることが可能です。

今回は、「大切な場面で成果を上げられない」人がここぞという場面で実力を発揮するために、緊張に振り回されないコツ をご紹介します。

私たちが緊張するのは「本能」が原因

そもそも、私たちはなぜ緊張するのでしょう? じつは、緊張してしまうのは、古代からの根強い本能のせい。

原始人は、自分たちにとって脅威となる野生動物などを目にするたび、生き残るために、戦うか・逃げるかの選択に迫られていました。この反応は、「戦うか逃げるか反応(闘争か逃走か反応)」と呼ばれ、現代の私たちの体にも根強く残っています。 

恐怖を目の前にしたとき、私たちの体は、交感神経が優位になり、血液は筋肉に集中し、緊張状態を引き起こします。つまり、命を守るために戦闘モードになっているということ。緊張したときに、お腹がモヤモヤするのは、このとき優先度の低い消化器などから血液が不足してしまうためなのです。

現代の私たちは、野生動物に襲われるといった命の危険にさらされることはありませんが、代わりに「人生がかかった試験」「絶対に失敗できないプレゼン」などに恐怖を感じる場面はあるでしょう。そんなとき、本能的な反応を上手にコントロールできれば、良い結果を出せると思いませんか?

では、緊張に負けないためのコツを、以下で詳しく見ていきましょう。

脳をだます方法2

「パワーブリージング」で落ち着く

大事な場面で、緊張しすぎて実力を発揮できないのはもったいないですよね。ゲームデザイナーで、TEDでスピーチもしたことのあるジェイン・マクゴニガルは、不安に襲われたとき、落ち着きを取り戻すには「パワーブリージング」が効果的であると提唱しています。

パワーブリージングのやり方は簡単。息を吸った倍の時間をかけて息を吐くだけです。たとえば、4秒かけて息を吸ったなら、8秒かけて吐くということ。最初は長く呼吸できなくてもかまいません。1秒で吸って2秒で吐くことに慣れてきたら、だんだんと長い呼吸をするよう意識しましょう。

前述したように、ストレスや緊張があると、体が「戦うか逃げるか反応」を起こし、アドレナリンが放出され、交感神経が優位になります。しかし、パワーブリージングを行なうことにより、心拍数が下がり、筋肉の強張りもほぐれるそう。

人がリラックスしているときの自然な呼吸は、【吸う1:吐く2】の割合であるため、緊張しているときに呼吸を同じ状態に整えることで、「私はリラックスしている」と、脳を騙すことができるのだとか。

大事なときに、手が震えてきたり、不安で頭が真っ白になってしまったりした際は、ぜひ実践してみてくださいね。

脳をだます方法3

「リフレーミング」で嫌な気持ちを逆転させる

パワーブリージングは、特効薬のようなものなので、緊張してしまったときの緊急避難のために使うのがおすすめです。では、根本的に不安にならないためのマインドセット(考え方)をつくるには、どうしたら良いのでしょうか。

ネガティブな感情に陥らないためには、「リフレーミング」というテクニックが有効です。

「リフレーミング」とは、同じ出来事を、解釈を変えてポジティブに捉えること。不安や緊張でドキドキしているときも、楽しくてワクワクしているときも、人間の体は同じように心拍数があがり、次の行動に備えています。たとえば、プレゼン前に、プレッシャーを感じてしまったら「自分はワクワクしているだけだ」と声に出してみましょう。頭の中で唱えるだけでもOKです。少し強引に聞こえるかもしれませんが、不安を「ワクワク感」だと解釈し直すことで、ストレスを和らげることができるのです。

ハーバード大学が行なった実験でも、その効果が証明されています。実験は、被験者の学生らを、人前でのスピーチや数学のテストなどの緊張しやすい場面に参加させ、不安になったら「興奮してきた!」と叫ぶよう指示するというもの。

その結果、叫ばなかったときに比べ、スピーチの評価は17%上がり、数学テストの成績は22%向上したそう。自己暗示とはまさにこういうことですね。不安になった際は【ポジティブな解釈】を自分に言い聞かせ、自身を鼓舞してみてはいかがでしょう。

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あがり症は先天的なもので克服できない、と思ってしまうかもしれませんが、呼吸法とリフレーミングを実践することで緊張や不安を和らげられます。きっと大事なときに力を発揮する助けになるので、ぜひ試してみてくださいね。

(参考)
Harvard Health Publishing|Understanding the stress response
医療法人山桃会 矢山クリニック|いのちと気②
Very Well Mind|How the Fight or Flight Response Works
Cosmopolitan|This breathing trick could help to calm your anxiety in seconds
TED|ゲームで10年長生きしましょう
ビジネス心理学|リフレーミングとは
DaiGo(2018),『週40時間の自由をつくる長時間術』,実務教育出版.

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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