学校や資格試験の勉強に適したノートの取り方を模索しているけれど、なかなか良い方法が見つからないという方は多いのではないでしょうか?
「あとから見返したときにわかりづらい」
「どの範囲までメモをしたらいいのかわからない」
「資格勉強に役立つノートが作りたい」
など、さまざまな悩みがあるかと思います。
そんな方々にぜひおすすめしたいのが「コーネル式ノート術」です。コーネル式ノート術のメソッドと利点を以下で詳しくご紹介しましょう!
コーネル式ノート術とは
コーネル式ノート術は、コーネル大学の教授ウォルター・パーク氏によって開発されたノート術です。
パーク氏が学生向けに考えたコーネル式ノート術は、現在アメリカの大学や研究機関で最も多く取り入れられているノートの取り方となっています。
パーク氏のメソッドによるノートの取り方は次の通り。
- ノートを上図のように分けます。1と書かれている右側の一番大きなスペースが、講義などを聴きながら「ノートを取る」場所。長文ではなく、略語などを使って箇条書きで簡潔に記入します。
- 左側の2は、「キーワードや質問」を書くスペースです。ノートをとった際の記憶が新しいうちに、学んだ内容を思い出す手がかりになるような単語や、それに関する質問を書き込んでください。キーワードを記入することによって、学んだ内容を把握し直すことにつながります。
- ページの下部には、1ページの内容を2、3行でまとめた「サマリー」を書きます。短い内容にまとめなければならないため、情報の取捨選択や文章の工夫が必要です。ここで、学んだ内容がきちんと頭に入っているか確認することができます。
前述した通り、コーネル式ノート術は多くの大学や研究機関で取り入れられているそう。いったいなぜ、コーネル式ノート術は勉強や研究に推奨されているのでしょう? 以下で詳しく見ていきます。
【メリット1】学んでいることの理解がより深まる
学びを深めるにはノートを取ることが有効という研究結果が出ています。
プリンストン大学のパム・ムラー教授とカリフォルニア大学のダニエル・オッペンハイマー教授らが、講義内容の理解度を調べる実験を行なったところ、手書きでメモをとっていたグループは、パソコンでメモをとっていたグループよりも良い結果を出したそう。
タイピングは、情報を自分の言葉に直す必要がないため、単に文字を追っているだけになりがちであると教授らは結論づけています。反対に、手書きでメモをとるには、内容をある程度理解してまとめる必要があるため、書きながら内容のコアをつかむことができるのだそう。
さらに、コーネル式ノート術は、ノートスペースが普通のノートより小さく、サマリーは2、3行に収める必要があるため、普通のノートよりも工夫してまとめる必要がありますよね。そのため、理解を深める効果が高いのです。
【メリット2】記憶を定着させる効果がある
コーネル式ノート術は、記憶を定着させる効果があるため、試験勉強にも最適です。
人間の脳は、「何度も繰り返し使った情報」を「生きていくために重要な情報」だと判断し、記憶する習性があります。コーネル式ノート術は、講義中にとるメモの量が少ないため、内容について深く考えながら講義を聴くことができますよね。そのため、インプットした情報が、脳にとって重要な情報だと判断されやすくなります。
加えて、毎回復習し、授業の内容をサマリーという形でアウトプットする必要があるため、ノートを取るだけで必然的にインプット・アウトプットの回数を増やせるのです。そのため、学んだ情報が重要な情報だと判断されやすくなり、記憶が定着しやすくなります。
講義の内容をメモし、後から重要なキーワードを書き出し、サマリーでまとめる。コーネル式ノート術の通りにノートを取ること自体が、すでに勉強の一環になっているのです。
また、時間が経つにつれ、ノートを取った人と、タイピングをした人の記憶レベルに差が出てくることもわかっています。
ワシントン大学のサンドラ・ヘイル教授が発表した研究結果によると、講義直後にテストを行なった際には、パソコンにメモをしたグループのほうが、手書きのグループよりも高い点数をとったものの、講義から時間をおいてテストをしたところ、手書きでノートをとったグループのほうが良い結果を出したのだそうです。
タイピングの場合、記入できる情報量は多くなりますが、まとめる必要がないため、積極的に理解できておらず、時間が経つと忘れやすいよう。
コーネル式ノートは、手書きであることに加えて、インプット・アウトプットがしっかりできるため、記憶に定着しやすいのです。
【メリット3】ノートを取るのが苦手な人にも有効
学んでいることの理解がより深まり、記憶に定着しやすいコーネルノート術ですが、そもそもノートを取ることに苦手意識を持っている方や、もっとうまくノートを取れるようになりたい方にも有効です。
「右側の列でノートを取り終わったあとに、左側の列でキーワードを書き出す」ここまではあまり難しくないでしょう。最大のポイントは、最後に「ぺージ下部にサマリーを書く」ところです。サマリーを書こうとしても、ノート欄やキーワード欄に必要な言葉が入っていなければ、まとめるのが難しくなるでしょう。
そこで、自分が講義中や勉強中にノートをとる際、本当に必要な点をノートに取れていたのか疑問が出てくるかもしれません。 この一連の流れを通して、自分自身のノートの取り方に疑問を持ったり、改善点に気づいたりすることで、ノートを取ることが上達していくでしょう。
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コーネルノート術は、ノートをとるだけで学びを深め、記憶を定着させてくれます。また、コーネル式ノート術を実践し続けることで、ノートを取る技術も向上していきます。試してみる価値は高いのではないでしょうか。
(参考)
STUDY HACKER|アメリカの名門大学発! コーネル式ノート術をやってみたら驚くほど勉強が捗った話。
Wikipedia|Cornell Notes
Psychological Science|The Pen Is Mightier Than the Keyboard: Advantages of Longhand Over Laptop Note Taking
American Psychological Association|Note-taking with computers: Exploring alternative strategies for improved recall
My Future Campus|アメリカ名門大学が開発!コーネル式ノート術で学習効率がガラッと変わる!
STUDY HACKER|脳科学が証明。さくさく暗記できる3つの「最強ノート術」
【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。