きれいすぎる本棚は “死んでいる”!? 「生きている本棚」に変えてみたら頭の中が整理された

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あなたは、買いためた本をどのように本棚に並べているでしょうか。多くの人は、おそらく「買った順」「50音順」「作者ごと」「ジャンルごと」というようなルールで並べているかと思います(あるいは、「本の並べ方なんて考えたこともなかった」という人もいるかもしれませんね)。

これらのどれかに当てはまった人は要注意。あなたの本棚は、本の知識を十分に活かしきれない「死んでいる」状態である可能性がとても高いのです

では、本棚が「死んでいる」と、いったいどんなデメリットが生じるのでしょうか。また、本の知識を最大限まで引き出せる「生きている」本棚とは、どのようなものなのでしょうか。詳しく解説していきます。

生きている本棚/死んでいる本棚

まず、「生きている」本棚と「死んでいる」本棚の定義について解説します。

『「若作りうつ」社会』などの著書をもつ精神科医の熊代亨氏によると、「生きている」本棚とは、本の持ち主の脳内がそっくり反映されたように本が並んでいるものをいいます。

このような「生きている」本棚では、本同士の関連性が一目でわかり、頭の中の知識もすっきり整理されるので、いざ本の知識を使いたいときにも、スムーズにアウトプットすることができるのだそうです(※具体的にどのようなものが「生きている」本棚なのかは後述します)。

一方で「死んでいる」本棚とは、本の持ち主の脳内と本の並びとが対応していないようなもののことです。具体的には、本がいい加減な順番で並んでいたり、ただ単にジャンルや50音順などで機械的に並べられているだけの本棚のことを指します。

このような「死んでいる」本棚では、せっかくストックしてある本の知識をうまく活かすことができません。

死んでいる本棚を生きている本棚にしてみた。

「生きている」本棚では、“関連本” がひとまとまりになっている

ニュースサイト「ハフポスト」日本版編集長の竹下隆一郎氏によると、本棚の生き死にの差が如実に現れてくるのは「本を使う」ときなのだそう。

「本を使う」というのは、本の知識をもとにしてアウトプットすることを指します。たとえば、ビジネス本で知ったノウハウを仕事に活かしたり、本で学んだこともとに日記やブログを書くことなどが「本を使う」という場面です。

そして「本を使う」ときは、1冊の偏った見方だけでなく、関連する複数冊の本の知識を有機的に組み合わせることで、より良質なアウトプットをすることができます

たとえば「部下をとことん叱るべきだ」と書かれたマネジメント本を読んだとします。その1冊だけの知識を鵜呑みにすると、時と場合にかかわらずいつも部下を叱ってばかりの偏った指導になってしまいますよね。一方で、マネジメントに関する本を複数冊読むと、「部下をとことん叱るべきだ」「部下を褒めるべきだ」「部下と同じ目線に立つべきだ」など、さまざまな意見を知ることができます。

こうした多角的な視点の知識を綜合していくと、どういうときには部下を叱るべきで、どういうときには褒めるべきなのか、部下のタイプによりどう接し方を使い分ければいいのかというふうに、知識はよりきめ細かく深いものになっていくのです。

そのため、「マネジメントに役立つ本」など同じテーマの本はひとまとまりにして本棚に並べておくことで、いざそれらの知識が必要になったときに使い勝手がよくなります。関連本をいっぺんに取り出し、部下の叱り方についてはこの本、褒め方についてはこの本という具合に使い分けたり、横に並べて読み比べたりすることができるのです。

死んでいる本棚を生きている本棚にしてみた。03

「死んでいる」本棚では、“関連本” がバラバラになっている

ところが、「50音順」「買った順」「作者ごと」「ジャンルごと」などのルールで機械的に本を並べてしまうと、先ほどの例でいうところの “マネジメント法” というくくりで結びついていた本がバラバラに離れてしまいます。つまり、本棚が「死んでいる」状態になってしまうのです。

「マネジメント本という “ジャンルごと” の分類なら問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、これにもやはり欠点があります。なぜならば、「マネジメントに役立つ本」は、必ずしも(ジャンルとしての)マネジメント本だけとは限らないからです。

たとえば、「部下のモチベーションはどうしたら上がるのか」ということを知りたいとしたら、マネジメント本だけでなく、心理学や脳科学の本が役立つかもしれません。「どんな言葉をかければ部下に響くのか」を学ぶには、松下幸之助さんの名言集や、池井戸潤さんの企業小説だって参考になりうるでしょう。

「生きている」本棚づくりにおいては、本のジャンルの垣根すら超え、あくまで「何に役立つか?」という目的ごとに分類することが重要なのです

これらのことをまとめると、以下のようになります。

【「生きている」本棚】
◎「何に役立つか?」という目的ごとに本がまとまっている
◎ 本の知識をリンクさせて活用できる
◎ 本で得た知識が視覚的に整理される

【「死んでいる」本棚】
× 本の並びにルールがないか、単に機械的に分類されている
× 本の知識をリンクさせて活用しにくい
× 本で得た知識が視覚的に整理されない

死んでいる本棚を生きている本棚にしてみた。04

「生きている」本棚の作り方

では、「生きている」本棚を作るには具体的にどうすればいいのでしょうか。前出の竹下隆一郎氏が実践している方法をご紹介しましょう。それは、本を「読んだ感想ごと」に自分オリジナルの分類をするというもの。

たとえば「マネジメントに役立つ本」「元気が出た本」「生き方の参考になった本」「“個の活躍” に関する本」というような具合です。前章の繰り返しになりますが、あくまでも一般的なジャンル分けにはとらわれないでください。

分類ができたら、わかりやすいよう、分類名はマスキングテープなどに書いて本棚に貼っておきます。どうしても分類名が思いつかない場合は、読んだ印象や読後感が似ていると感じた本を5冊集め、それらの共通点を言葉にしてみましょう。

竹下氏によると、このようなオリジナルの分類をすることで、本が使いやすくなるだけでなく、別々の本同士が思わぬ形でリンクするというメリットもあるのだそうです。

たとえば、竹下氏の本棚には「個人が活躍する本」というコーナーがあります。このコーナーには、今後、企業の力が弱くなっていき、個人が活躍する時代に突入していくにあたって参考にできそうな本がまとめられています。

「個人が活躍する本」コーナーには、夏目漱石の小説『吾輩は猫である』と、ブロガーのはあちゅう氏が書いた自己啓発書『「自分」を仕事にする生き方』が一緒に入っています。この2冊は一見まるで異なる本ですが、“個人の活躍” という視点で見ると、じつは共通項があるというのです。竹下氏にならい、両書から一部を抜粋してみましょう。

《猫などはそこへ行くと単純なものだ。食いたければ食い、寝たければ寝る、怒るときは一生懸命に怒り、泣くときは絶体絶命に泣く。》
(夏目漱石『吾輩は猫である』より引用)

《仕事を選ぶ時、「世間体」は捨てる。(中略)それよりも、自分が幸せかどうかを優先させてください。》
(はあちゅう『「自分」を仕事にする生き方』より引用)

こうして並べてみると、2冊の本はたしかに「自分の個人的な思いをもっと押し出してもいいんじゃないか」という共通のメッセージを含んでいることがわかります。

2冊の本がもとから似通っていたというよりは、“個の活躍” というひとつの切り口が設けられたことで、思いもよらぬ共通項を発見できた、というほうが適切でしょう。一見相いれない本同士がリンクすることで、読み慣れた本の新しい読み方を発見できるというのも、この分類法がもたらすメリットなのです。

【実践!】自分の本棚を生きている本棚にしてみた

というわけで、筆者もこの本棚術を実践してみました。

初めは下の写真のような状態でした。特に何も考えず作家ごとに並べていたので、単に “整理されている” だけ。きれいに整ってはいますが、典型的な「死んでいる」本棚です。

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↑ 筆者の本棚の一部

そこで、今回で紹介した方法を用い、本を自分なりのオリジナルなジャンル分けで並べ替えていきます。

最初に手に取ったのは夏目漱石『三四郎』。上京したての大学生が、不慣れな東京の街でさまざまなことを経験をし、内面的に変化していくというのが『三四郎』の内容です。初めて読んだときは筆者も大学1年生で、自分と重ね合わせながら読んだ記憶があります。

「大学生が主人公の小説がほかにもないかな?」と探してみると、吉田修一『横道世之介』、村上春樹『ノルウェイの森』、伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』、森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』、宮本輝『道頓堀川』の5冊が見つかりました。いずれも大学生特有の瑞々しい感情が描かれているという共通点があったので、『三四郎』を含むこれら6冊を「大学時代がなつかしくなる本」と命名することにしました。

付せんにジャンルを書き、本棚の枠に貼っていきます。

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また、「常識がくつがえされた本」コーナーとして、市川浩『〈身〉の構造』、網野善彦『日本の歴史を読み直す』、菊地成孔・大谷能生『東京大学のアルバート・アイラー』、ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』、内田樹『寝ながら学べる構造主義』などを分類。どの本も、これまでに持っていた価値観がくつがえされるような驚きを与えてくれた本だったので、このネーミングになりました。

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ほかにも、「テンション下げたいときに読む本」「スマホを捨ててアナログ生活してみたくなる本」「『人の動かし方』を学べる本」などと分類。筆者の本棚はこのようになりました!

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ほんの大きさや順番がけっこうバラバラになってしまいましたが……昔読んだ本を読み返したいときや本の知識を活用したいとき、このような整理がされていることで、すぐに目当ての本を探し出すことができます。何より、今まで読んできた本たちが自分の中で地図のように体系化されるので、頭の中まですっきりと整頓されたような気分になりますよ。

この本棚づくり、実際にやってみるととても楽しい作業になるはずです。自分がどんな本を読んできたのか振り返るという意味でも、ぜひ一度試してみてください。

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読書好きな人でも、ついおろそかになりがちな本棚づくり。本稿で紹介したテクニックを活用して、本の知識を120%活かせる本棚を目指してみましょう!

(参考)
Books and Apps|本棚って、脳の一部だと思いませんか?
The Huffington Post|知的生産のための本棚120%活用術
ダイヤモンド・オンライン|いい本棚は頭の中身もアップデートしてくれる
はあちゅう(2017),『「自分」を仕事にする生き方』, 幻冬舎.

【ライタープロフィール】
佐藤舜
中央大学文学部出身。専攻は哲学で、心や精神文化に関わる分野を研究。趣味は映画、読書、ラジオ。人生ナンバーワンの映画は『セッション』、本は『暇と退屈の倫理学』。好きな芸人はハライチ、有吉弘行、伊集院光、ダウンタウン。

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