あなたは “有能な怠け者”? それとも “無能な働き者”? 組織にいる人間「4つのタイプ」

かわいい表情のナマケモノ
ビジネスシーンでは悪者扱いの「怠惰」ですが、近年は “大きな資産になるかもしれない” と考える視点があります。「仕事の効率化に長けた、デキる怠け者さん」への注目度が高まっているそう。

だからといって、単に怠ければいいわけではありません。怠け者にも「デキる怠け者さん」と、「ダメな怠け者さん」がいます。怠け者を自負するあなたは、どちらの怠け者さんですか? さっそく掘り下げていきましょう。

そもそも人間は「怠け者」である?

作家、講演家、コンサルタントのジェフリー・デイビス(Jeffrey Davis)氏は、『 Psychology Today』のなかで、人は退屈な仕事にウンザリしたとき、もっと簡単にその仕事を終わらせてしまう方法はないかと探すクセがあると説明し、「そもそも脳は怠惰のために配線されている」と述べます。

私たちの祖先は、常に食べ物を奪い合い、捕食者から逃げていました。そのため、生きるか死ぬか以外の状況では、エネルギーを温存していたと考えられます。そうした脳の配線が、いまも私たちの頭の中に生きているわけです。

その証拠に、2018年9月18日に発表されたブリティッシュコロンビア大学の脳波図を使った研究では、私たちが怠惰(座りがちな行動)を避けて活動的になろうとすると、“余分に” 脳資源が必要になると示されました。

つまり、活動には負荷がかかること、誰もがみな怠惰に引きつけられてしまうこと、さらには誰もが「デキる怠け者さん」になれる資質を持っていることがわかったわけです……!

余裕を見せるデキる怠け者のビジネスパーソン

「怠け者」が注目されている理由

先述のとおり、人は望ましくない(退屈あるいは大変な)仕事を前にすると、「もっと簡単に、ラクにできないか」とあらゆる方法を探すようになります。まさに発明家による、発明の原理ではないでしょうか。「怠惰」は、時間と労力を節約するため、プロセスを合理化し、仕事を効率的にするのです。

「怠惰(Lazy)はイノベーションを促進する」

と、ジェフリー・デイビス氏はいいます。

近年は、心理学者やビジネスリーダーたちがこうしたことに気づき、

  • 戦略的な怠惰
  • 物事をラクにしていこうとする傾向

が、じつは強力なツールであり、資産かもしれないと考えているそうです。

あのビル・ゲイツ氏も、困難な仕事の担当者はむしろ怠け者を選ぶのだとか。「怠ける人ほどうまく簡単に仕事をこなす方法を見つけられるから」とのこと。

オフィスで余裕たっぷりのデキる怠け者さん

「怠け者」ほどよく働く?

体重計など計測器の大手メーカーとして、健康にまつわる総合事業を手がけるタニタの谷田千里社長にも、「怠け者のほうがよく働く」という持論があるそうです。

たとえば、受注→入力→発注→在庫確認→発送手配といった一連の仕事の流れがある場合、怠け者は「この部分を自動化できないか」「ボタンひとつでプロセスを簡素化できないか」と、必死に合理化できる箇所を探し、効率化を目指すからです。

「結局、怠け者ほどいろいろ頭を使う」と谷田社長。

つまり、これが「仕事の効率化に長けた、デキる怠け者さん」の理論です。怠けたいから、ラクに仕事をしたいから、日々考え抜いて、仕事を効率化して、実行に移しています

うーん、もはや怠惰とはいいがたい気も……!?

考え抜き、実行でき、成果を出すからこそ、のんびりできるデキる怠け者さん

自分が「デキる怠け者さん」である可能性

では、自分が「デキる怠け者さん」なのか、「ダメな怠け者さん」なのか、そもそも怠け者ではなく「働き者」なのかどうか、 ドイツの軍人ハンス・フォン・ゼークト氏が唱えた組織論を参考に、確かめてみましょう。 ゼークト氏は、組織にいる人間を次の4つのタイプに分けました。

  1. 【有能】な怠け者
  2. 【有能】な働き者
  3. 無能なナマケモノ
  4. 無能なハタラキモノ

これまでの内容を踏まえつつ、詳しく説明していきます。

1.【有能】な怠け者

【有能】な怠け者さんは、これまで示してきたとおり、非効率で複雑な物事を、いかにして簡単にするか、ラクに行なえるか、徹底的に考え抜きます。

それでいてやはり怠け者なので、自ら動こうとはしません。 「これだ!」と方法を思いついたら、周囲の人間を見定め、指示を出しては働かせ、上手に褒めて、やる気を出させます。

的確な判断力も実行力もあり、マネジメント能力にも優れている。だからこそ、しっかりと成果を出せるのが、【有能】な怠け者さんなのです。

的確な判断力も実行力もあり、マネジメント能力にも優れている有能な怠け者さん

2.【有能】な働き者

働き者であるがゆえに、何でも率先して仕事をします。また、有能であるがゆえに、何でも上手に仕事をこなしてしまいます。

したがって、判断力も行動力もありますが、上に立って人に指示を与えるというよりも、上に立つ人をサポートする能力に優れています

いわゆる、有能な参謀や政策秘書、敏腕アシスタントといったところ。【有能】な怠け者さんにとって、【有能】な働き者さん以上の部下はいません。

ただし、仕事を簡単にラクにするために、合理化・効率化について考え抜ける人ならば、ジェフリー・デイビス氏のいう「イノベーションを促進する怠惰」や、谷田千里社長のいう「デキる怠け者さん」に当てはまります。

働き者で有能なアシスタント、秘書たち

3.無能なナマケモノ

「無能なナマケモノ」なんて聞くと、最悪の烙印かのように思えますが、ゼークト氏にとって無能なナマケモノは “最悪” の位置づけではないそう。

無能なナマケモノさんは、「あーあ、サボりたいなぁ」「まだ〇時間もあるなぁ」といったことばかり考え、業務プロセスを合理化しようなどといったことには決して頭を使いません。もちろん判断力も、行動力もないわけです。

しかし、自分で考えて行動しないぶん、職務を与えられるとその仕事を深く考えずこなしていこうとするので、かえって “扱いやすい社員” になってくれるとのこと。

いいのか悪いのか……、とりあえず最下位ではありません。

指示されるまで何も考えず行動もしない無能な怠け者

4.無能なハタラキモノ

じつは、このタイプが組織にとって一番の害なのだとか。正しい判断力も行動力もないのに、深く考えずどんどん行動に移し、余計に物事を複雑に、困難に、面倒にしてしまうからです。

「困った人だなぁ」で済めばいいですが、たとえば無能なハタラキモノさんの間違った判断に、無能なナマケモノさんが巻き込まれて、何も考えず仕事を進めてしまったら、組織に大きなダメージを与えかねません。

「いつも、いろいろと先んじてやっているわりには、かえって時間がかかり成果も出ない」、よく人に「むしろ、こうしたほうが良かったのでは?」「それ、かなりムダじゃない?」といわれる……という方は要注意かも?

正しい判断力も行動力もないのにどんどん行動に移し、余計に物事を複雑に、困難に、面倒にしてしまう無能な怠け者

でも、もしかしてそれは、大きなプレッシャーの中で、自分を追い詰めた結果かもしれません。次に、とっておきの方法を紹介しますね!

正しく怠けて、デキるビジネスパーソンになる方法

生産性コンサルティング会社 The Energy Project の責任者であるトニー・シュワルツ(Tony Schwartz)氏は、「リフレッシュや再充電のための『ダウンタイム』がなければ、仕事の効率が低下し、ミスが増え、意欲が低下する」と述べています。

ダウンタイムとは、仕事を中断する時間、つまり休息時間のことです。

また、ハーバード・ビジネス・スクールのテレサ・アマビレ(Teresa Amabile)教授による研究では、強くプレッシャーを感じる日よりも、プレッシャーが少ない日のほうが創造的である」と報告されています。

ブリティッシュコロンビア大学による以前の研究(2009年5月12日)では、複雑な問題解決に苦労している人々は、集中するよりも、むしろ心をさまよわせるほうが良いと示唆されました。

ナマケながら、マインドワンダリング(心をさまよわせる)で創造性を高めるビジネスパーソン

心をさまよわせることを、マインド・ワンダリングといいます。

マインド・ワンダリングは、怠惰や不注意、不幸な感情を呼び起こすといったネガティブな要素に関連しているとされてきましたが、実際には、複雑な問題解決を扱う脳のデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の脳活動を増加させるとわかりました。

ハーバード・メディカル・スクールで教鞭を執るスリニ・ピレイ(Srini Pillay)博士は、デフォルト・モード・ネットワークを「非集中回路」と呼び、広い社会と自己、あるいは過去・現在・未来を結びつけ、創造性を発揮させ、漠然とした記憶を呼び起こし、さまざまな記憶を統合すると述べています。

したがって、正しく怠けて、デキるビジネスパーソンになる方法とは、

タイトル
  • がっつりダウンタイム(休憩時間)を設けて、
  • マインドワンダリング(心をさまよわせること)を許可し、
  • 何とかラクに簡単にできる方法はないかと考え抜くこと。

要は、しっかり休憩(完全に何もしない)してリフレッシュしつつ、「ラクに仕事してサッサと帰りたい!」を原動力に、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)を活用し、仕事の効率化に役立つアイデアを創出するわけです。

脳が勝手に、あらゆる記憶を統合させ、焦点を合わせ直しては、新しいつながりや、新鮮な視点を与え、何かしらアイデアをもたらしてくれるので、本人はいい怠けっぷりになれるはず。

そのあとで、自ら行動するもよし、うまく周囲を巻き込んで他者に動いてもらうのもよしです……!

***
建設的に怠惰を取り入れ、意図的にボンヤリして「どうしたら簡単に、ラクにできるかなー」などと考えてみてくださいね。

(参考)
Psychology Today|In Praise of the Idle Mind 
ScienceDaily|Hardwired for laziness? Tests show the human brain must work hard to avoid sloth
ScienceDaily|Brain's Problem-solving Function At Work When We Daydream
NIKKEI STYLE|「怠け者の方がよく働く」 タニタ社長の人材育成
ダイヤモンド・オンライン|天才たちに共通する「脳の使い方」があった! | ハーバード×脳科学でわかった究極の思考法
ハタラクティブ|会社組織の無能な働き者とはどんな人?

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