「失敗して落ち込むだけの人」「失敗を恐れず一流へと成長する人」両者を分ける4つの習慣

失敗を恐れず仕事で一流にのし上がれる人の共通点4つ01

「プレゼンに失敗したあとは、気持ちをなかなか切り替えられない」
「自分が率いるチームで損失を出してしまった。もう挑戦するのは怖い……」
失敗を過度に恐れて精神的な疲労を抱えたり、思うように成果を上げられず悩んだりするビジネスパーソンは少なくありません。

一方で、失敗を恐れず行動を起こし、高い評価やポジションを手に入れている人もいます。この違いはいったいなんでしょう? 今回は、失敗を恐れず仕事で一流にのし上がれる人の共通点を4つご紹介します。

【1】失敗をポジティブな言葉に置き換える

『ミスしない大百科 “気をつけてもなくならない”ミスをなくす科学的な方法』著者で東京大学特任研究員の飯野謙次氏いわく、出世できる人には「失敗から学ぶ」という特徴があるのだとか。たとえば……

部下が事務作業でミスをした。でも、マニュアルをより具体的な内容に手直しするいい機会だ。さっそく改善しよう!

という具合。このように失敗を学びの機会にするのは脳科学的にも理にかなっていると、スタンフォード・オンライン・ハイスクール校長で、脳科学に詳しい星友啓氏は言います。なぜなら、脳は間違えたときに一番効果的に学ぶようできているから。

とはいえ、日頃から失敗を恐れがちな人が、失敗したところでそれを学びに活かすことはなかなか難しいかもしれません。そこで、心理学者で筑波大学名誉教授の海保博之氏は、「失敗をポジティブな言葉に置き換える」ことをすすめています。

以下に、例を挙げましょう。

プレゼンで頭が真っ白に。そのせいで、重要な情報を伝え忘れてしまった……
緊張感のある場だった。これからは、もっと準備してプレゼンに挑もう!

データを入力し終わってから、大きめのミスを見つけてしまった……
上司へ提出する前にミスを発見できてよかった。今後はこまめに振り返ろう!

また公認心理師の山名裕子氏いわく、耳から入る言葉は、脳に影響を与えるとのこと。ポジティブな言葉を口にすると、思考も前向きになると伝えています。上記のポジティブな言葉も、ぜひ実際に、口に出して言ってみてください。そうすれば、学びの機会として前向きにとらえやすくなり、失敗を恐れない一流にきっと近づけることでしょう。

失敗を恐れず仕事で一流にのし上がれる人の共通点4つ02

 

【2】失敗したら必ず原因を分析し、対策を考える

飯野氏は、失敗を恐れず出世していく人は、小さな失敗でも、原因を分析して対策を立てているとも述べます。なぜなら、小さな失敗のなかにこそ、大きな失敗を未然に防ぐ警告が含まれているからです。

たとえば、ちょっとした勘違いで書類の提出日を忘れた場合。そのミスをした時点で、スケジュール管理が徹底できていなかったことに気づき、対策を考えておくのです。そうすれば、大事な取引先とのアポイントメントといった、書類提出よりもずっと重要な場面で、大きなミスをしないですむはず。

では、失敗からなかなかステップアップできない人は、どうすればよいのでしょうか? 脳神経外科医の築山節氏は、日常的によくする小さな失敗に着目し、「失敗ノート」をつくって分析することをすすめています。ノートに記録するのは、次の3点。

  • 失敗の内容
    プライベートな失敗でも仕事の失敗でもOK。周囲から指摘された失敗の内容を書くのも効果的。
  • 失敗をした時間帯
    脳のバイオリズムに基づく「失敗しやすい時間帯」の傾向をつかむために、だいたいでよいので実際の失敗時刻を書く。
  • 失敗に対する改善点
    失敗の再発防止につながる行動を書く。

以上をふまえ、失敗ノートの記載例を挙げてみます。

2月8日(火)
失敗の内容:レスポンスが遅いと同僚に注意された
失敗の時間帯:16時頃
失敗に対する改善点:30分に1回、メールボックスとチャットの通知を確認する。 16時頃はミスしやすいので、ほかの業務でも気を抜かない。

このように小さな失敗も見逃さず分析を重ねれば、自己成長が促され、一流へステップアップできますよ。

失敗を恐れず仕事で一流にのし上がれる人の共通点4つ03

【3】完璧主義を捨て、挑戦する

失敗を恐れず一流にのし上がれる人は、新しい仕事にも果敢に挑み、昇進や昇格の機会を逃さない――。そう述べるのは、精神科医の西多昌規氏。

一方で、失敗を恐れる人には完璧主義の傾向があり、小さな失敗でも「全然ダメだった」と大きな失敗にとらえがちとのこと。その結果、失敗したくないと挑戦を避けて、昇進や昇格の機会を逃してしまうと西多氏は言います。

たとえば、新しいプロジェクトのリーダーになってほしいと上司から打診されても、「メンバーをうまくまとめられなかったら……」「期待された成果を挙げられなかったら……」と、失敗のイメージばかりが先行して、せっかくのチャンスに挑めないのです。

こうした完璧主義をやめるために、前出の海保氏は「意図的に挑戦と失敗を経験する」ことをすすめています。最初は、娯楽や趣味など、成功・失敗で自分の評価が変わらない場面から始めるとよいとのこと。

たとえば、カーナビに頼らないドライブで、道に迷いながら自宅を目指してみるのはどうでしょう。道を間違えて遠回りしたぶん、多くの景色を楽しんだり、人の親切さに触れたりできるかもしれません。この予想外の展開を楽しむ経験によって、「何事もきちんとしなければ」という考えが緩和されると海保氏は述べます。

失敗を乗り越えないと得られない達成感を知ることで、一流になるための一歩をきっと踏み出せることでしょう。

失敗を恐れず仕事で一流にのし上がれる人の共通点4つ04

【4】成功するまで粘り強くやり続ける

本田技研工業創業者・本田宗一郎氏の「人生に失敗なんてない。なぜなら成功するまでやるからだ」という言葉にあるとおり、一流にのし上がれる人は、失敗を失敗で終わらせません。

彼らのような成功者に共通するやり抜く力をグリットと呼び、才能やIQ、学歴以上に成功を収める重要な要素だと述べるのは、ペンシルベニア大学心理学部教授のアンジェラ・ダックワース氏。

ダックワース氏いわく、グリットを伸ばすには、長期的な視点を盛り込んだ目標設定が効果的とのこと。次のように、3段階で設定するといいそうです。

人生の方向性に関わる長期的目標:小売業のノウハウを身につけ、地元で起業したい
中期的な目標
:半年後の昇進試験に合格して店長になる
日々の目標:毎日1時間、営業や販売に関するビジネス書を読む

特に重要なのが、やり抜く力の原動力になる「長期的目標」。先の例なら、もし昇進試験に落ちたとしても、地元で起業したいという長期的目標があるおかげで何度でも挑戦しようと思えるでしょう。一方で長期的な目標がない場合、一度の失敗で諦めてしまうかもしれません。

『1日10秒の習慣で夢をかなえる!』著者で、スキルアップ講座などを提供するクラ・モチベーション代表取締役の倉持淳子氏も、長期目標から逆算して中期・短期的目標を立てると、夢の実現度が高まると説きます。短期や中期の目標達成に失敗したら、行動を見直しやり方を変える――この繰り返しが長期目標の達成を叶えるとのこと。

失敗を恐れない人になるには、粘り強くやり通せるだけの強い目標を、長期的視点から見つけ出しましょう。やり抜く力が鍛えられたら、きっと仕事で一流になれますよ。

***
失敗を恐れず一流にのし上がれる人には、失敗から学ぶ力や、成功に導くまで粘り強く挑める力があります。日々のトレーニングや振り返りの習慣で、失敗を恐れないメンタリティを身につけましょう。

(参考)
東洋経済オンライン|ミスを極度に恐れる人が「実は損している」理由
星友啓 (2021), 『脳科学が明かした! 結果が出る最強の勉強法 スタンフォード大学OHS校長が教える「超効果的頭の使い方」』, 光文社.
海保博之 (2001), 『失敗を「まあ、いいか」にする心の訓練』, 小学館.
リクナビNEXTジャーナル|疲れた、忙しい…ネガティブな「口ぐせ」をプラスに言い換えるには?
西多昌規 (2013), 『「凹(ヘコ)まない」技術』, PHP研究所.
築山節 (2006), 『脳が冴える15の習慣 記憶・集中・思考力を高める』, NHK出版.
アットダイム|やってしまった仕事の失敗を今後に活かす3つの考え方
アンジェラ・ダックワーズ (2016), 『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』, ダイヤモンド社.
News Picks|『やり抜く力』の著者が語る「グリットと超一流」
カオナビ人事用語集|【成功者の必須条件】グリット(GRIT)とは?「やり抜く力」に世界が注目
プレジデントオンライン|目標の立て方、達成の仕方をどうするか?

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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