「なぜか会話を続けたくなる人」は自然と “これ” ができている。話下手なら「話をさせれば」問題ナシ

一流の雑談01

「職場の人と、仕事のこと以外に何を話せばいいのかわからない……」
「沈黙は怖いけれど、話すのが得意じゃない……」
このように、自分の雑談力のなさを嘆いている人はいませんか?

でも、明治大学教授の齋藤孝氏いわく、話下手な人でも「雑談上手」になれるとのこと。生まれつきのコミュニケーション能力がなくたって問題ないのです。今回は、一生モノのスキルとなる「雑談力」の高め方をご紹介しましょう。

雑談上手は「話させ上手」

自分は物知りではないし、時事ネタに詳しくないし、マシンガントークができるタイプでもないから、雑談が苦手……。こんなふうに、多くの人は雑談について「自分からたくさん話さなければならない」というイメージをもっているはず。

しかし、メンタル心理カウンセラー桐生稔氏は、雑談が上手な人は「話させ上手」だと指摘します。これはすなわち「聞き上手」だということ。たとえば、マラソンが趣味の上司がいたら、以下のように「いい質問」をして会話を広げていくのです。

「◯◯さん、最近走ってますか?」
ということは、直近で目指している大会とかありますか?」
そうすると、大会前はどれくらいのペースで練習するんですか?」
ちなみに、私もマラソン始めたいんですがオススメのウエアとかあります?」

「へー、そうなんですね」と聞いているだけでは、会話はすぐに終わってしまうもの。一方で、「ということは」「そうすると」「ちなみに」などの接続詞を使えば、話を途切れさせず自然に続けることがスムーズになるのです。

一流の雑談02

雑談はスベっても問題なし

せっかく話すのだから、相手を楽しませなければ……そのためには何かおもしろいことを言わなければ……このように自分にプレッシャーをかけ、緊張しすぎていませんか。茂木氏は、雑談がうまくなりたければ、「おもしろい話をしなければ」という強迫観念を捨てるべきだと指摘します。

では、どんな基準で話題を選べばいいのでしょうか。キーワードは「共感」。相手が共感しそうなネタを選ぶことで、会話も弾み、「この人といると楽しい」と思ってもらえます。茂木氏によれば、以下のふたつが「外さないネタ」とのこと。

ひとつめは「失敗談」。失敗した話は共感しやすく、相手も「私もこんなことがあって〜」と話を切り出しやすくなります。似たような失敗をしていれば、「どうすればいいんでしょうね」と一緒に解決策を考えるなどして、団結力も生まれるかもしれません。

「このあいだ、おもしろそうな本だなと買って帰ったら、すでにもっていたんですよ」
「あ〜、わかります。私も『漫画とか何巻までもってたっけ?』ってよくなります」
「なんで忘れちゃうんですかね」
「もってる本を記録できるアプリとかあったら便利ですね」

ふたつめの鉄板ネタは「自分の欠点」。苦手なことをカミングアウトすることで、共感してもらったり、相手も苦手なことを話しやすい空気をつくったりすることができます。

「私、本当に忘れっぽくて、このあいだ、家の鍵を会社に忘れてしまって大変でした」
「そうなんですね。私はけっこう落とし物をしてしまうんですよね」

雑談を難しく考えて、「何かおもしろいことを言わなければ」「気の利いたことを言わなければ」と気を張る必要はありません。自分のなかにあるちょっとしたことをカミングアウトするだけでも話は広がるのです。

一流の雑談03

「マルチプレックス・タイ」で深い関係を築く

ペンシルベニア大学の研究によると、「マルチプレックス・タイ」(Multiplex ties=複数のつながり)をもつ相手とのほうが、信頼関係が深まり、関係が深くなり、友情が長く続くとのこと。職場の同僚であれば、すでに仕事における共通点は存在するので、仕事以外のつながりをつくると関係が良好になります。

オーラル・ロバーツ大学の教授で、リーダーシップとイノベーションについて教えるデビッド・バーカス氏は、職場でも異業種交流会などでも、仕事以外の話をしたほうが仲よくなることができ、あとから仕事の話につなげやすくなると説明しています。バーカス氏がすすめる、「マルチプレックス・タイ」をつくるのに有効な質問をいくつかご紹介しましょう。

最近楽しみにしていることはありますか?
答える側の自由度が高い質問です。仕事の新しいプロジェクト、連休に行く旅行、子どものことなど、さまざまな答えが想定されます。答えによって、相手がいま最も興味のあることやパーソナリティが伺えるのが利点です。仕事ではなくプライベートの話を聞きたいことを強調する場合は、前置きとして、自分が個人的に楽しみにしていることを話すのもよいでしょう。

今年、一番嬉しかったことはなんですか?
ひとつめと同様に、かなり幅広い答え方ができる質問であり、相手の人間的な部分を把握するのに役立つ質問です。先ほどのものは未来について問う質問なのに対して、この質問は「あなたの過去についても知りたい」というメッセージにもなります。

どちらで育ったんですか?
相手の人生の背景を探る質問。出身地を聞くよりも、どこで育ったのかを聞いたほうが答えの幅が広がるでしょう。子ども時代の印象に残っている出来事や、いまの自分を構成する要素はどこから来ているのかなど、興味深い話に発展するかもしれません。

休みの日の楽しみはなんですか?
この質問は、確実に仕事以外の話が聞けるのでおすすめ。仕事が休みの日も働きたいほど仕事が好き、という人もなかにはいるかもしれません。

あなたにとってのヒーローは誰ですか?
お気に入りのキャラクターを答える人もいれば、社会人として尊敬する人を答える人もいるかもしれません。キャラクターであれば、共感して盛り上がるかもしれませんし、なぜそのキャラクターが好きなのかというコンセプトに共感することができるかもしれません。

これらの質問の目的は、自然な流れで個人的な話を聞き出して、仲よくなるチャンスをつくること。自由度の高い雑談の切り口になるでしょう。

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ご紹介したヒントを参考に、ぜひ雑談にチャレンジしてみてください!

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|雑談が苦手な、口下手な人でもできる!相手の話に「質問」で切り返す技術
プレジデントオンライン|二流の人ほど「次回の打ち合わせの候補日をお知らせください」と聞く
東洋経済オンライン|会話がヘタな人がこだわるプライドの弊害
CNBC.COM|Stop asking ‘how are you?’ Harvard researchers say this is what successful people do when making small talk
Harvard Business School|It Doesn't Hurt to Ask: Question-asking Increases Liking
Harvard Business Review|8 Questions to Ask Someone Other Than “What Do You Do?”

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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