重要「7つの能力」を鍛えるための脳科学的アプローチ。仕事力はこうして上げる!

能力を鍛える脳科学的アプローチ01

仕事をするうえで、脳をうまく機能させることは重要です。「仕事で成果が上がらない……」と嘆く人には、脳に気を配った生活をおくることを提案します。あなたの能力を鍛えるための “脳科学的アプローチ” を7つご紹介しましょう。

【1】判断力を鍛えるならば「芸術鑑賞」

A案とB案のどちらを採用すべきだろうか――このように、仕事では判断を求められる機会が多々ありますよね。筑波大学教授の設楽宗孝氏らの研究により、「どちらの選択肢がより価値が高いか」という判断は、脳の前頭前野にある「眼窩前頭皮質(がんかぜんとうひしつ)」で行なわれることが示唆されています。つまり、この部位が弱っていると、優れた判断ができなくなる可能性があるということ。

眼窩前頭皮質を鍛えるには、絵画や音楽といった「美しいもの」を鑑賞することをおすすめします。関西大学准教授の石津智大氏が2014年に行なった研究によれば、私たちが「美しい」と感じると、この部位の血流量が増加して活発化したとのこと。美しいと強く感じる、この傾向も強くなったそうです。美に対する価値観は人それぞれですが、ぜひ自分が「美しい」と感じるものを探して、それを鑑賞する習慣をつくってみましょう。

【2】実行力を鍛えるならば「マインドフルネス瞑想」

やらなければいけない物事をつい後回しにしてしまう……こういった先延ばし癖は、脳の「偏桃体」が関係しています。ルール大学ボーフム校(ドイツ)の研究者らが実施した調査により、 先延ばし癖のある人ほど偏桃体が大きいことが判明。偏桃体は危険に対する警告を発する役割がありますが、この機能が過剰に働いてしまうことで行動が抑制されるのではないかと考察されています。

偏桃体の活動を抑える方法のひとつとして、自分の呼吸に意識を集中する「呼吸瞑想」をおすすめしましょう。京都大学オープンイノベーション機構特定助教の藤野正寛氏は、MRIを用いた研究により、瞑想を行なうと偏桃体の活動量が減少することがわかっていると述べます。呼吸瞑想は1日5分程度からできるので、スキマ時間にぜひやってみてください。

能力を鍛える脳科学的アプローチ02

【3】伝える力を鍛えるならば「知らない人に話しかける」

仕事をしていると、人に何かを報告したり自分の意見を述べたりといったシーンはたくさん出てきますよね。伝える力を鍛えるには、日常生活のなかで知らない人に話しかけることが有効のようです。

意思伝達の機能を担っているのは脳の「伝達系脳番地。脳科学者で『脳の強化書』などの著書をもつ加藤俊徳氏によれば、相手について何も知らない状態で “ぶっつけ本番” のコミュニケーションをとると、伝達系脳番地がフル回転するのだそう。エレベーターで乗り合わせた人やコンビニの店員さんなどに、ぜひ勇気を出して雑談をもちかけてみてください。

【4】聞く力を鍛えるならば「就寝前のラジオ」

伝える力と同じくらい大切なのが聞く力です。一方通行のコミュニケーションに陥らないためにも、相手の言葉に耳を傾けて話を理解したり意図を汲み取ったりするスキルが求められます。このときに機能するのが、耳から得た情報を脳に集積させることに関与する「聴覚系脳番地です。

前出の加藤氏いわく、夜にラジオを聴きながら眠りにつくと聴覚系脳番地が鍛えられるのだそう。理由は、夜にベッドのなかにいるときは、視覚や嗅覚など聴覚以外の感覚への情報入力が低下し、聴覚へ意識が集中するから。聴覚が最も研ぎ澄まされるタイミングで、ラジオを使って聴覚を刺激しましょう。

能力を鍛える脳科学的アプローチ03

【5】メタ認知能力を鍛えるならば「運動」

自分自身を客観的にとらえる能力を「メタ認知能力」と言います。いまの自分に足りないスキルは何で、具体的に何をすれば改善していけるか? このミスは何が原因で発生し、次からどうすれば再発を防げるか?――物事を冷静に観察・分析できる能力は、仕事を円滑に進めるうえで必要不可欠です。

東京大学大学院医学系研究科の研究により、このメタ認知能力は脳の前頭葉内の「前頭極」がつかさどっていることが示唆されました。前頭極の働きが鈍っていると “無知の知” の自覚ができなくなるそうです。京都大学名誉教授の久保田競氏いわく、運動することで前頭極をはじめとする脳部位が活性化するとのこと。ランニングなど、継続しやすい運動を習慣にしてみてください。

【6】達成力を鍛えるならば「目標を紙に書く」

私たちは毎日たくさんの情報に触れていますが、それらすべてを認識しているわけではありません。脳の「RAS」(Reticular Activating System:脳幹網様体賦活系)の機能により、興味関心に応じて自動的に取捨選別されているのです。脳がパンクしないのはこの機能のおかげと言える一方で、普段からネガティブなことばかり考えていると、RASがその影響を受けて、余計にネガティブなことばかり気になってしまうという注意点も。

心理カウンセラーの中島輝氏いわく、自分の目標を手で紙に書くとRASが刺激され、脳がそちらに意識を向けるようになるとのこと。事実、目標を紙に書いた人は、ただ目標を頭に思い描いただけの人に比べて、達成の可能性が33%高くなるという研究データもあります。RASの機能を存分に生かすには、ポジティブな目標を紙に書くのがおすすめです。

能力を鍛える脳科学的アプローチ04

【7】平常心を鍛えるならば「日光浴」

人間が強いストレスを感じると、脳の副腎髄質からノルアドレナリンが分泌されて血圧や心拍数を上昇させます。ストレスに対抗するための自然な機能ですが、過剰に分泌されると攻撃的になったりパニックになったりするように。それを抑制し、私たちの精神に安定をもたらしてくれる物質がセロトニンです。

セロトニンは光を浴びることで分泌が促進されますが、特に重要なのは起床時。朝起きたら必ずカーテンを開け、15~30分程度は日の光を浴びるようにしましょう。晴れている日は、運動がてら外で散歩やランニングするのも手ですね。

***
以上をまとめると、こうなります。

能力を鍛える脳科学的アプローチ05

さまざまな能力を鍛えるための脳科学的アプローチを紹介しました。欲しい能力があったら、お伝えした方法をぜひ試してみてください。

(※記事中の人物の肩書は記事公開当時のものです)

(参考)
筑波大学|選択肢の価値比較は眼窩前頭皮質で行われる ~より良い選択肢を選ぶための脳内機序を解明~
日本経済新聞|「美」感じる脳の部位発見 医療への活用期待
ニューズウィーク日本版|先延ばし癖は脳の構造のせいかも
日経ビジネス|脳の構造を変える! マインドフルネスって何?
ニッポンドットコム|脳科学の最前線を行く—飛躍的に進む瞑想研究
リクナビNEXTジャーナル|折衝力・コミュニケーション力を高めるには?手軽に実践できる「脳」の鍛え方
ライフサイエンス新着論文レビュー|前頭極は未経験の出来事に対するメタ認知判断をつかさどる
プレジデント・オンライン|<脳の新科学>走ればボケ防止&頭がよくなる【1】
NLP学び方ガイド|NLPに欠かせないあなたのパフォーマンスを高める3文字の武器
プレジデント・ウーマン|なぜ目標を紙に書く人は年収が10倍になるのか
大原薬品工業|セロトニンって、なぁに?
医療法人社団 平成医会|セロトニンの増加が心身に及ぼす影響

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト