朝の運動 vs 夕方の運動。パフォーマンスを上げたい人は、いつ運動をするべき?

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運動は、ダイエット効果のみならず、睡眠の質の向上や気分を安定させる効果も高いので、仕事のパフォーマンスを上げるのに欠かせないと言っても過言ではないでしょう。

運動生理学の専門家たちは、エクササイズをする時間帯によって効果が変わると説明します。たとえば、朝のランニングは睡眠の質を向上し、夕方の運動はストレスの軽減や不安の解消効果が期待できるのです。

今回は、「運動したほうがいいとはわかっているけれど、いつするのがベストなのだろう?」という疑問にお答えしましょう。

【朝に運動するメリット1】睡眠の質が向上する

運動には「サーカディアンリズム」が整うというメリットがあります。サーカディアンリズムとは、体内時計のこと。これが乱れてしまうと、生活習慣が崩れたり、不眠症、精神疾患、肥満、高血圧、糖尿病などを引き起こしたりすると言われています。

サーカディアンリズムを整えるのに重要なのが、朝に運動をすること。朝に日の光を浴びながら運動すると、「メラトニン」の夜間の分泌が促されます。メラトニンは、夜眠っているときに出るホルモン。これが不足すると寝つきが悪くなったり、中途覚醒したりなど、睡眠が妨げられやすくなるとされています。

メラトニンは、暗くなると生成され、明るいと分泌が止まってしまうもの。朝イチで運動することで、夜早めの時間にメラトニンが生成されるため、早寝早起きの健康的な生活リズムが整うのです。

また、学会誌『Vascular Health Risk Management』に紹介されたアパラチアン州立大学の研究によれば、朝にエクササイズをすると、夕方や夜間に比べて睡眠が深くなると判明したそう。

十分な睡眠をとらずにいると、何をするのも遅くなり、創造力が衰え、ストレスが増大し、仕事のパフォーマンスが下がってしまいます。最近寝つきが悪いと感じている人や、より良質な睡眠をとりたい人は、朝に運動するのがよいでしょう。日の光を浴びるとさらに効果が高まるため、外でのランニングなどがおすすめです。

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【朝に運動するメリット2】落ち着いた気持ちで1日を過ごせる

体を動かすと、ストレスホルモンと呼ばれる「アドレナリン」が減少するため、朝イチのエクササイズは、1日を穏やかな気持ちで過ごしたい人におすすめです。

アドレナリンが減ると、気分が落ち着くだけでなく、「エンドルフィン」という脳内ホルモンの生成が促進される作用も。エンドルフィンは、幸福感を高めてくれるホルモンで、ストレスの減少高揚感などをもたらします。

職場でついイライラしてしまう人や、会社に行くのが憂鬱に感じる人、落ち着いた気持ちで仕事がしたい人は、朝一番に運動して、アドレナリンを減らしてから出社するのがよいでしょう。

仕事が始まる前に、すでにひとつ達成できたことがあると、満足感を持って1日を始められそうですね。運動に苦手意識がある場合は、朝一番にその日のエクササイズを片づけてしまうことで、「仕事が終わったらジムに行かなければ……」という気がかりがなくなるのもメリットのひとつでしょう。

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【夕方に運動するメリット1】1日のストレスを発散できる

1日の終わりに、筋トレなどの激しい運動をすることで、仕事のストレスを解消できるでしょう。

学会誌『Journal of Sports Psychology』に掲載された記事によると、たった一度の運動でも不安症状を取り除けることが判明したそう。不安感は睡眠の質を下げ、不眠症の原因にもなりかねません。運動には、不安を取り除き、その日の入眠をスムーズにしてくれる効果があります。

仕事などで嫌なことがあった日や、気分がどんよりしているときは、あまり動きたい気分ではないかもしれません。しかし、そんなときこそジムへ行ったり自宅で筋トレをしたりすることは、その日のストレスを発散し、次の日に不安や不満を持ち越さない助けとなります。

ただし、寝る直前の激しい運動は興奮状態を招き、睡眠の妨げになってしまうので、注意が必要です。遅くともベッドに入る1時間前までには、運動を終わらせましょう。

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【夕方に運動するメリット2】夕方のヨガはリラックス効果を高める

1日の終わりにヨガをしてみてはいかがでしょうか。ヨガはあまり運動効果がなさそう……というイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。特に、日本でもメジャーな「ハタヨガ」は、ひとつのポーズを長くキープし、インナーマッスルを鍛える効果があります。腰痛の改善にも効くという嬉しい効果もあるので、1日中座っていて固まった体をほぐしたい人にはぴったりかもしれませんね。

また、ヨガをすることで睡眠の質が上がるという研究結果もあります。シドニー大学の研究によると、強いストレスを抱えている人が、ハタヨガのクラスを受けることでコルチゾールのレベルが下がり、入眠がスムーズになったとのこと。

コルチゾールはストレスホルモンとも呼ばれます。これが上昇すると、免疫系・中枢神経系・代謝系など身体のさまざまな機能に影響を及ぼし、不眠症やうつ病などのメンタル不全や生活習慣病などのストレス関連疾患につながるケースが増えるとわかっています。

研究チームによると、ハタヨガを行ないコルチゾールレベルが下がることで、睡眠サイクルが整い、体をよい睡眠へと導いてくれるそう。ストレスがたまっていてなかなか寝つけない人は、ぜひ試してみてくださいね。

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時間帯や運動内容によって、異なる効果があるということをお伝えしました。ライフスタイルや課題に応じて、エクササイズのやり方を工夫してみてくださいね。

(参考)
INSIDER|The best time of day to workout for your health and energy levels according to exercise scientists
医療法人社団 平成医会|サーカディアンリズムと私たちの生活
Sleep Foundation|Melatonin and Sleep
NCBI|Human circadian phase–response curves for exercise
NCBI|Effects of exercise timing on sleep architecture and nocturnal blood pressure in prehypertensives
ダイヤモンド・オンライン|睡眠不足がもたらすパフォーマンス低下の恐ろしい正体とは
NIKKEI STYLE|幸せ感よぶ脳内ホルモン「エンドルフィン」の作り方
NCBI|The anxiolytic effects of exercise: a meta-analysis of randomized trials and dose-response analysis
ADAA|Sleep Disorders
SpringerLink|Effects of Evening Exercise on Sleep in Healthy Participants: A Systematic Review and Meta-Analysis
INSIDER|4 benefits of Hatha yoga and how it can improve your physical and mental health
ScienceDirect|A single session of hatha yoga improves stress reactivity and recovery after an acute psychological stress task—A counterbalanced, randomized-crossover trial in healthy individuals

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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