前向きになれない人は “本音” を見失っている。「週末にやりたいことを10個」書いて取り戻して

週末にやりたいことを10個書いて本音を見極める01

日々仕事をこなすのに必死で、新しいことに興味が湧かない。なんだかやる気が起きない。そんなときは「週末にやりたいことを10個書き出す」という方法で、前向きな気持ちを取り戻してみましょう。

あなたのやる気が出ない理由

心理技術アドバイザーの梯谷幸司氏によると、本音と建前にズレがあると、やる気が出なくなるそうです。

梯谷氏は、人間の意識は次のような構造になっていると言います。

  • 顕在意識:普段活発に活動している「建前」のある意識
  • 潜在意識:普段あまり認識できない「本音」の意識
  • メタ無意識:潜在意識のさらに深層にある、認知の困難な領域

たとえば、建前では「この仕事で成功するぞ」と思っていて、本音では「ほかにやりたい仕事がある」と思っていたとします。すると「メタ無意識」が「本音(潜在意識)と建前(顕在意識)がズレてますよ」と指摘するために、やる気を起こさないよう働きかけるとのこと。

つまり、本音と建前が食い違っていると、自分ではコントロールが難しい潜在意識の奥底の部分から、やる気を阻害されてしまうわけなのです。

週末にやりたいことを10個書いて本音を見極める02

本音を見極めないと、相当まずい

もし建前とズレているとしても、自分の本音がわかっていればまだいいほうだと言えます。なぜなら、「目の前の仕事を乗りきったら、本当にやりたい仕事に取り組める」というモチベーションにつなげられるから。だからこそ、自分の本音をしっかり見極めることが大切だと、梯谷氏は言います。

にもかかわらず、その本音さえも抑圧してしまっているとしたら、かなり問題です。習慣化コンサルタントの古川武士氏によると、「自分はこうしたい」という意思をもつことなく義務感だけで仕事などをこなし続けていると、しだいに無感覚になってしまうのだそう。ロボットのように行動することで自分を保つという、危険な状態に陥るのだとか。しまいには何事にも興味が湧かなくなる、と古川氏は言います。

つまり、本音をブロックし建前でしか動けていないと、目の前のことにはどうにか必死になれたとしても、やる気も前向きな気持ちも失われてしまうということ。古川氏、梯谷氏の言をまとめると、自分の本音は絶対に無視してはいけないし、本音と建前にズレがあるなら解消しなければいけないと言えるでしょう。

週末にやりたいことを10個書いて本音を見極める03

紙に書き出せば本音を見極められる

自分の本音を隠さず見つめる方法としておすすめしたいのが、古川氏が提案する「週末にやりたいこと」を10個書き出すという方法です。

先述のように、建前でしか動けていない人はそもそも、自分が「こうしたい」という感情をもつことができなくなっています。そこで、週末にやりたいことのリストアップを通じ、「こうしたい」という気持ちをもつ習慣を取り戻そうというわけです。

古川氏が提案する方法がこちら。

  • 「土日に自分がやりたいこと」を、なんでもいいので10個考えて書く
  • やりたいことが思い浮かばない場合は、「死ぬほど嫌なこと」を書き出す
    それと反対の行動を考えれば「やりたいこと」が見つかる

たしかに、「やりたいこと」や「嫌なこと」を考えれば、自分の本音と向き合うことになりそうです。筆者も最近、前向きになれない日々が続いている自覚があったので、実際にやってみることに。古川氏の方法をベースに、今回は以下のようなルールで実践してみました。

  1. 【やりたいことリスト】を作成
    「週末にやりたいこと」を、月曜日に書く。目標10個、制限時間10分。ただし、10個埋まらなくてもよしとする。
  2. 【嫌なことリスト】を作成
    月~金のあいだで「嫌なこと」に直面したら、それをリストに書き出す(個数の上限なし)。
  3. 【やりたいことリスト】の補完
    2のリストに書き出した「嫌なこと」を「やりたいこと」に変換し、月曜日の段階で埋まらなかった1のリストを金曜日までに埋める。

それでは、筆者の作成したリストをご覧ください!

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(※色分け:青=月曜日に書き出したやりたいこと/緑=嫌なことを変換したやりたいこと)

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(※プライバシーに関わる記述は黒塗りにしています)

本音と向き合うなかで得られたもの

今回の実践において、筆者が特に大切だと感じたのは「書いたものをどう分析するか」。その点を中心に、感じた効果や実践のポイントをお伝えします。

1.「嫌なこと」に簡単な問いをすると、本音が見極められる!

「嫌なこと」をもとに「やりたいこと」を見つけるには、「嫌なこと」に対して「本当はどうしたい?」という問いを立ててみるのが効果的でした。

「具体的な答えばかりを(記事に)書くのが嫌だ」※嫌なことリストの11番
→問「本当はどうしたい?」
→答「答えばかりではなく、問いを与える記事も書きたい」=本音

このように「嫌なこと」に簡単な問いかけをするだけで、あまり自覚できていなかった本音を言語化することができました。「嫌なこと」はたしかに、抑圧された本音と近い部分にあるのだなと実感しました。

2.「嫌なこと」から建前も言語化→本音とのズレを認識できる!

同じ要領で「建前」の言語化も試してみました。効果的だったのは、「嫌なこと」に対し「普段はどう受け入れている?」という問いを立てたことです。

「具体的な答えばかりを書くのが嫌だ」
→問「普段はどう受け入れている?」
→答「具体的な記事を書くのがコラム記事の使命だ」=建前

結果、自分が近頃前向きになれずにいたのは、記事を書くという仕事に対する建前と本音がズレていたからではないかと確認できました。

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3. 本音と建前のズレへの対処法を発見できる!

このズレに対処するには、「嫌なこと」から変換した「やりたいこと」がカギになると感じました。ここでのポイントは「本音をすぐに実現する方法」を考えることです。

筆者のやりたいことリストの7番「ブログに好きなことを書きたい」は、以下のような変換プロセスから生まれたものです。

本音「答えばかりではなく、問いを与える記事も書きたい」
→問「本音をすぐに実現できる方法は何か?」
→答「ブログに好きなことを書く!」=本音と建前のズレへの対処法

ここで古川氏と梯谷氏の言を思い出してみると、本音を抑圧して建前だけで動いている状態は危険だということでした。つまり本音を実現できる行動がすぐにとれるのであれば、それを実践することで危険な状態を打破できる可能性がありそうです。

というわけで、「ブログに好きなことを書く」という行動を実際に起こしてみました。その結果、本音と建前のズレの解消に近づけた気がします。なぜなら、本音と建前のとらえ方が変わったからです。

じつは、好きにブログで書いた結果できあがったのは、人から読まれそうもない自己満足な文章でした。「答えよりも問い」というのは、自分のスキルの足りなさへの「言い訳」だったのではないか。反対に「具体的な答えを書く」というのは、読者にきちんと寄り添うという当たり前のことであり、文章を書くことの「本質」なのではないか。

このように考え直したことで、記事を書くという仕事のやりがいや奥深さをあらためて感じたのです。日常生活での情報収集もいろいろなやり方を試してみよう、と前向きな気持ちになれました。

ぜひみなさんも、「やりたいことリスト」に挙げたものはひとつでもいいので、実際に行動に移してみてください

***

実践してみたポイントをまとめたものがこちらです。

週末にやりたいことを10個書いて本音を見極める07

(画像は筆者にて作成)

ちなみに、今回は書く曜日を決めましたが、大事なのは「書いた内容の分析」なので、何曜日に書いたとしてもリストの効果は損なわれないと思います。ぜひ今回の方法を実践して、心豊かなワークライフをお送りください!

(参考)
PRESIDENT Online|死ぬほど嫌なことを書き出すと人生変わる
Precious.jp|もやもや原因が判明!やる気が起きないとき「脳から無意識に出ているメッセージ」6選
梯谷幸司(2018),『なぜかうまくいく人のすごい無意識』, フォレスト出版.

【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。

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