みなさんは、普段の生活でネガティブ思考に陥ることがよくありますか? うつ病と闘った経験があり、現在は心理カウンセラーとして活動する中島輝氏は、ネガティブ思考をもってしまう原因について次のように述べています。
それは、やはり過去の失敗経験が多かったり、強かったりするからです。過去の失敗から生じる恐怖心や、生育環境におけるネガティブな体験の記憶などが、脳に刷り込まれてしまっているのです。
(引用元:STUDY HACKER|「できない」という思い込みから抜け出す!過去・現在・未来すべてを自己肯定する2つのテクニック)
ネガティブ思考にさいなまれている人は、中島氏がすすめる「タイムライン」というテクニックを試してみるとよいかもしれません。どんな効果を得られるテクニックなのか、筆者の実践談とともにお伝えします。
未来をポジティブにとらえる「タイムライン」
「タイムライン」とは、自分自身の未来をポジティブにとらえることで、自己受容感・自己肯定感を高められるようになるテクニックです。
中島氏によると、人間の思考には、物事を意図的に考える「意識的思考」と、無意識ではあるが物事の判断に関してより大きな影響を与える「潜在的思考」とがあるそう。
もし仮に、自分がいままでにした失敗や後悔を強く意識して(=意識的思考)生活していたとしましょう。その失敗や後悔は、ネガティブな思い込みとして脳へ刷り込まれます。それが潜在的思考となり、ポジティブになろうとしても、無意識に自己否定的な考えに陥ってしまうのです。
たとえば、仲のいい友人とけんかしてしまい、相手を傷つける言葉を言ったことを後悔し続ける……それが原因で、「こんなひどい自分が幸せになる資格はない……」などと必要以上に悲観的になる可能性もありますよね。
だからこそ、「タイムライン」で未来に目を向けましょう。いい未来を想像するには、過去から現在まで積み上げてきた経験を自分で肯定する必要があり、そのプロセスにおいて自己受容感や自己肯定感を高めることができます。また、自分の未来を具体的にイメージしていくため、これからの行動の指針も見つけられるでしょう。
実際に「タイムライン」を書いてみた
タイムラインでは、1年後の比較的近い未来から、自分が死ぬ直前までの遠い未来までを通して、自身のストーリーをつくり上げます。書くのは、未来の目標と、それを達成した際に得られるであろう感情(アファメーション)のふたつ。
というわけで、筆者も実際にタイムラインを書いてみました。筆者の生涯の目標は、自身の専門である文学における研究理論を確立することです。したがって、自分が90歳となったあかつきには達成できていることを目標に、自分のタイムラインをつくってみました。一番遠い未来、つまり90歳の自分から考え始め、自身の人生を逆算して考えていきます。
「タイムライン」を書いてみたら、未来が明るく感じられた!
タイムラインを書くにあたっては、1年後、3年後、5年後、そして死ぬ直前の未来を、自分の夢や願望をベースに考えていきます。人生のポジティブな展望が広がったように感じられました。
たとえば筆者の場合、90歳の自分が後世に学問的な理論を残しているならば、名誉教授レベルの立ち位置にいる必要があります。また、5年後に海外の学会で研究発表をするなら、少なくとも大学院の博士課程には在籍していなければならないでしょう。多少大ざっぱであるとはいえ、タイムラインを書くことで、自分が夢や目標を達成し、多くの人から愛される人生を送っていける未来を想像できるのです。
なお、目標やアファメーションはかなり具体的に書くことをおすすめします。具体的に将来を考えることは、自分をポジティブにとらえ直すだけでなく、いま自分に足りない部分を見直すきっかけとなるからです。
たとえば筆者は、来年の大学院入試で筆記試験を突破するためには、第二外国語の勉強を進めなければなりません。3年後の修士号取得までに必要なのは、それが認められるレベルのリサーチスキルと論文構成力でしょう。
このように、将来を想像することで現在との差分に意識が向くため、未来に向かってよりポジティブに行動していけるようになるのではないでしょうか。
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過去にばかりとらわれていても仕方がありません。「タイムライン」を書いて、あなたの明るい未来を思い描いてみませんか?
(参考)
STUDY HACKER|「できない」という思い込みから抜け出す!過去・現在・未来すべてを自己肯定する2つのテクニック
中野信子(2014), 『脳はどこまでコントロールできるか?』, ベスト新書.
【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。