ラットレースを脱出するための絶対条件とは

ラットレースを脱出する方法1

ラットレースとは、ロバート・キヨサキ氏の名著『金持ち父さん 貧乏父さん』で登場する言葉。会社からもらう給料が増えたにもかかわらず、自分の使うお金も増えてしまったため、支払いに追われつづける様子を表します。

ラットレースという不本意な状態から抜け出すキーワードとなるのが「投資」や「不労所得」。尻込みしてしまう方もいるかもしれませんが、決して一般人と無縁ではありません。

社会やビジネスの仕組みをよりよく理解するため、ラットレースの概要を知っておきましょう。

ラットレースとは

ラットレースとは、投資家のロバート・キヨサキ氏が2000年に出版した著書『金持ち父さん 貧乏父さん』に登場する言葉です。2020年現在、『金持ち父さん 貧乏父さん』は全世界で3,200万部を超すベストセラーとなっています。

ビジネスオーナーとして大成功を収めていたキヨサキ氏は、47歳で引退したあとに『金持ち父さん 貧乏父さん』を出版。働いても働いても苦しい生活から抜け出せない状態を、回し車のなかを走るネズミにたとえ、ラットレースと呼称しました。

『金持ち父さん 貧乏父さん』では、2人の「父さん」が対比されてます。ひとりは、政府の役人として懸命に働いたけれど、生涯お金に苦労した「貧乏父さん」。もうひとりは、高校を卒業しなかったものの、資産家として多額の寄付をおこなった「金持ち父さん」です。

「貧乏父さん」とは、キヨサキ氏の実父。キヨサキ氏は、自身の体験から、「資産」や「負債」に関する父親の考え方は間違っていると述べました。懸命に働きながらもお金に苦労しつづける、父親のような生活こそ、資産という名の借金を抱えつづけるラットレースだと主張したのです。

ラットレースに陥る人は、負債を資産だと思いこんでいる、とキヨサキ氏は指摘します。たとえば、ローンを組んで自動車を買ったとします。自動車という資産を手に入れたように思えるかもしれませんが、ローンを返済し、ガソリン代・保険料などを支払いつづけなくてはいけなくなりますよね。自動車を持つことでお金が増えるわけではなく、むしろどんどん減っていくので、キヨサキ氏によれば自動車は「負債」なのです。

別の例も見てみましょう。結婚して家を買い、子どもが生まれると、家のローンの返済だけでなく養育費の支出も発生します。多くの会社員の場合、勤続年数の積み重ねや昇進によって給料が上がりますが、同時に所得税の支払額も増えますよね。それに、給与が増えると、それに応じて使うお金を増やしてしまう人も多いのではないでしょうか。このように、収入の増加に合わせて支出も増えてしまうのが、ラットレースの問題点なのです。

ラットレースを脱出する方法2

ラットレースを学べるゲーム

キヨサキ氏は、ラットレースを抜け出すための経済活動を学べるボードゲーム『キャッシュフロー』を考案しました。サイコロを振って移動するすごろく形式です。

『キャッシュフロー』は、「ラットレース」と「ファーストトラック」という2つのコースで構成されています。プレイヤーの目標は、給料のために働く生活「ラットレース」から抜け出すこと。株や不動産を売り買いして不労所得(キャッシュフロー)を増やすことで、お金を自分のために働かせる生活「ファーストトラック」を目指します

『キャッシュフロー』では、まず、自分の色の「チーズ」をファーストトラック上に置きます。このチーズが、ゲーム内で自分が目指す「夢」です。プレイヤーは、チーズを置いたマスにたどり着き、「夢」を購入できたらゴールとなります。もうひとつのゴールは、一か月の不労所得を50,000ドル増やすことです。

各コマに止まると、投資・取引・むだ使い・失業といったイベントが発生します。プレイヤーは実際の人生と同様、さまざまな出来事に対応しつつ、資産を増やして不労所得を得ていくのです。キヨサキ氏によれば、『キャッシュフロー』をプレイすることで、不労所得をコントロールする力が身につくのだとか。

『キャッシュフロー』は、日本語版も販売されています。Amazonなどの通販サイトで購入できますよ。

2020年現在、内容が更新された『キャッシュフロー101』も販売中。

キャッシュフロー 101 (日本語版)

キャッシュフロー 101 (日本語版)

  • マイクロマガジン(Micro Magazine)
Amazon

小さい子にもわかりやすい『キャッシュフロー・フォー・キッズ』もあります。

皆で楽しく遊びつつ、ラットレースについて学べますね。

ラットレースを脱出するには

ファイナンシャル・リテラシーを身につける

ラットレースから脱出するには、どうしたらよいのでしょうか。キヨサキ氏は、ファイナンシャル・リテラシーを身につけることが大切だと話しています。つまり、お金を稼いだり増やしたりするための正しい知識こそ、まずは必要なのです。

キヨサキ氏が特に重要性を強調しているのは、「資産」と「負債」の違いを知ること。たとえば、ローンを組んで購入するマイホームは、お金が出ていくばかりの状況を生み出すため、資産ではなく負債です。

マイホームやマイカーを買うことが悪いというわけではありません。ただ、ローンや固定資産税の支払いが発生するため、金銭的な余裕がなくなってしまう場合もあるでしょう。すると、お金の支払いに追われる生活に陥り、ラットレースに飲み込まれてしまうというわけです。

では、どうすればよいのでしょう? キヨサキ氏によると、「マイホームを買うのに充分なキャッシュフローを生む資産を買って、キャッシュフローでマイホームを買えばいい」のだとか。まずはキャッシュフロー、すなわち不労所得を生んでくれる資産を手に入れてから、高い買い物をするべきなのだそうです。

いきなり我が家を購入せず、まずは他人に貸せるような不動産を購入すれば、家賃収入でローンを返済できます。ローンを完済したあとは、その不動産が生む不労所得を資金とし、自分の家を購入するのです。

つまり、ラットレースを脱出するには、会社でもらう給料を増やそうとするのではなく、不労所得が得られる資産を自分で増やしましょう。株式投資やアパート経営などの方法が考えられます。

もちろん、投資や資産運用は簡単というわけではありません。前述したファイナンシャル・リテラシーが必要になります。資産と負債について学び、知識を身につけるのです。

キヨサキ氏は、不動産投資の勉強として、住宅情報サイトや不動産屋をのぞいてみることを勧めています。今の自分の経済状況だと、どれだけ広くて新しい物件を購入できるのか、どんな物件に需要があるのかを考えてみましょう。ほかにも、本を読んだりセミナーに参加したりなど、学習を積み重ねるのが大切だそうです。

初期段階でのアドバイス

ある程度のファイナンシャル・リテラシーを身につけたら、実際にお金を増やしていきましょう。キヨサキ氏は、お金を増やす最初のステップについて、2つのアドバイスをしています。

1つ目は、小さい金額から始め、段階的に大きくしていくこと。資産運用のコツをつかむ前に大失敗をし、大金を失ってしまった……という事態を避けるには重要です。このコツは、前出のボードゲーム『キャッシュフロー』でも学べます。

2つ目は、「失敗は成功のもと」であると念頭に置くこと。キヨサキ氏も、もちろん過去に失敗しており、その経験を活かしたからこそ成功できたのだそう。だから、資産運用で失敗しても、そこで折れてはいけません。失敗から次へつながる教訓を得て、ラットレースから脱出するための手がかりにしましょう。

ラットレースを脱出する方法3

ラットレースに関するおすすめ書籍

ラットレースを脱出する方法について、キヨサキ氏のアドバイスを紹介してきました。ですが、ラットレースの抜け出し方を考察しているのは、キヨサキ氏だけではありません。

著書の累計発行部数が160万部を超えるビジネス書作家・木暮太一氏は、『金持ち父さん 貧乏父さん』を深く読み込んで考察したのだそう。そして、ラットレースに巻き込まれず幸せに暮らす方法について木暮氏が著したのが、『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』(講談社、2012年)です。

ベストセラーとなった同書に加筆したのが、今回おすすめする『人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点』(講談社、2018年)。

『資本論』の著者として有名なカール・マルクス氏とキヨサキ氏の共通点や、経済学部を卒業して大手企業を渡り歩いてきた木暮氏の体験が紹介されています。また、経営者や富裕層ではないビジネスパーソンがラットレースを抜け出す方法も、具体的な根拠とともにわかりやすく述べられているので、日本におけるラットレースについて知りたい人におすすめです。

***
会社で働き、家を買い、家族が増える――多くの人が理想とするような人生も、ラットレースに陥ってしまう危険を秘めています。「資産とは何か」を学ぶことが、負債に悩まされず生きるのに必要だといえるでしょう。

【免責事項】
当記事は正当性を保証するものではありません。記事の内容を利用して損失を被った場合でも一切の責任を負いません。最終的な決定は、ご自身の判断でお願いします。

(参考)
筑摩書房|ロバート・キヨサキ
プレジデントオンライン|世界の金持ち父さんは「5つのG」にお金をかける【1】
プレジデントオンライン|ロバート・キヨサキ「今こそお金に働いてもらいなさい」
キャッシュフロー 日本語版 公式サイト
YouTube|キャッシュフロー101 かんたんな遊び方
All About|金持ち父さんロバートが断言する「マイホームは負債」
All About|中流貧乏父さんが陥る「ラットレースの落とし穴」とは
木暮太一 オフィシャルサイト
講談社BOOK倶楽部|僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
木暮太一 (2018),『人生格差はこれで決まる 働き方の損益分岐点』, 講談社.

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト