「部下に愛される上司」と「人望がない上司」3つの決定的違い。差をつけるのは “主語” だった

「部下に愛される上司」と「人望がない上司」の決定的な違い01

「部下からの進捗共有が少なく、トラブルが大事になってから報告してくるので、イライラしがち。自分は “相談しづらい上司” なのだろうか……」
「部下が話している途中で、積極的に意見を述べるようにしている。アドバイスのつもりでやっているけど、じつは嫌がられていないかな……」

このように、部下や後輩から「好かれていないかも……」と不安になることはありませんか? 今回の記事では、「部下に愛される上司」と「人望がない上司」の違いを3つご紹介します。あわせて、部下から愛されるコツもお伝えしますので、ぜひご一読ください。

1.「機嫌」が違う

部下が取引先からクレームを受けるなどの問題があったとき、イライラした態度で部下を叱責してしまう人は注意が必要。部下に愛される上司は、たとえトラブルが起きても機嫌よく対応するものです。

グロービス経営大学院教員の村尾佳子氏いわく、人望がない人には「怒りなどネガティブな感情を外に出しがち」という特徴があるとのこと。「感情のまま行動することで(中略)『建設的な議論ができない人だ』と思われて」しまうそうです。(カギカッコ内引用元:グロービスキャリアノート|人望が厚い人の特徴とは?周囲から信頼される人になるためのポイント

たしかに、イライラした態度で部下を叱責している人がオフィスにいたら……その様子をはたから見ただけでも、「この人は落ち着いて考えられないのかな」「この人と一緒に仕事をしたら怖そうだ」と思ってしまうものですよね。

そこで上司にとって大事になってくるのが、イライラした不機嫌な態度をとらないこと。新規事業開発を支援する株式会社インキュベータ代表取締役の石川明氏は、コンサルタントとして数多くのビジネスパーソンを観察してきた経験をふまえ、上司には特に「機嫌のよさ」が重要だと述べています。

部下は上司の「『機嫌の良し悪し』に敏感」なもの。もし、部下がトラブルについて上司に報告したとき、上司が機嫌悪そうにしたら……。それ以降、部下は「上司に対する恐怖心」から「トラブルを報告するのを躊躇してしまう」かもしれないと石川氏は指摘します。不機嫌な上司には、部下は寄ってこないのです。

(石川氏の解説部分カギカッコ内引用元:石川明(2022),『Deep Skill』,ダイヤモンド社.)

「部下に愛される上司」と「人望がない上司」の決定的な違い02

では、上司として機嫌よく働くにはどうしたらよいでしょう。コツのひとつとして石川氏がすすめるのが、「『仕事をすれば、トラブルは必然的に起きる』と腹をくくる」こと。こうすれば、トラブルに直面しても「『不機嫌』になることなく『平常心』で事態を受け止め」られると言います。(カギカッコ内引用元:同上)

たとえば、「取引先からクレームが来てしまった」と部下から報告を受けても、怒って理由を問い詰めたり、不機嫌な表情を見せたりするのはNG。日頃から「トラブルは絶対に起きるものだ」と腹をくくっておき、クレームが来たという事実を落ち着いて受け入れるのです。そのうえで、「いま報告してもらえてよかった」と気持ちよく対応することが大切。機嫌のよさを見せ続ければ、自然と部下から愛されるはずですよ。

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2.「主語」が違う

部下との面談で、「目標は○○と決定されました」と伝える――よくありそうな光景ですが、部下がついてくる上司の伝え方は少し違うよう。「(私は)目標を○○と決定しました」と主語を自分にして伝えているのです。

長崎大学准教授でスピーチコンサルタントの矢野香氏によると、部下を動かすには、「主語を自分にして、能動態で話す」ことが重要。「受動態」だと「『自分は責任をとりたくない』という逃げ腰の印象を与え」るのだとか。

矢野氏は以下の文例を挙げて説明しています。

△「こうした事態を打開するため、来月、全体会議が行なわれることになりました」
○「こうした事態を打開するため、来月、(私は)全体会議を行ないます」

(カギカッコ内・枠内引用元:東洋経済オンライン|「部下が離れる上司」がやっている残念な言葉遣い

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先に挙げた、目標を部下に伝えるという場面を例に、伝え方による差を考えてみましょう。

△「目標は○○と決定されました」
→たとえ目標を決めたのはあなたであったとしても、部下は「他人が決めた目標を伝達しているだけでは」と感じるかもしれません。

○「(私は)目標を○○としました」
→自分を主語にしてシンプルに言いきれば、あなた自身が目標設定したことが部下にはっきりと伝わります。きっと部下は、あなたを信頼するはず。

部下がついてくる上司でいたいなら、自分を主語にしてシンプルに、かつ堂々と言いきる癖をつけましょう。

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3.「聞き方」が違う

打ち合わせで部下が意見を述べている最中に、上司としての考えを伝えることが多い――心当たりがあるのであれば、部下から慕われていない可能性があります。愛される上司は、部下の話を最後まで遮らない “聞き上手” であるものなのです。

コーチングファームの合同会社ナンバーツー代表社員で、数多くの経営者やリーダーへのコーチングを行なってきた林健太郎氏によると、部下から好感を抱かれる上司とは「話を聞いてくれる上司」。にもかかわらず、「9割の上司は、部下の本音を聞き出せていない」のだそうです。

では、なかなか部下の本音を聞き出せない9割の人は、どうやって部下の話を聞けばよいのでしょう? 

ひとつに、林氏は部下を「泳がせる」ことを挙げます。「この質問に部下がこう答えたら、こう返事をする」などといった会話の流れを想定せず、自由に話をさせるということです。

ただし、自由に話をさせさえすれば、聞き流してもいいというわけではありません。大事なのは「HearではなくListen状態」で聞くこと。「聞き洩らしがないように集中し、積極的な姿勢」で上司が聞けば、その真剣な姿勢を感じ取った部下は、「話すことが気持ちよくなって、つい本音までしゃべってしまうようになる」そうですよ。

(林氏の解説部分カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|部下がつい本音を話してしまう上司は、どこが違うのか?

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また、上司が部下の話を聞くというシチュエーションでは、どうしても部下にアドバイスをしたくなる上司もいることでしょう。このとき注意したいのが、武勇伝を披露しないこと。心理カウンセラーの永藤かおる氏によれば、「昔話や武勇伝」を繰り広げる上司に対し「若手社員はうんざり」してしまうそう。(カギカッコ内引用元:PHP人材開発|上司の武勇伝や苦労話は若手の「ウザい」の元になるだけ

たとえば、打ち合わせで部下が意見を述べているとき、話を遮って「○○の点はどうなの?」と質問したり、「それはこう処理すればいいよ」「私が新入社員の頃はね……」と強引に自分の考えを話したりするのはやめましょう。部下は言いたいことを言えなくなり、あなたを信頼する気持ちもなくなってしまうかもしれません。

逆に、部下に自分の意見を自由に述べさせ、その話を最後まで聞くようにすれば、きっとあなたは好感をもってもらえるはず。部下の本音を引き出すことができ、信頼関係を築くこともできるでしょう。

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今回ご紹介した内容が、上司として働くビジネスパーソンのみなさんのお役に立てば幸いです。部下との信頼関係を強化し、「部下から愛される上司」を目指しましょう!

(参考)
グロービスキャリアノート|人望が厚い人の特徴とは?周囲から信頼される人になるためのポイント
石川明(2022),『Deep Skill』,ダイヤモンド社.
ダイヤモンド・オンライン|「人望のある上司」と「ない上司」、顔を見れば一発でわかる決定的な「差」とは?
東洋経済オンライン|「部下が離れる上司」がやっている残念な言葉遣い
ダイヤモンド・オンライン|部下がつい本音を話してしまう上司は、どこが違うのか?
PHP人材開発|上司の武勇伝や苦労話は若手の「ウザい」の元になるだけ

【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。

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