誰よりもわかりやすく説明できる人が押さえている「2つの超基本」

説明のうまい人になるための2つのコツ01

ひと通り説明し終えたあとで、「もう一度最初から説明してくれる?」「じゃあ、結論としてはどういうこと?」などと相手から言われたことはありませんか?

そのようなことがよくあるという「説明下手」な人と、すっきりとわかりやすく話を進められる「説明上手」な人の違い――それは、端的に言えば「話の順番」です。

頭のなかに浮かんだことをダラダラと話したり、聞かれたことに全然答えなかったりするようなトンチンカンな説明をしているようでは、「この人の話は聞いていられない」と思われてしまいます。当然、印象も悪くなりますし、仕事もスムーズには進まないでしょう。

今回は、説明がうまい人になるためには、何をどのような順序で話せばいいのか、解説していきます。

説明がうまい人は「相手が聞きたいことは何か」を考えている

説明上手になりたいなら、まずは、何を話すかについて考えましょう。コミュニケーション・アドバイザーでベストセラー『頭のいい説明 すぐできるコツ』などの著書をもつ鶴野充茂氏は、聞き手が何を聞きたいと思っているか考える」ことが初めの一歩だと言います。

聞き手が何を知りたがっているか想像するためのヒントは、次の例に挙げるように、伝える相手は誰で、その人が何を目的(ゴール)としているかを考えてみること。これにより、どのような情報を重点的に説明すべきかを見極めることができます。

【例1】新卒採用説明会を行なう場合(1対多)

伝える相手は、社会人経験がない学生。彼らの目的は、その会社で働きたいか見極めること。
⇒つまり彼らは、「リアルな仕事内容や1日のスケジュール、テレワーク勤務や海外勤務の実体など」を聞きたいと思っている。

【例2】出張報告をする場合(1対1)

伝える相手は、年上の上司。上司の目的は、出張でどんな成果があったのか知ること。
⇒つまり上司は、「商談が成立したのか、どんな有益情報を手に入れたのか、どんな課題が見つかったのかなど」を聞きたいと思っている。

ただし、相手から直接質問を受けた場合は、少し変わってきます。鶴野氏によると、相手の言った最後の言葉に返答することがコツだとのこと。話し言葉の場合、直接的な結論は最後に来ることが多く、最初はぼんやりとした質問が出てくることが多いそうです。

質問例「出張どうでしたか? 何かいい情報ありましたか?

回答例「(あとの質問に答えるかたちで)はい、A社の方から、B社をご紹介いただきました。B社は、IT教育サービス会社で、以前より当社サービスに関心をもっていたそうです」

上記のコツをマスターして、相手が聞きたいことは何か、しっかり見極めるところから始めましょう。

説明のうまい人になるための2つのコツ02

では、話す内容が明確になったところで、どのような順序で話していけばいいのか、必ず押さえておきたい2つの基本フローをお伝えします。

【基本フロー1】用件→結論→理由→詳細

伝える力【話す・書く】研究所所長で、『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』などを著書にもつ山口拓朗氏が紹介するのは、報連相やプレゼンテーション、スピーチなど、あらゆるビジネスシーンに使える「用件+結論優先型」というトークテンプレート。このテンプレートでは、用件→結論→理由→詳細の順に説明をします。

  1. 用件:いまから話す事柄の全体像
    まず、相手が話の輪郭をつかめるように、話の種類を伝えましょう。報告なのか、提案なのか、相談なのか、相手に事前に伝えると、話の理解度が格段に高まります。
  2. 結論:伝えたい事柄の勘所
    次に、話の要点を伝えましょう。いきなり局所や細部の話をしても、聞き手はついてこられませんのでご注意を。なお、「ひとつの話に結論はひとつ」が話をわかりやすくするコツです。
  3. 理由:結論の理由
    結論の直後に理由を添えることで、論理性が保たれ、結論の説得力が増します。
  4. 詳細:結論の詳細
    最後に、具体例や体験、事例などを伝えます。関連データや補足事項を盛り込むのもOKです。

このテンプレート通りに順序よく伝えるか、流れを考えずに伝えるかで、説明のうまさにどれほどの差が出るのか。例で比べてみましょう。

【× 順番を考えずに話す】

当社のオリジナルキャラクターも、アニメキャラクターのようにしゃべらせたら、おもしろそうではないでしょうか(4. 詳細)。Aという会社では、きめ細かいオプション設定が可能だそうです(3. 理由)。A社にPR動画を依頼してはどうでしょう(2. 結論)。それが、私の提案です(1. 用件)。

【○ 用件+結論優先型で話す】

提案があるのですが(1. 用件)、A社にPR動画を依頼してはどうしょう(2. 結論)。というのも、A社ならきめ細かいオプション設定が可能だからです(3. 理由)。たとえば、当社のオリジナルキャラクターも、アニメキャラクターのようにしゃべらせたら、おもしろそうではないでしょうか(4. 詳細)。

話す順番を入れ替えるだけで、頭にスッと入りますよね。でも、よく見てください。話している内容自体は、何も変わっていませんよ。手始めに全体像を語るだけで、説明のうまさはこれほどまでに違ってくるのです。

説明のうまい人になるための2つのコツ03

【基本フロー2】全体像→列挙1→列挙2→列挙3→まとめ

山口氏は、いくつかある情報を整理して伝えたいときには「列挙型」のトークテンプレートが重宝すると言います。このテンプレートでの伝える順番は、全体像→列挙1→列挙2、列挙3→まとめです。

  1. 全体像:いくつポイントがあるか?
  2. 列挙1:1つめのポイントは何か?
  3. 列挙2:2つめのポイントは何か?
  4. 列挙3:3つめのポイントは何か?
  5. まとめ

冒頭に「ポイントは3つあります」という具合に伝えると、聞き手は全体像を把握できるため、安心して話を聞くことができます。また、ポイントごとに整理して話すことにより、聞き手は話を理解しやすくストレスも感じません。

このテンプレートを使わずに伝えたときと、テンプレートありで伝えたときの違いを、例で比べてみましょう。

【× 順番を考えずに話す】

テレワークをすれば、紙などの消耗品もいらなくなります。というか、そもそもワーキングスペースがいらなくなります。通勤定期も、もちろん持つ必要がなくなります。そのため、テレワークを推奨します。これだけで、コスト面でのメリットが3つもあります。

【○ 列挙型で話す】

テレワーク導入のメリットは3つあります。1. ワーキングスペース代がかからない。2. 通勤定期代がかからない。3. 紙などの消耗品代がかからない。このようなコスト面でのメリットを考慮して、テレワークを推奨します。

文章が引き締まり、説得力が増したのがわかるでしょう。こういった説明の仕方を、意識せずともできるレベルにまでもっていきたいところですね。

***
「説明のうまい人」になるために、まずは相手が何を聞きたいと思っているかを見極めましょう。それができたら、2つの基本フロー「用件+結論優先型」と「列挙型」を併用して、相手が理解しやすい順番で話すことを心がけてみてください。

(参考)
鶴野充茂(2008),『頭のいい説明「すぐできる」コツ―今日、結果が出る!』, 三笠書房.
山口拓朗(2020),『9割捨てて10倍伝わる「要約力」』, 日本実業出版社.

【ライタープロフィール】
SHOICHI
大学院修了後、一般企業に就職。現在は会社を辞め、執筆活動をしている。読書、音楽、YouTubeが好き。

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