○○を思い描くだけ! 勉強のやる気が出ないあなたに足りない「ドーパミン」分泌方法3選

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「勉強のモチベーションを上げたいのに、いつも怠けてしまう……」
「勉強のやる気を普段からすぐ出せるようにするには、どうすればいいのだろう……」

勉強に取りかかりたい、勉強を習慣化したいのに、なかなか行動へ移せない。こうした悩みをもっている人にぜひ知ってほしいのが、「ドーパミン」と呼ばれる神経伝達物質です。今回は、勉強のモチベーションを高めるのに役立つドーパミンを分泌させるための、3つの方法をご紹介します。

モチベーションが低いのは、ドーパミンが足りないから

精神科医の伊藤直氏によれば、ドーパミンは、運動や学習、意欲などさまざまな生命活動に関わりがある神経伝達物質。なかでも特に、感情、思考、意識といった心の機能に影響を与えるものです。脳の側坐核という部位から分泌されています。

伊藤氏は、ドーパミンが側坐核から分泌されると、脳内の報酬系という神経系が活性化してやる気や幸福感が得られると言います。そして側坐核は「実際に行動を起こしているとき」に活性化するそう。すなわち、勉強を行なう、体を動かすなどの行動によってドーパミンは分泌されるのです。

しかし、寝転がっていたり、携帯をぼーっと見ていたりといった状態では、側坐核は刺激されないためドーパミンもなかなか分泌されません。勉強に気が向かないからとダラダラしていても、いっこうにやる気が出てこないのはこのため。つまり、「やる気が出ない……勉強したくない……」とぐずぐずしている人の脳内ではドーパミンが十分に分泌できていないと言えるのです。

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では、どうすればドーパミンをたくさん分泌させて勉強に対するモチベーションを高められるのでしょうか。3つの方法を次以降の項で挙げてみました。

【方法1】報酬を期待する

諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授によれば、「この勉強を続ければご褒美がある」と未来の報酬を思い描くとドーパミンが分泌されるとのこと。ご褒美を期待することで快感がもたらされ、やる気と集中のスイッチを簡単に入れられるようになるのだそうです。

ご褒美の例は、お金や評価、充実感など。また脳科学者の澤口俊之氏によれば、自分なりの楽しみをご褒美として設定するのもいいそうです。たとえば次のようなものが考えられるでしょう。

  • 「今回の試験で成績がよければ、前から欲しかった○○を買おう」
  • 「この問題集を1ヶ月で終わらせれば、憧れの資格を取得できて、昇給できる」
  • 「この単元を解き終わったらゲームをしよう」
  • 「あと2時間勉強できたら、とっておいたお菓子を食べよう」

必ずしも大きなご褒美でなくとも、日常的な些細なご褒美でもいいので、報酬を得られる見込みがあることについて考えてみましょう。ドーパミンが分泌され勉強のモチベーションを維持しやすくなるはずです。

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【方法2】適度な運動を取り入れる

机に向かって長時間勉強しているのに、ぼーっとしてしまいなかなか進まない……。そんなときは、適度な運動を勉強スケジュールの合間に組み込むことをおすすめします。

ライデン大学のSaskia Heijnen氏らの研究チームによれば、有酸素運動を行なうと、ドーパミンの分泌が促進されるそう。また、脳科学に基づいたトレーニングプログラムを提供する株式会社闘争心代表取締役の高橋良輔氏(ボクシング東洋太平洋第12代クルーザー級チャンピオン)も、有酸素運動をするとモチベーションに影響する成長ホルモンの働きが促進され、それによってドーパミンを含む神経伝達物質の働きも活性化すると伝えています。

さらに有酸素運動には、勉強に適した脳を育てる効果も。『脳を鍛えるには運動しかない!』の著者であるジョン・J・レイティ氏によれば、運動は脳の神経細胞(ニューロン)の形成を促進することが明らかになっているそう。脳を育てるには、やや息が上がるよりも少しきつめの運動を週に2日、それより少し緩めの運動を週4日行なうのが理想的だとのこと。運動の種類は、速足でのウォーキングやランニング、エアロビクスやエアロバイクを使った運動などがいいそうです。

勉強しているとき、もし「眠い、集中できない」などと感じたら、ドーパミンを分泌させてモチベーションを高められるよう、有酸素運動を行なってみてください。

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【方法3】ドーパミンの分泌を促す食品を摂取する

ドーパミンを分泌させるためには、食事の工夫も効果的です。ブレインケアクリニック名誉院長の今野裕之氏によると、ドーパミンの生成には、タンパク質中のフェニルアラニンやチロシンといったアミノ酸の一種が関係しているそう。しかしこれらの栄養素は人間の体内で生成することができないため、食事から摂取するしかありません。

タンパク質を効率的に摂取できる食品として今野氏は、パルメザンチーズや卵白、鰹節などを挙げています。また、医学博士の牧田善二氏が挙げるのは大豆。大豆はチロシンを多く含んでおり、別名「ブレイン・フーズ」と呼ばれるほど脳を活性化させる効果が知られています。大豆は納豆や味噌、豆腐などでも摂取できますね。

また栄養士の笠井奈津子氏は、著書『甘い物は脳に悪い すぐに成果が出る食の新常識』で、ドーパミンの生成にはトリプトファンという必須アミノ酸も必要だと示しています。トリプトファンを摂取するには、大豆製品以外にも加工していない魚や肉類、バナナ、ナッツなどを食べるとよいそう。先述の運動はちょっとハードルが高いなと思う人は、食事を通じてドーパミンの分泌を促しましょう。

***
ぜひ、ご紹介した方法を実践して、ドーパミンの分泌を促しましょう。勉強のモチベーションが上がりやすくなり、いままでよりずっと楽に勉強に取り組めるはずです。

(参考)
医療社団法人 平成医会|ドーパミンを増やすことで得られるメリット
プレジデントオンライン|脳を騙して「4倍働いて2倍遊ぶ」方法 ドーパミンがドバドバ出る仕事術
THE21オンライン|脳科学から見えてきた!やる気を高める4つの方法
Heijnen, Saskia et.al(2015), “Neuromodulation of Aerobic Exercise—A Review.”, Frontiers in Psychology, Vol. 6, No. 65, pp.1-6.
Lin, Tzu-Wei and Yu-Min Kuo(2013), “Exercise Benefits Brain Function: The Monoamine Connection.”, Brain Sciences, Vol. 3, No. 1, pp.39-53.
プロの逸品|やる気や集中力の維持に悩む人が知るべき「運動」が脳に与える驚くべき効果
プレジデントオンライン|脳細胞が増える運動「3つの条件」
J-WAVE NEWS|快楽ホルモン「ドーパミン」を増やすために摂取したい栄養素は?
ダイヤモンド・オンライン|今の医学で「体にいい」と言える5つの食べ物
牧田善二(2017), 『医者が教える食事術 最強の教科書』, ダイヤモンド社.
笠井奈津子(2011), 『甘い物は脳に悪い すぐに成果が出る食の新常識』, 幻冬舎新書.

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

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