脳活性化の効果も! やること管理に「方眼ノート」が超絶おすすめなワケ。

ツインループの見開かれた方眼ノート

勉強やビジネスだけではなく、心身の健康にも役立つという「方眼ノート」の人気が高まっています。文具のプロからは、「方眼ノートは懐が深い」なんて声も……!

しかし、「気にはなっているが、普通のノートで事足りているので特に使っていない」という方もいるでしょう。そこで今回は、そんな方々の

  • 方眼ノートが何にどう効くのか具体的に教えてほしい
  • 簡単に試せる方眼ノート活用法を教えてほしい

という声にお応えするべく、方眼ノートが効く医学的・脳科学的な理由と、いますぐ簡単にできてしまう、方眼ノートで “やること” を管理する方法を、筆者の実践を交えて紹介します。

1. 方眼ノートは自律神経が整いやすい

自律神経とは、わたしたちが無意識のうちに、血行や消化吸収、体温調節などをコントロールしてくれている神経のこと。作用が相反する2つの神経――「活動の交感神経」と「休息の副交感神経」に分類されます。

西都児湯医療センターの「アニメで学ぶ子供のための医学」によると、最近は自律神経が感情とも密接な関係にあるとわかってきたそう。心身の健康を左右するのですから、とうぜん仕事のパフォーマンスにも大きく影響します。

そうしたなか、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏は、文字を丁寧に書いていると副交感神経が刺激されるので、心が落ち着いて自律神経が整うと説明しています。特に、マス目があることから、無理なくきれいに書けて、図を描いても乱雑になりにくい「方眼ノート」がおすすめなのだとか。

書くストレスが少ないほど、より自律神経が安らぐからです。

文具プランナーの福島槙子さんいわく「方眼ノートは懐が深い」。マス目がしっかりと文字をガイドしてくれて、たとえ斜めになったりはみ出したりしても許容してくれる、「心地よい包容力のあるノート」とのことです。

「This is my story」と書かれた方眼ノート

2. 方眼ノートは仕事や勉強の効率を上げる

有限会社イーソフィア代表でパズル作家の北村良子さんは、頭の回転をよくして理解力を上げ、仕事のミスを減らし、効率アップを可能にする答えはワーキングメモリにあると述べます。

広島大学が管理するWEBサイト(児童・生徒のワーキングメモリと学習支援)によれば、ワーキングメモリは、会話や読み書き、計算などの基礎となる重要な能力なのだそう。

ワーキングメモリとは、いわゆる目の前のタスクを行なう際に働く脳のシステムのこと。2つの記憶貯蔵庫「数・単語・文章などを扱う音韻ループと、イメージ・絵・位置情報などを扱う視空間スケッチ(メモ)パッドを、「中央実行系」が制御する仕組みになっています。

ワーキングメモリを表す「付箋を頭に貼ったイラスト」

「脳のメモ機能」ともいわれるワーキングメモリ

脳科学者で公立諏訪東京理科大学教授の篠原菊紀氏いわく、「音韻ループ」は横罫や縦罫のラインに沿って、ひたすら文字を書いていくノートの取り方に近く、「視空間スケッチパッド」は文字を丸で囲んだり、図や絵を描いたり、線でつなげたりなど、ビジュアルを意識したノートの取り方に近いそう。

また、文字をただ書き写すときに働く脳の領域は言語野(ウェルニッケ野とブローカ野)で、情報を整理しながらノートに書き、俯瞰しながら “どう見えるか? 見やすいか?” などと考えているときは、空間情報をつかさどる頭頂連合野や、創造性にかかわる側頭頭頂接合部が働くのだそう。

篠原氏によれば、東大生のノートには、いずれも後者の特徴(ビジュアル的・整理し、俯瞰して書かれている)があるとのこと。

つまり、ただ文字を書いていくのではなく、ビジュアル化しながら、整理しながら、俯瞰しながら文字を書いていくほうが、より広く脳が働き、東大生のようによく記憶でき、思考が整理され、アイデアもわきやすくなるわけです。

その点、すでにマス目という空間情報が整っている方眼ノートは、文字も書けるうえに、グラフや立体図なども描きやすいので、機能的にワーキングメモリの「音韻ループ」と「視空間スケッチパッド」を働かせられると篠原教授は説明します。

方眼ノートにグラフを描いた画像

3. 方眼ノートで「やること」を管理するメリット

方眼ノートは単に使いやすいだけではなく、医学的・脳科学的な観点でも有益だとわかりました。

そうした背景があることから、あらゆる場でさまざまな方眼ノート活用法が紹介されていますが、今回は「すぐに試せる簡単な活用法」として、“やること” を方眼ノートで管理する方法を紹介します。いわゆるタスク管理です。

『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか?』(かんき出版)の著者で、戦略コンサルタントの高橋政史さんは、頭を使う仕事はPDCAノート(Plan/計画・Do/実行・Check/評価・Action/改善)で管理し、作業の管理は「ToDoボックス」で行なうようアドバイスしています。

「ToDoボックス」とは、方眼ノートの罫線を頼りに四角(ボックス)く区切り、やることを書いていく管理法です。リストよりも四角いなかに書いていくほうが、作業内容を具体的に書きやすいとのこと。それに、四角い面なら図も入れやすいはず。

なお、このボックス状にした「やること管理」は、文具プランナーの福島槙子さんも提案しています。

福島さんの方眼ノートを使った「やること管理」は、丸で囲ったり、雲状のラインで囲ったり、日々やるべきことやアイデアを書いたり、時には落書きしたりと自由度の高いもの。

そして、完了したら太めのペンで思い切りバツマークを書いて消すのだそう。これがなかなか達成感があるそうですよ。

高橋さんも同じで、完了した作業のボックスは、ストラックアウト(9枚のパネルを打ち抜いていくゲーム)のようにバッテンを書いてつぶしていくそうです。視覚的な達成感が得られ、充実するとのこと。

「ストラックアウト」ゲーム

では、筆者も方眼ノートで「やること」を管理してみます!

4.方眼ノートで「やること」を管理してみた

高橋政史さんは、A4の方眼ノートを横にして24マスつくると、1マス20分換算で8時間になるので、たとえば8時間勤務なら時間内に仕事を終える目安になるとアドバイスしています。

そこで筆者も同じように、手持ちのセミB5サイズの8mm方眼罫ノートを横にして、24マスに分けてみました。

セミB5の方眼ノートを横にして24マスつくった写真
高橋さんも、福島さんも、作業内容を具体的に書くだけではなく、途中経過(ちょっとした確認や進行中の状況など)も書いているので、筆者もまねてみます。

また、高橋さんにならい、左から縦向きに番号を1~24まで振り、福島さんにならい、ちょっぴり自由度高めの表現で「1日の仕事のやること」を書いていきました。

方眼ノートを24マスに分け、やること(To-do)を書いた写真

では、業務開始です!

5.方眼ノートで「やること」を管理してみた結果

ストラックアウトのゲーム感覚で、完了したマスにバッテンを書き、視覚的な達成感を得るという高橋さんをまね、筆者ものペンのみを使い実践してみました。

方眼ノートに書いた「やること」を完了するたび赤バツで消した画像

今回やってみて、とくに感じたのはこの4点です。

  • 余白ができる
  • フレキシブルに考えられる
  • とにかく達成感がある
  • ストレスが少ない

【余白ができる】

実際、1マスが20分換算なので、1マスに「○○開始!」と書くのは、「20分ものあいだ開始準備していた」なんてことになるので、論理的にはおかしいのですが、こうしたおかげで余白時間を確保できました。

そもそも仕事をしていると必ず突発的なことが起こるものなので、余白がなければ結局どこかにしわ寄せがきてしまいます。あるいは、余白がないせいでギュウギュウに詰まった業務を焦ってこなし、結果として意味なくミスを誘発してしまうかもしれません。

仕事において、余白時間の確保は大切なのです。

【フレキシブルに考えられる】

一応番号は振っていますが、リスト状の「やること管理」と違い、ブロック状の「やること管理」は書く順番が前後逆になってしまったり、あっちにいったりこっちにいったりしてタスクをこなしても、あまり気になりません。

フレキシブルに捉えられるので、ストレスなくどんどんこなしていける感覚です。

【とにかく達成感がある】

本当にストラックアウトのゲーム感覚で、終えたタスクにバッテンをつけていくことができました。爽快感と達成感、楽しさまで味わえます。これはおすすめ。

【ストレスが少ない】

順番を気にさせないフレキシブルな感覚が、ストレスを軽減してくれた部分もありますが、やはり方眼ノートならではの特性が、大いにストレスを取り除いてくれました。

少し乱雑に書いてしまったにもかからわず、方眼ノートは文字の不揃いや汚さなさを半減してくれます。どんなふうに書いても、なんとなくまとまってくれるので、書くストレスが減って、自律神経が安らいだような気がしますよ!

***
方眼ノートで「やること」を管理してみました。ものすごく簡単で気軽に実践できます。ぜひお試しくださいね。

(参考)
@DIME|手帳やノートが乱雑な人は自律神経が乱れ気味?
@DIME|なぜ、外資系コンサルタントはPCでなく方眼ノートで仕事をするのか?
読売新聞オンライン|深読み|方眼ノート人気 理由は“懐の深さ”?
高橋政史(2014),『頭がいい人はなぜ、方眼ノートを使うのか? 』, かんき出版.
仕事の教科書編集部編(2015),『究極のノート術』, 学研プラス.
小林弘幸(2017),『「意識しない」力 うまくいくときは、結局みんな、自然体』, 文響社.
篠原菊紀(2015),『脳科学が教えてくれた 覚えられる 忘れない!記憶術』, すばる舎 .
坪見博之, 齊藤智, 苧阪満里子, 苧阪直行(2019),「ワーキングメモリトレーニングと流動性知能 1―展開と制約―」, 心理学研究, 90巻, 3号, pp. 308-326.
児童・生徒のワーキングメモリと学習支援(広島大学)|「ワーキングメモリ」とは
アットプレス|有限会社イーソフィアのプレスリリース|脳のある部分を鍛えると、圧倒的に仕事の効率が上がる!書籍『脳を鍛えると生産性が上がる』を12月20日に発売
西都児湯医療センター|仕組み
脳科学辞典|中央実行系

【ライタープロフィール】
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