資料作成4つのコツ。パワーポイントで資料が作れる!

資料作成のコツ1

プレゼン資料作成のコツをお探しですか? テキストにはどのフォントを使うか、文字の大きさは何ポイントか、そもそも内容として何を盛り込むべきか、グラフは入れるか入れないか、レイアウトは――考えることが多すぎて、悩んでしまいますよね。

しかし、これからお教えするポイントを押さえれば、わかりやすい資料・スライドが誰でも作れるのです。プレゼンテーションや商談の資料作りで悩んでいるあなたに、資料作成のコツを伝授します。

資料作成のコツ1:ゴールを明確にする

資料作成のコツとして大事なのは、まず、資料作成のゴール(目的)を明確にすること。セールス用の資料なら「商品を購入してもらうこと」、社内の企画会議に出す資料なら「企画を通すこと」が目的となります。

当たり前だと思うかもしれませんが、ゴールをしっかりと把握しておくことは、伝わりやすい資料を作るうえで、とても大切です。『プロの課題設定力』(東洋経済新報社、2009年)など仕事術の書籍を多く著した経営コンサルタント・清水久三子氏によれば、資料の目的を明確にしないと、「結局、何をすればいいの?」「何が言いたいの?」と読み手に思われるような、わかりにくい資料が生まれてしまうのだそう。

清水氏は、資料の目的を定める3つのステップを紹介しています。

1. 「相手にどんな行動をとってもらいたいか」を明確にする

まず、資料を読んだ相手に、どのような行動をとってほしいか明確にします。「商品を購入してもらう」「企画を受け入れてもらう」など、達成するべき最終的なゴールを具体化しましょう。

2. 「そのために何を理解してもらいたいか」を考える

その最終的なゴール(相手にとってほしい行動)を実現するため、資料を通じて何を理解してほしいのかを考えましょう。たとえば、「商品を購入してもらう」というゴールを実現したいなら、商品の魅力を理解してもらうことが必要です。「企画を受け入れてもらう」がゴールなら、企画の勝算や費用・効果を理解してもらうべきでしょう。

つまり、「商品の魅力」「企画の勝算」など、ゴール到達のため相手に理解してもらいたい情報は、資料に必ず盛り込まなければいけないのです。

3. 「そのためにどのような心理状態にするべきか」を考える

そして、最終ゴールを実現するため、相手をどのような心理状態にすればいいかを考えましょう。「商品を購入してもらう」がゴールならば「商品が欲しい」、「企画を受け入れてもらう」がゴールなら「面白そうだ」と感じてもらう必要があります。

ステップ2が理性面からのアプローチだとすれば、ステップ3は感情面からのアプローチだといえるでしょう。「欲しい!」という気持ち、「面白そう!」という気持ちを呼び起こせるよう、資料全体のトーンを統一するのです。

作りはじめる前に、まずは上記3つの「柱」を決めておくことが、資料作成のコツなのです。

資料作成のコツ2

資料作成のコツ2:「ピラミッドストラクチャー」で論理を固める

「資料作成のコツ1」でゴールが決まったら、「ピラミッドストラクチャー」というフレームワークを利用し、資料の全体像(論理的な骨組み)を設定しましょう。

ピラミッドストラクチャーとは、事実と論理をピラミッドのように積み重ね、一つの結論を導く考え方。『マッキンゼー流 入社1年目問題解決の教科書』(SBクリエイティブ、2013年)の著者で、コンサルタントの大嶋祥誉氏によると、ピラミッドストラクチャーなら事実や論理関係が一目でわかるため、相手を論理的に納得させられるストーリーが展開できるのだそう。

ピラミッドストラクチャーの例。「当社は新規事業としてミネラルウォータービジネスに参入すべき」という結論を、「市場は成長率が高く、機能性を追求できれば参入可能」「競合は多いものの、圧倒的なシェアを誇る競合は今はない」「当社の強みを活用できる」という3つの根拠が支えている。その3つの根拠を、さらに複数の根拠が支えている。

(画像は筆者が作成)

このピラミッドストラクチャーでは、「当社は新規事業としてミネラルウォータービジネスに参入すべきである」という主張が、図の最下位に属する8つの根拠によって支えられています。左下の「(ミネラルウォーター市場は)一定の規模で推移する安定した市場」という事実は、1つ上にある「市場は成長率が高く、機能性を追求できれば参入可能」という主張の根拠となっており、さらにその「市場は成長率が高く……」という主張が、「ミネラルウォータービジネスに参入すべき」という結論の根拠となっているのです。

ピラミッドストラクチャーを効果的に利用し、「訴えたいメッセージの根拠」を一目瞭然にするのが、論理的で隙のない資料作成のコツです。

資料作成のコツ3:「スケルトン」を作成する

資料作成のコツ1・2で固まった、最終ゴールと論理構成をもとに、いよいよ資料を作っていきましょう。

資料の構成は、「スケルトン」という設計図に落とし込みます。スケルトンとは「骨組み」の意味で、資料全体の内容の一覧表のこと。経営コンサルタントのShin氏は、「ページ数」「ページタイトル」「文章」「概要」という4つの項目で、スケルトンを作っているのだそう。

  タイトル 文章 概要
1 現行プロジェクトの問題 2019年8月をピークに、アクセス数が4カ月連続で減少 自社サイトのアクセス数が頭打ちになっていることをグラフで示す
2 プロジェクトの目的

サイトの固定ファン(=潜在顧客)の創出
サービス申込みへの誘導

自社サイトの運用目的を確認
3 競合相手の規模

アクセス数:競合他社の半分未満
フォロワー数:競合他者の4倍

競合サイトのアクセス数・SNSフォロワー数の一覧表
4 競合相手の施策

SNSでの積極的な交流
ニーズの大きい検索キーワードでの上位獲得

競合サイトが行なっている施策の一覧
5 自社の新施策

SNSでのファンとの交流拡大
ニーズの大きいキーワードに特化した特設ページ作成

目的達成のため、自社がまだ行なっていない、効果的と思われる施策を提示

このようなスケルトンを用意することで、各ページ(スライド)にどんな文章を書き、どんな情報を伝えるべきなのか、一目でわかります。Shin氏によると、資料の内容について上司やチームメンバーと話し合うときにも便利なのだそうです。

資料の構成を考えるにあたっては、以下の4点に気をつけてください。

1. 冒頭・章の区切りで目次を示す

人材育成コンサルタント・山田進一氏の著書『スパッと決まる!プレゼン 3ステップで結果を出せるトータルテクニック』(翔泳社、2011年)によると、相手に全体像を把握してもらうため、資料の冒頭で目次を提示しておくのが大事なのだそうです。

冒頭だけでなく、各章の終わりのような区切りにも、目次を繰り返し提示しましょう。目次を定期的に確認することで、全体におけるどの部分の話をしているのかという「現在地」を認識してもらいやすくなるのです。話の区切りで目次をはさむことには、話題が切り替わったことを印象づけられるというメリットもあります。

2. 「空・雨・傘」の順に伝える

前出の清水久三子氏によると、主張に説得力をもたせるには、「空・雨・傘」というフレームワークを使うのがよいのだそう。

たとえば、「今日は傘をもっていったほうがいいですよ」という主張には、説得力がありません。しかし、「この空模様を見てください。雨が降りそうですよね。だから、傘をもっていったほうがいいですよ」と、「空・雨・傘」の3点セットで情報を伝えれば、主張に対して明確な根拠を提示しているため、説得力が生まれるのです。

:観察によって確認できる事実・状況認識
:その事実をもとに導いた気づき・解釈
:その気づきをもとに導かれる結論

資料中で、「市場はこの1年で20%拡大している」と伝えたいとします。しかし、これだけでは、何が言いたいのか相手に伝わりません。「空(事実)」の情報しかなく、関連する「雨(気づき)」と「傘(結論)」が示されていないからです。

この場合、「市場はこの1年で20%拡大し(空)、急成長のさなかにある(雨)。我が社も参入すべきだ(傘)」と伝えて初めて、情報が意味を帯びるのです。何かを主張したい場合、必ず「空・雨・傘」をワンセットで提示しましょう。

3. スライド1枚に主張は1つ

パワーポイントなどでプレゼンテーション用のスライドを作るとき、1ページで伝える情報は1つだけに絞りましょう。スペースが空いているからと情報を詰め込めば、いちばん伝えたかったことが目立たなくなってしまいます。

プレゼンテーションコンサルタントの野村尚義氏によると、ポイントを3つ提示したいときでも、「ポイント1」「ポイント2」「ポイント3」は、それぞれ別のスライドで扱うべきなのだそうです。

4. 文字数を減らし、なるべく図で表す

同じく野村氏によると、1枚のスライド中の文字数は、70文字以内が理想なのだそう。情報量をなるべく絞り、主張を目立たせるためです。

文字数を減らすのと合わせ、情報はなるべく、グラフや表などの図で表現しましょう。「当社のシェア率は60%と業界トップで……」と文字で説明するより、円グラフを示したほうがわかりやすいですよね。それに、言葉では複雑に感じられることも、フローチャート化するなどして整理すれば、一目で理解できます。

資料作成の際には、以上のコツを踏まえ、伝わりやすく見やすい構成を目指しましょう。

資料作成のコツ3

資料作成のコツ4:デザインの基本ルールを押さえる

最後に、資料作成における「デザイン面」のコツをいくつかご紹介します。資料の見た目を整えたいとき、以下のポイントに配慮してみてください。

1. フォントのサイズ

フォントのサイズが小さすぎると読みづらい一方、大きすぎても不格好です。特に、スライドをスクリーンに投影してプレゼンテーションを行なう場合は注意してください。

プレゼンテーション資料作成コンサルタント・山橋美穂氏によると、紙に印刷する場合は10~18pt程度、スクリーンに映す場合は20~40pt程度が目安だそうです。

2. 基本は「メイリオ」

使用フォントは「メイリオ」がオススメです。

『プレゼン資料が劇的改善 一生使える見やすい資料のデザイン入門』(インプレス、2016年)の著者でデザイナーの森重湧太氏によると、「メイリオ」は可読性を重視して開発されたのだそう。文字の幅が統一されているため、見た目のバランスが取りやすいほか、太字にしたときはしっかり線が太くなり、標準文字との見分けがつきやすい点もメリットです。

Macユーザーなので「メイリオ」が使えないという人は、見た目の似ている「ヒラギノ角ゴ」を使いましょう。

3. アルファベットには「Segoe UI」

和文(ひらがな・カタカナ・漢字)の場合は「メイリオ」がおすすめですが、アルファベットが混ざると見栄えが悪くなってしまいます。アルファベットには「Segoe UI」というフォントを使いましょう。森重氏によると、この「メイリオ」+「Segoe UI」という組み合わせが、最も読みやすく、綺麗に見えるのだそう。

いずれにせよ、資料全体を通じてフォントを統一し、特別な場合を除き変更しないように意識してください。

4. 区切りのいいところで改行

文章は、文節の区切りで改行しましょう。文節を分断するように改行してしまうと、意味がわかりづらくなります。

以下は、悪い改行・良い改行の例です。改行の仕方ひとつで、読みやすさや見栄えがずいぶん変わりますね。

【悪い改行例】
意味のまとまりを分
断して改行すると、読
みづらくなります。

【良い改行例】
意味のまとまりを
守って改行すると、
読みやすくなります。

こんなのは当たり前だと思うかもしれませんが、ページ端で自動的に改行する設定をしていると、【悪い改行例】になりがちです。

5. 箇条書きを使う

情報量が多い場合、箇条書きのスタイルを積極的に採用しましょう。並列関係の要素を列記すれば、スッキリと見やすくなります。

【箇条書きを使わない例】
見やすい資料にするコツは、「メイリオ」を使うことと、区切りのいい位置で改行することと、箇条書きを使うこと。

【箇条書きを使った例】
見やすい資料にするコツは、

  • 「メイリオ」を使うこと
  • 区切りのいい位置で改行すること
  • 箇条書きを使うこと

6. 使う色は3色まで

資料に使う色は3色までに絞りましょう。色が多いと、ごちゃごちゃした印象になり、どこに注目するべきなのかわからなくなってしまいます。「ベースカラー」「メインカラー」「アクセントカラー」という基本の3色を決めておきましょう。

  • ベースカラー:テキストに使う基本的な色。
  • メインカラー:見出しなど、強調したい箇所に使う色。
  • アクセントカラー:メインカラーと区別したい箇所や、特に注目させたい箇所に使う色。

このページの場合、ベースカラーは黒、メインカラーは緑、アクセントカラーは黄色です。「どの色をどんな場合に使うか」というルールを決めておくことで、資料にまとまりが生まれます。

7. グルーピング

資料の見やすさをアップするテクニックが「グルーピング(グループ化)」です。ページ内にある複数の要素を、グループごとに分け、わかりやすく表現します。

寿司・天ぷら・ホイコーロー・麻婆豆腐・ピッツァ・リゾットという6つの要素をグルーピングし、和食・中華料理・イタリア料理の3つに分けた。

(画像は筆者が作成)

グルーピングにより、各要素の関係性がわかりやすくなりました。並列されていた6つの要素が、3つのグループにまとめられたので、スッキリと見やすくなった印象です。要素を枠で囲ったり、余白を大きくとったりして、グループのまとまりをより明確に表現しました。

資料作成に取りかかったものの「なんだかデザインが締まらないなぁ」と困ったときは、以上のコツを踏まえたうえで、再度レイアウトを見直してみてください。

***
資料作成の際に活かせるコツを解説しました。「とにかく作る」「とにかく手を動かす」のはNG。前もってきちんと構成を考え、見せ方やデザインのルールを決めておくことが、良質な資料に仕上げるポイントです。

(参考)
山田進一(2011),『スパッと決まる!プレゼン 3ステップで結果を出せるトータルテクニック』, 翔泳社.
プレジデントオンライン|資料づくりの出発点は「達成すべきゴール」をズバリ「一言」で
ITmedia エンタープライズ|残念にならないプレゼン――ピラミッドストラクチャーを使う
ダイヤモンド・オンライン|資料作成でダメ出しを受けない人がやっていること
東洋経済オンライン|「ビッグワード」を多用する人が隠す理解不足
All About|プレゼンテーションの資料の作り方!4つのコツとスライドのサンプル
PLAN-B|「パワーポイント嫌いを克服しよう」資料作成スピードと質を高める26のコツ
bizocean|第11回 スクリーンで発表する資料と紙で配布する資料の作り方の違い
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【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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