人の気持ちや行動は “こう” 言えば動かせる。「相手に響く言葉・響かない言葉」3パターン

コミュニケーションが円滑な職場

「前の上司は相談するとすぐに助言をくれたのに、いまの上司は同じように助言を求めるとなんだか不満気。何がいけないんだろう……」
「決断力がなくなんでも相談してくる部下に疲れ、『いい感じにやっておいて』と言ってしまいがち。でも、内心はこんな対応で大丈夫なのかと不安……」

このようなコミュニケーションの問題で悩んでいる人はいませんか。その悩み、 相手のタイプによって “響く言葉” は違うということを知れば、解決できるかもしれません。

今回は、3つのシチュエーションを想定し、相手に響く言葉と響かない言葉をご紹介します。さっそく今日職場で使える言葉を集めましたので、ぜひ参考にしてください。

【ライタープロフィール】
こばやしまほ
大学では法学部で憲法・法政策論を専攻。2級FP技能検定に合格するなど、資格勉強の経験も豊富。損害保険会社での勤務を通じ、正確かつ迅速な対応を数多く求められた経験から、思考法やタイムマネジメントなどの効率的な仕事術に大変関心が高く、日々情報収集に努めている。

ロジカルな上司に「どうすればいいでしょうか?」は響かない。

仕事でミスして対応に悩んでいるとき、「どうすればいいでしょうか?」と上司に助言を求めた経験はありませんか。相手がロジカルな上司の場合、そうした助言を求める言葉は “響かない” ので注意が必要です。

元マッキンゼー勤務のエグゼクティブコーチ・大嶋祥誉氏によれば、上司の代表的なタイプに「エモーショナル・タイプ」「ロジカル・タイプ」があるそうです。

  • 「エモーショナル・タイプ」
    ……「直情的、感情を豊かに表現する、勢い任せ、体育会系、共感・共有を大切にする、感動屋」
  • 「ロジカル・タイプ」
    ……「抑制的、理論を重視する、用意周到、沈着冷静、ムダや言い訳を嫌う」

上司がエモーショナル・タイプの場合、その上司には素直に「わからないことは『わかりません』と白状し、教えを請う」のがいいとのこと。一方、ロジカル・タイプの上司について、大嶋氏はこう説明します。

「どうすればいいでしょうか?」「教えてください」といった助けやアドバイスを求めても響かない。代わりに「これでよいでしょうか?」「見落としていることはありませんか?」など、評価や指示を求めるようにする。

(カギカッコ内、枠内引用元:ダイヤモンド・オンライン|「上司のタイプ別接し方」をマスターすれば仕事は劇的にうまくいく ※太字は編集部が施した)

つまり、上司に意見を求めるなら、上司がエモーショナル・タイプかロジカル・タイプかを見極めたうえで、相手のタイプに合わせた言葉を選ぶ必要があるということです。

ロジカル・タイプの上司とコミュニケーションをとる2名の部下

たとえば、あなたが仕事でミスをして客に迷惑をかけてしまい、対処法について上司に意見を求めるとき……

  • あなたの上司がエモーショナル・タイプなら:
    ミスの内容を伝えて素直に謝り、「今後の対応についてご教示ください」と言って上司の指示を仰ぎましょう。

  • あなたの上司がロジカル・タイプなら:
    すぐに上司の意見を求めることはせず、まずはあなたが考えている対処法について、順を追って述べましょう。謝罪方法や今後の方針について細かく述べたうえで、「私はこのように考えておりますが、見落としはないでしょうか?」と尋ねれば、ロジカル・タイプの上司にきちんと響き、必要な指示をもらうことができるはずです。

困ったときにはすぐにでも上司の助言を求めたくなるもの。ですが、そうした姿勢ではロジカル・タイプの上司には取り合ってもらえません。「どうすればいいでしょうか?」と聞いてもいい反応が返ってこない場合は、「まず、自分の考えを伝える」というやり方で、再度上司にアプローチしてみましょう。

ロジカルタイプの上司と接している様子

自信がない部下に「もう少しいい感じに」は響かない。

部下が行なった作業について、その修正を部下本人に求めるとき。落ち込ませないようにとの気配りから、「もう少し」「できるだけ」といった曖昧な表現を使ってはいないでしょうか。部下のタイプによっては、その配慮がかえって部下の仕事をはかどらなくさせているかもしれません。

日本メンタルアップ支援機構代表理事・大野萌子氏によると、「ハラスメントと言われないよう、指示や命令にことのほか気を遣い、疲弊してしまう管理職の相談」が増えているそうです(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|タイプ別「困った部下」の効果的な指導の仕方)。

こんな言い方をしたら “一方的な命令ばかりする人だ” ととらえられて、嫌われるのでは? 要修正点を伝えたいけど、厳しい言い方にはならないようにしないと……。このように心配する管理職が増えているのですね。

そうした心配を抱え、特に不安を抱えやすくて自信のないタイプの部下に対し、モチベーションを下げないよう ”オブラートに包んだ表現” をしている方もいるのではないでしょうか?

ですが大野氏によれば、意外にもストレートな言い方をするほうがよい場合もあるそう。

「自信がなく自己肯定感が低いタイプ」は、自ら行動する際に不安にさいなまれやすく、なかなか動けず、無用な質問が多くなります。よって、指示する際には、内容をストレートかつ具体的に伝えることが大切です。やんわり伝えたほうがよいかなと「もう少しいい感じに」「適当に任せたよ」など、曖昧な表現を使うとますます不安になり、かえって業務が滞ります。

(引用元:同上)

自信がないタイプの部下には、曖昧な指示よりも、行動に移りやすくなるような具体的な指示のほうが響くというわけです。

部下に明確な指示を出す上司

たとえば、自信なさげなAさんという部下に資料の修正を求める場合の、響かない言葉・響く言葉を考えてみましょう。

  • 曖昧な指示は響かない:
    Aさんを落ち込ませまいと「配色が気になるから、いい感じに修正しておいてください」……なんてオブラートに包んだ表現をすると、Aさんは正解がわからずに悩んでしまうかも。

  • 具体的な指示をすれば響く:
    「色が多くて重要な点がわかりづらいから、黒・青・赤の3つに絞ってほしいです」「メインの文字は黒、続いて青、重要な点のみ赤を使ってください」などとやってほしいことを率直かつ具体的に伝えれば、Aさんは悩まずに修正を進められるはず。

部下の仕事がはかどれば、上司であるあなたの負担も少なくなるでしょう。部下に指示を出す際は「どう言えば響くかな?」と考えてみてくださいね。

部下に指示を出す上司

ガツガツした顧客に「私のおすすめは……」は響かない。

自社の商品を提案するとき、どんな顧客にも一様に「私のおすすめは……」と言いがちな人は要注意。というのも、おすすめされることを嫌う人もいるからです。

話し方コンサルタントの羽田徹氏は、「人によって考え方や感じ方は変わ」るので、「それらを見極めて、伝え方を使い分け」ることが大切だと説きます。相手のタイプのひとつとして羽田が挙げるのが「ガツガツタイプ」

<ガツガツタイプの特徴>
* 自分が主導権を握りたい
* 影響力を発揮したい
* 積極的に攻め、競争心を持ちやすい
* 上昇志向が強い
* 自ら切り開く力がある

(カギカッコ内、枠内引用元:リクナビNEXTジャーナル|15秒で効果アリ!相手のキャラに合わせて「伝える」方法

つまり、このタイプの人は “自分で決めたい!” という思いが強いのです。どの商品にするのか、この商品を買うのか買わないのか、自分で考えて決定したいわけですね。

それゆえ、「ガツガツタイプは、『お勧めです!』と断定されると、押しつけられた気がして一気に買う気がなくなります」と羽田氏は述べています(カギカッコ内引用元:同上)。

商談中のビジネスパーソン

では、ガツガツタイプの顧客には、どのように商品を提案すればよいのでしょうか。

羽田氏いわく、「事前に情報を伝えたうえで相手に決断を任せるのが◎」。伝える情報のなかには、「『自由』や『操作性が高い』『優越感』など、自分が主導権を握りたい『ガツガツタイプ』の好きなワード」を盛り込むといいそうです。(カギカッコ内引用元:同上)。

たとえば、自社のソフトウェアAを、日頃から付き合いのある取引先の担当者に提案するケースで考えてみましょう。その担当者は、普段からよく会話を主導していて、意見やアイデアを積極的に述べる、まさにガツガツタイプ。この場合、次のような説明をすると響くかもしれません。

  • 「Aは、〇〇を “自由に” カスタマイズできる点が魅力です」
  • 「Aは、従来モデルよりも “操作性が格段によくなりました”

このように伝えれば、直接的にAをおすすめしなくても、相手が自らAの魅力に気づき「それなら試してみようかな?」と思ってくれる可能性が高まるでしょう。

あなたが商品やサービスを売り込みたい相手が、ガツガツタイプの特徴に当てはまるなら、相手の優越感や上昇志向をくすぐる言葉をぜひ使ってみてください。

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3つのシチュエーション別に、相手に響く言葉と響かない言葉をご紹介しました。みなさんも、相手のタイプに合わせて言葉を選ぶことを意識してはいかがでしょうか。

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