深く考えすぎてしまうHSP。10秒間 “あれ” をすれば思考のグルグルがふっと落ち着く

何も考えていないようで、じつは深く考えている様子を表したイラスト

ものすごく考えているのに、よく人に「ボーっとしてる」と言われる。とても傷つくし、不本意だ……。

そんなあなたは、刺激に反応しやすく物事を深く考えるHSP(Highly Sensitive Person・敏感すぎる人)かもしれません。HSPがいつの間にか入り込んでしまう “「ボーっ」とタイム” の、上手な切り抜け方を紹介しましょう。

なぜHSPは「ボーっとしてる」と言われるのか

HSP研究の第一人者、エレイン・アーロン(Elaine N. Aron)氏の「専門家認定プログラム」を日本人で初めて修了したという “みさきじゅり” 氏は、キャリアコンサルタントでHSPの専門家、そして自身もHSPなのだそう。

同氏は自らの経験と、同じく感受性が強い人々に聞いた話から「時間はかかるが理解できれば高い能力を発揮する」といったHSPの特性を見いだしたそうです。なぜ理解に時間がかかるかといえば、それはHSPが大量の情報をインプットしては、納得がいくまでとことん考えつくすから。

そうした大量・深い・細かいといった3拍子の情報処理中に、HSPは周囲から「ボーっとしている」と見られがちなのです。

ボーっとしているように見えるけど、ものすごく考えているHSPさん

「ボーっとする」のは悪いことじゃない?

また、精神科医の長沼睦雄氏によれば、敏感すぎる人は話題をふられると、収集がつかないほどアイデアやイメージが頭に浮かんできてしまうそうです。ついには周囲の人そっちのけで膨らんだアイデアやイメージに没頭してしまうので、はたから見るとまるで意識が飛んでいるように見えるのだとか。HSPを自覚する人なら思い当たるはずです。

しかし、アメリカのジョージア工科大学やニューメキシコ大学などが行なった研究によると、“ボンヤリ” は脳の効率がいいことを示している可能性があるそうです。よく空想にふけると答えた人ほど試験の点数がよく、脳が盛んに活動していることがMRIスキャンで観察されたとのこと(2017年8月の『Neuropsychologia』誌に発表)。

研究論文の共同執筆者であるジョージア工科大学心理学教授エリック・シューマッハー(Eric H. Schumacher)氏はこう述べます。

「脳の効率が高い人は、いろいろな考えがあふれだすのを止めるのが難しいほど、脳の機能が活発なのではないかと思われます」

(引用元:Cosmopolitan|研究が指摘!夢想にふけりがちな人は、実は頭がいい!?

この報告は、まさに「想像力豊かで空想にふけりやすい」といった特徴があり、考えすぎて「ボーっとしているように見える」HSPさんに合致します。

グレーカラーを背景に、知的にほほ笑むかわいらしいHSPさん

うまく「ボーっ」とタイムを切り抜けるには?

とは言え、深く考えているのに「ただボーっとしている」などと思われてしまったら困りますよね。そこでおすすめしたいのが、10秒間だけ何かをジッと見つめることです。

ジョージタウン大学医学部臨床教授のロバート・ヘダヤ(Robert J. Hedaya)氏は、たまたま妻が履いていた花柄の靴下に10秒間焦点を合わせ、ジッと見つめたときに、「たったこれだけで脳の顕著性ネットワーク(Salience Network)が立ち上がる!」と発見したそうです。顕著性ネットワークとは、何が重要であるかを私たちに伝えるために機能する脳のネットワークのこと。

予防医学の研究者である石川善樹氏によれば、顕著性ネットワークの思考モードは「大局観」であり、ムクムクと生まれ出たアイデアをいくつかに絞る役割があるそうです。一方でアイデアがムクムクと生まれる役割をもつのは、人がボンヤリしているときに活性化するデフォルト・モード・ネットワークという神経回路で、その思考モードは「直観」とのこと。ボンヤリ「直観」であふれ出たアイデアを「大局観」で絞り込むわけです。

ヘダヤ博士の言葉を参考にすれば、10秒間何かを見つめるだけで、その大局観に関わる脳のネットワーク(顕著性ネットワーク)が立ち上がるということになります。

たとえば目の前にあるパソコンのキーボード、手帳の表紙、もしくはマグカップでも、自分の手でもなんでも、身近なものをジッと見つめてみてください。

ジッと自分のマグカップを見つめるビジネスパーソン

そうすれば、いままで気づかなかったような質感や、小さなゴミ、皮膚の色やシワに気づくでしょう。同時にグルグル回っていた思考が、フッと落ち着いていることにも気づけるはず。一点に集中することで顕著性ネットワークが立ち上がったからです。

敏感すぎるあなたが「ボーっと見えている」状況をリセットしたいなら、あるいは予防したいなら、こっそり何かを10秒間ほどジッと見つめるだけ――たったそれだけでいいいのです。

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考えているのに「ボーっ」と見えてしまうHSPさんに、上手な切り抜け方をお伝えしました。是非ご活用くださいね。

(参考)
みさきじゅり(2018),『ささいなことに動揺してしまう敏感すぎる人の「仕事の不安」がなくなる本』, 秀和システム.
長沼睦雄(2019),『敏感すぎるあなたがうまく話せる本 今日からスーッとラクになる』, KADOKAWA.
かぽれ(株式会社マキノ出版)|【HSPとは?】対策と特徴(あるある)をマンガとイラストで紹介 診断に役立つチェックテスト付き
ScienceDirect|Functional connectivity within and between intrinsic brain networks correlates with trait mind wandering
Cosmopolitan|研究が指摘!夢想にふけりがちな人は、実は頭がいい!?
Hello, Coaching!|第2回 豊かな発想法を持つ脳にするには?
Psychology Today|How to Find Joy in 10 Seconds!

【ライタープロフィール】
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