「相手を知ろうともしない人」は仕事で圧倒的に損をする。

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会社の上司や部下などの「普段関わることが多い人」を、あなたはきちんと知っていますか?

比較的仲のよい友人や同僚のことは知っていても、こういった仕事などで重要なやり取りをする相手のことはあまり知らない……そんな人も多いのではないでしょうか。それではさまざまな場面で損をしているかもしれませんよ。

では、いったいどういった場面で損をするのか。そして相手のことをきちんと知るためにはどうすればよいのかを解説していきます。

1. 相手のことを全然知らないと「人を動かせない」

人に指示を出す立場であれば、「指示を出したのに、なんでそのとおりに動いてくれないんだ」と頭を痛めた経験があるはず。それはあなたが、その人の性格や仕事のスタイル、対人関係などといった個性を知ろうとせずに、あなたの価値観でその人を動かそうとしているからかも。このことを指摘しているのは、グロービス経営大学院経営研究科副研究科長で、多くのビジネス書の執筆に携わっている村尾佳子氏です。

村尾氏いわく、理解する必要があるのは2つとのこと。1つめは「相手がどのような人なのか」、そして2つめは「相手の社会的な立場」なのだそうです。

1つめの「相手がどのような人なのか」とは、性格、仕事への姿勢といった「特徴」と、どのような「動機」で動くタイプの人なのかということ。たとえば部下が締切を守れない人ではないか、どんな仕事が苦手なのかなどを知らないと、人は思うように動かせないでしょう。結果として、締切になっても重要なタスクが完了していなかったり、何度もリテイクが必要になったりするのです。

2つめの「相手の社会的な立場」とは、その人がどういう人間関係のなかにいるのかということ。「上司のAさんと仲が悪い」などというような、その人と周りの人の相性を知っていないと、人は思うように動かせません。

たとえば、上司のAさんの仕事を手伝うように部下に指示をしたら、何度も衝突して仕事が全然進まない、なんて状況にもなりかねません。仕事を任せる人間の対人関係を知らないから、人間関係のリスクを回避できずにトラブルになってしまうのです。

このように、相手のことをよく知らないまま指示を出して人を動かそうとしても、自分の思いどおりにはなりません。人を動かすには、普段からそれらの人々に関心を持ち、観察する必要があるのです。

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2. 相手のことを全然知らないと「間が持たない」

仕事などでの移動中、電車や車、歩いているときなど、上司などと2人きりになった際は、間が持つように会話をして、相手のことを知ったり、相手に自分のことを知ってもらったりする必要があります。ここで何もしないと、気まずい雰囲気になってしまうことでしょう。

そして、相手のことを知らないと、言ってはいけないことを言ってしまったり、ちょっとした雑談さえもうまくできないのです。アサヒビール中国広域支社で営業を担当するエース社員の伊藤大悟氏は、過去に相手のことを知らずに会話をしようとして、こんな失敗をしたとのこと。

「広島ではカープの話題が定番ネタですが、ごくたまにカープ嫌いの方もいます。ですから、いくら定番ネタでも、まったく知らない方にいきなり『昨日の巨人は惨めでしたね』などと話してはいけません」

(引用元:プレジデントオンライン|部下と移動中の車内。場を和ませ、距離を縮めるには

大した失敗ではないように思えるかもしれませんが、これだけで機嫌を損ねてしまうだけでなく、「こいつは私のことを全然知らないんだな」と、何も知らずに話していたことがわかってしまいます。

伊藤氏は普段から、緊張している新入社員には『おつかれー』などと話しかけるようにしているのだそう。立場が上でも下でも、普段から周囲とコミュニケーションを取らなければ、相手に投げかけるべき話題がわからず、仕事中や移動中の間が持たなくなるのです。

2人きりの時間は、相手のことを知っていれば仲を深めるチャンスになりますが、相手を知らないと間が持たず、お互いの苦痛になってしまいます。

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3. 相手のことを全然知らないと「仕事でOKが出ない」

相手のことを知る、というのは、単に身近な人との会話の機会を増やせばよいとは限りません。たとえば、仕事をするうえでは、直属の上司が「さらに上の上司」とどんな人間関係を築いているのかを知らないといけない場面も多々あるのです。

このことを指摘しているのは、プロノイアグループ株式会社代表取締役社長で、人材育成や組織開発などの分野で活躍するピョートル・フェリクス・グジバチ氏。

物事が思うように進まないときは、「あなたと上司」ではなく「上司と、上司の上司」の間に問題があることがよくあります。そんなときは、いつまでも「伝言ゲーム」を繰り返さず、「上司の上司」の目を意識し、あくまで建設的に、障害を取り払っていくのです。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|根回しを成功させたければ、「上司の上司」の目線を身につけろ!

こちらが提出した仕事が上司から「だめだ」と戻ってきたとき、じつはだめだと言ったのはさらに上の上司だった、などということもあります。その上司は仕事を提出すべきさらに上の上司に頭が上がらず、リテイクを命じられてはこちらのせいにしていたのです。

ですが、もしこれがわかっていれば、最初から「上司の上司」が求めているものを提出すればよいだけです。上司の上司は保守的な思想なのか、それとも冒険心にあふれ新しいものを好むのか、知っていれば簡単でしょう。

人というのは、自分が感じているより、ずっと多くの人と関わっています。相手のことを知るうえで、「知るべき相手」とは誰なのかを見定めずに、ただ目の前の人の性格や考え方に合わせた仕事をしていても、リテイクがかさみ評価が悪くなってしまうのです。

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相手のことをよく知る3つの打開策

相手のことを知るためには、普段から相手とコミュニケーションをとり、その人の本音や真意を引き出して知っておく必要があります。前述したような状況に陥らないために、上手に会話をして相手を知ることができるコミュニケーションの3つのコツを紹介しましょう。

1. 部下には「軽い悩みを持ち出す」

部下や後輩とのコミュニケーションにおいて大切なポイントは、「知りたいと思う相手がいたら、まず自分から心を開く」ということ。なぜなら部下からすれば、上司との会話で本音はなかなか話しづらいですし、会話を弾ませようと砕けた話題を振るのも難しいからです。

ですが逆に、こちらから「心を開いています」と相手に示すことで、相手も心を開きやすくなります。このように、自分の悩みなどを打ち明けることで相手の警戒心をなくし、親しみを持たせるのが大事だと話すのは、放送作家であり『ウケる!トーク術』などの社交術に関する著書がある田中イデア氏です。

田中氏いわく、考えなしに自虐ネタやくだらない話題を振ると、「この人は大丈夫だろうか」と不安に思われたりなめられてしまったりするとのこと。仕事以外のプライベートでのちょっとした悩みを話すくらいがいいと、田中氏はアドバイスしています。

部下や後輩などに、「妻に飲み会に行かずまっすぐ帰ってきてほしいと言われるんだけど、会社の付き合いでも行かないほうがいいのかな?」と相談するくらいがいいでしょう。これを聞いた相手は、「意外と真面目に悩んだりするんだな」とこちらに親近感を持ち、会話もしやすくなるのです。

この段階をクリアしたうえであれば、いずれ「仕事で悩みとかある?」「苦手な人とかいる?」などといった、踏み込んだ質問にも答えてくれるでしょう。これらの情報の交換は、仕事を円滑に行なうために必要であり、部下や後輩にとっても決して悪い話ではないのです。

2. 知りたい人には「相づちで承認欲求を満たす」

次に紹介するのは、コミュニケーションスクール「とも子塾」代表であり、コミュニケーションコンサルタントの今井登茂子氏が提唱する、相手の本心を聞き出すためのテクニックです。

あまり話したことのない人と、仕事の合間に昼食を一緒にとることになったとき、考えなしに質問したり突っ込んだことを聞いたりしてしまうと、相手が答えづらいうえに嫌悪感を抱かれる場合があります。気を遣うべき相手との会話では、まず相手の話に適切な相槌を打ちながら、聞く姿勢を大事にしましょう。

ただ単調に「はい」と相槌を打つのではなく、「なるほど!」「それは知らなかったです!」などと感情を乗せ、相手への共感や感動を示すことで、相手の承認欲求を満たしましょう。これによって、相手は気分がよくなって自然と話をしてくるようになり、会話が弾みます

3.人脈の連鎖で「根回しをする」

ここまでは、相手を知るために、直接的な方法でのコツを紹介してきましたが、最後に解説するのは、仕事で物事をスムーズに進めるために大切な「根回し」のコツです。もちろん、この場合の根回しとは、健全な働きかけのことを指します。

根回しは欧米で「プレ・ミーティング」と呼ばれているのですが、前述したように、会社内の上司の上司や、さらにその上の人間によってリテイクが重なるといった場合、アプローチが変わってきます。管理職などの高い地位の人間にプレ・ミーティング、つまり何度も会って信頼関係を築くのは難しいからです。

こういった状況での根回しにコツについて、グロービス経営大学院大学教授であり多くのビジネス書の出版に携わっている嶋田毅氏は、次のように述べています。

たとえば、いきなりトップに根回ししたいと考えても、現実的に無理でしょう。そうであれば、トップに話を入れることができる役員は誰なのか?その役員に話を通せる部長や課長は誰なのか?というように、人脈の連鎖で根回しをすることが大切です。

(引用元:GLOBIS知見録|仕事の効率アップにもつながる根回しのコツとは? ※太字と下線は、筆者が施した)

大企業の場合、平社員なら社長や部長とじっくり話をしたり、食事や飲み会の席で親睦を深めるのは難しいでしょう。しかし、近い身分の上司やほかの社員であれば、話す機会を作ることはできるはず。そして、その中に、自分の仕事に支障をきたしている上司や役員とコネクションを持っている人を見つけ、その人とつながれば、根回しが可能な人脈をつくることができるのです。

土壇場になって、いきなり重役と話をして会話を弾ませるのは難しいはず。普段から重役によいイメージを持ってもらえるように、コンタクトをとる必要があります。このように根回しをするためには、日頃から人脈を意識した人付き合いがとても大切なのです。

相手のことを知るための3つのコツを紹介しましたが、これらに共通して言えるのは、こちらが相手を信頼しているということを、わかりやすいぐらいにアピールすることでしょう。そして、相手に気持ちよく話をしてもらうことで、その人のことを深く知れるのです。

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気の合う同僚とだけ仲良くして、上司や部下などといったほかの人との会話は適当に受け流すようでは、あなたはどんどん損をしてしまいます。いつしか上司からは仕事を任されなくなり、部下からも仕事の相談や質問をされなくなるのです。

仕事をするうえで、仲間ひとりひとりを知るのは、大切なこと。そのためには、相手の立場や自分との関係性を踏まえたうえで、適切なコミュニケーションをとることが重要だといえます。その積み重ねが、あなたにとって仕事のしやすい人脈づくりにつながるでしょう。

(参考)
東洋経済オンライン|人を動かす「伝え方」には、3つの鉄則があった-話が伝わらないのは、100%自分が悪い
東洋経済オンライン|仕事のできない人は相手の話を聞く力がない-「正しい敬語」ちゃんと使えていますか
プレジデントオンライン|部下と移動中の車内。場を和ませ、距離を縮めるには
ダイヤモンド・オンライン|根回しを成功させたければ、「上司の上司」の目線を身につけろ!
GLOBIS知見録|仕事の効率アップにもつながる根回しのコツとは?

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

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