「なぜか無茶ぶりを受け入れてもらえる人」がこっそりしている工夫

上手に伝える3つの鉄則01

同僚や上司に何かを相談する。新商品を誰かにすすめる。人に頼み事をする。このように私たちには、人に何かを伝えなければいけない場面がたくさんありますよね。

では皆さんは、聞き手が熱心に耳を傾けてくれるような、あるいはすとんと理解してくれるような “上手な伝え方” ができていますか? 「いまいち関心を引き出せない……」「こちらの意思がうまく伝わらない……」と悩んでいるのならば、伝え上手になるための “3つの鉄則” を知りましょう。

1. そもそも相手に「聞く気」がないと始まらない

何か伝えたいことがあった場合、皆さんはまず何を考えますか。おそらく多くの人は、「どういう言葉を使えばいいだろうか」「どういう表現をすればうまく伝わるだろうか」といったことから考え始めると思います。

しかし、企業・団体の研修やコンサルティングを手がける大串亜由美氏は、会話は「双方向」のものであると指摘します。つまり、そもそも相手側に「聞く気」がなければ、こちらの意見や考えを詳しく説明しても、真剣に取り合ってくれないことがあるのです。私たちが真っ先にすべきは、「何をどう伝えるか」を考えることではなく、相手の「聞く気」をまず引き出してあげることなのですね。

たとえば、同僚にちょっと相談をしたくなったとき。明らかに忙しく働いている最中に話しかけるのは、配慮が欠けています。相手に「こんな忙しいときに……」という気持ちが芽生えてしまい、聞く気が損なわれる恐れがあるからです。

こういう場合は、仕事がひと段落したタイミングや、休憩に入ったときを見計らいましょう。相手にも、他人の話に耳を傾ける余裕が生まれますから、真剣に話を聞いてくれる可能性が高まりますよ

また、こういったタイミングとは別に、話し方も工夫する余地があります。良い会話は「双方向」である以上、決して一方通行になってしまわぬよう、相手が何かを言いやすい雰囲気をつくってあげたいですよね。そんなときに参考になるのが、お笑いタレントの明石家さんまさんのトーク術だと、株式会社マイルストーン代表取締役の水野浩志氏は述べます。

たとえば、さんまさんが司会を務める様子を見ていると、ゲストが話をして「うんうん」と相づちを打ったあと、「それで?」「そしたら?」など “次の話を聞かせてほしい” といったニュアンスの言葉を投げかけますよね。そして話が弾んできたら、さらに場を盛り上げるために、今度は自分自身でもトークを展開していきます。“相手に話をさせながら自分も話をする” という好例です。ゲストがさんまさんのトークに聞き入るのも納得ですよね。

タイミングや受け答え方を少し意識するだけで、相手は「聞く気」を持ってくれるようになるのです。

上手に伝える3つの鉄則02

2. 独りよがりはNG。「他者視点」を忘れずに

相手に「聞く気」を持たせたうえで、では実際の伝え方のコツに入っていきましょう。ここで、非常に参考になる話を。

現在、東京大学経済学部に通う西岡壱誠氏の著書『東大ドリル』(ワニブックス)には、

漫画『ドラえもん』を、ドラえもんを読んだことも見たこともない相手に薦めなさい。

という例題が掲載されています。この場合、「ドラえもんという未来のネコ型ロボットが、のび太を助ける漫画」と作品内容をなぞって説明するのは……NGです。なぜならば、「ドラえもん」「ネコ型ロボット」「のび太」は作品オリジナルの名詞であるため、内容を知らない人はイメージしづらいから。

説明の仕方は人それぞれですが、たとえば、ひみつ道具の設定を話したあとに「竹とんぼみたいな道具を頭につけると飛べるんだよ!」「どこにでも行けるドアがあって、それを使えば世界中旅行できる!」「そういう未来の道具がたくさんあって、登場人物たちがいろんな問題を解決していく」「でも時に、道具に頼りすぎてしっぺ返しを食らうことも……」といった方向性で伝えるのもひとつの手ですね。重要なのは、「『ドラえもん』をまったく知らない人に薦める」という前提を忘れないこと

これは、仕事の場でも同じことがいえます。たとえば、自社の新商品についてお客さんに説明する場合。「この商品はここが優れています!」「以前と比べて性能が上昇しました!」などと製品のスペックをただ並べ立てるだけでは不充分。「この商品に対して何を求めているのか」「何を期待しているのか」といった “相手の視点” を考えなければ、商品の魅力を満足に伝えることは難しいのです。

たとえば、相手がファミリー層であれば「家族でも安心して使えます」、高齢者層であれば「操作になれていない人でも簡単に使えます」など、それぞれのニーズに合った言葉がありますよね。

そのように、「伝える相手はどんな人か」「何を求めているのか」を意識することが、上手に伝えるうえでは大切なのです。

上手に伝える3つの鉄則03

3. 自己主張は「アサーティブ」を意識する

「無茶ぶり」に思えることをいっているにもかかわらず、なぜか相手は素直に受け入れる。皆さんのまわりに、そんな人はいないでしょうか。もしかしたらその人は、相手を不快にさせずに自己主張するテクニックを使っているのかもしれませんよ。

アメリカでは、「アサーティブ(自己主張)・コミュニケーション」と呼ばれる交渉術が普及しています。これは、端的にいえば「相手を尊重したうえで自分の気持ちを伝える」というもので、言いづらいことを相手に伝えるときなどに役立ちます。

人間の自己主張は、大きく以下の3パターンに分かれます。

  1. アグレッシブ(攻撃型)
    自己中心的、他人の気持ちを考えない
  2. ノンアサーティブ(非主張型)
    自分より相手の意見を優先する、言い訳が多い
  3. アサーティブ(主張と尊重型)
    相手の気持ちを考える、状況に沿った適切なことを主張する 

この1と2のパターンを3に近づけるのが理想です。

たとえば、仕事で人に何かを頼みたいとき、「君にしか頼めないんだ」「仕事が早いからいつも助かっている」などと相手に寄り添いつつお願いをすれば、すなおに受け入れてくれる確率は高まるでしょう。

あるいは、社内のミーティングが無駄に長引いていると感じたとき。「あの〜、そろそろ終わりにしませんか……?」と、弱気にノンアサーティブな意見をいっても、スルーされてしまうことが。この場合は「終了予定時刻が過ぎましたね。皆さん、ほかの予定もあるでしょうから、このへんで終了にしましょう」などと伝えるのが、意見を上手に伝えるコツです。

相手を思いやりながらも自己主張を。アサーティブ・コミュニケーションは、それを可能にしてくれるのです。

***
ちょっとした違いで、伝わるか伝わらないかは大きく変わってきます。3つの鉄則を胸に、伝え方を磨いていきましょう!

(参考)
大串亜由美(2011),『自分の思いを上手に伝える話し方のルール』, 日本実業出版社.
NIKKEI STYLE|話が「伝わる人」と「伝わらない人」、7つの違い
ITmediaエンタープライズ|相手を乗せて話をさせる“さんま流”相づちテクニック
西岡壱誠(2019),『東大ドリル - “なぞなぞ"&“身近なテーマ"で楽しみながら「自分で考える力」を鍛える -』, ワニブックス.
特定非営利活動法人アサーティブジャパン
株式会社 日立ソリューションズ|取引先や上司・部下と上手に会話をするアサーティブ・トレーニング

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

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