「仕事を完璧にこなせないと自分を責めてしまう。そのせいかいつもストレスを感じている」
「細かいところまで完璧に仕上げようとして、仕事を終えるのが遅くなる……」
このような悩みをもっていませんか? 完璧を目指すのはすばらしいことですが、それによって仕事がなかなか進まないのでは本末転倒。じつは、少し“中途半端” なほうが仕事は効率化され、あなたの評価まで底上げできる可能性があるのです。
本記事では、力を抜いて仕事をしながら質をも上げるコツを紹介します。
【ライタープロフィール】
髙橋瞳
大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。
ダイヤモンド・オンライン|仕事は「60点の出来」で堂々と出そう
東洋経済オンライン|仕事で「ちゃんと」を求める人が陥りがちなワナ
東洋経済オンライン|「仕事が遅すぎる人」に共通する残念な考え方
ダイヤモンド・オンライン|完璧主義による自滅を防ぐ方法
プレジデントオンライン|仕事が「雑で速い人」vs「丁寧で遅い人」どちらがエラくなるか?
マネー現代|人事評価で「上位5%」に入った人たちの働き方「驚きの共通点」
プレジデントオンライン|仕事がデキる人ほど適当に手を抜いている
一度で完成させようとしない
「完璧な資料を目指した結果、締切に間に合わなかった」なんて経験はありませんか?
『「ラクして速い」が一番すごい』著者で、PwC、アクセンチュアなどで経験を積んだ人事・戦略コンサルタントの松本利明氏は、次のように述べます。
最初から100点を目指すのではなく、あえて60点で出し、どんどんフィードバックをもらいましょう。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|仕事は「60点の出来」で堂々と出そう ※太字は編集部が施した)
60点の完成度で提出するメリットとして、松本氏は下記の3つを挙げています。
- 「方向性を確認できる」
- 「相手に突っ込ませて、ゴールを明確にする」
- 「いじわるな上司対策」
(カギカッコ内引用元:同上)
100点のものを提出するより、完璧ではない状態で一度フィードバックを求めるほうが、じつはメリットが多いのですね。
たとえば、PowerPointで資料をつくる場合、完璧に仕上げるにはグラフ作成や細かなレイアウト作業も必要で、つくり込んだうえで上司の指摘を受けて修正するのは骨が折れるものです。
しかし、たたき台の状態で上司に突っ込んでもらって資料の方向性を確認しておけば、早いうちに上司の意見を細かな部分まで反映できます。松本氏が言う「いじわるな上司」にゼロからのつくり直しを指示されるようなことも防げるはず。その後の作業がスムーズになりますよね。
ビジネスコンサルタントの細谷功氏も、次のような方法が望ましいと語ります。
「生煮えの状態」でもいいので、「多頻度・短サイクル」(短期間で回数を多くして)でコミュニケーションを取っておけば、「同じ成果物を見ながら」お互いのギャップを認識し、軌道修正をかけていくことができるのです。
(引用元:東洋経済オンライン|仕事で「ちゃんと」を求める人が陥りがちなワナ ※太字は編集部が施した)
未完成での提出には不安を感じるかもしれませんが、意見をすり合わせながら何度もブラッシュアップすることで、結果的に質の高いアウトプットになっていくはずですよ。
完璧主義でない成功例から学ぶ
「中途半端な仕事をすると、まわりから質の低さを指摘されないだろうか……」完璧主義の人は不安に感じてしまうかもしれません。前述したような60点の完成度の仕事の場合、修正が前提となるため、さらに神経質になってしまう可能性も。
『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』著者で、元マイクロソフトのエンジニア 中島聡氏は、仕事をなかなか終えられない人の心理を次のように述べています。
仕事が遅くて終わらない人が陥る心理として、「評価されるのが怖い」というものがあります。自分の仕事がどう評価されるのかが怖くて、できるだけ自分の中の100点に近づけようとしてブラッシュアップを繰り返します。
(引用元:東洋経済オンライン|「仕事が遅すぎる人」に共通する残念な考え方)
完璧主義の人は、中途半端な仕事ではそれが自分の実力だと思われるのではないかと不安になり、必要以上に手をかけてしまうわけですね。
では、どうすればいいのでしょうか?
完璧主義の思考を変える方法について、元臨床心理士で作家のアリス・ボーイズ氏は「成功から学ぶ」ようすすめています。
成功に至った道筋を振り返ることで、たとえ多少の問題があったり、準備万端ではなかったりしても、有意義な結果を出せたことに納得できるようになる。
(カギカッコ内および枠内引用元:ダイヤモンド・オンライン|完璧主義による自滅を防ぐ方法)
うまくいった経験を振り返ってみると、じつは完璧に仕上げたケースばかりではないはずですよね。
また同氏は、自身の体験に限らず、「完璧主義でなくても成功している、周囲のロールモデルや同僚などを参考にする」のも有効だと話します。(カギカッコ内引用元:同上)
たとえば、営業職の同僚は、初めから準備に時間をかけて完璧なプレゼンテーションを行なっているのではなく、上司からのフィードバックを受けてブラッシュアップし、高い営業成績を残しているかもしれません。マーケティング職の先輩も、完璧なマーケティング戦略を考えるよりもまず素早く市場に投入し、顧客の反応を見てから戦略を調整し、うまくいっているかもしれませんよね。
そんな人たちから学んで成功経験を積めば、完璧主義の人もちょうどいい “中途半端” な仕事ができるようになるのではないでしょうか。
スピードを重視する
完璧主義の人のなかには、質の低い内容で提出してしまうと評価に響くのではないかと考える人もいるでしょう。ですが、あなたの上司は質よりもスピードを重要視しているかもしれません。
プレジデント編集部がとったアンケートによると、下記のような結果が出ています。
一般社員では「丁寧さも速さも並がいい」という人が多いが、管理職以上になると、「丁寧さよりもスピードを重視する」という人が多くなる。これは管理職ほどスピードの重要性を理解しているからだろう。
(引用元:プレジデントオンライン|仕事が「雑で速い人」vs「丁寧で遅い人」どちらがエラくなるか?)
たとえば、
- 資料作成:細部のグラフや文章表現までこだわる前にまず提出してみる
- プレゼンテーション:大枠ができたら確認してもらう
上記のように、たとえ不完全でもスピード感を大事にして仕事を進めれば、上司からの評価は上がるかもしれません。完成度の低さを指摘されるかも……などと恐れる必要はないのです。
いらないタスクを削る
特に注力したい業務以外にも、メール送信、会議資料作成など雑務も多くありますよね。それらの業務が本当に重要でないならば、思いきって削ってはいかがでしょう。
たとえば、メール送信の際はあいさつを抜いて送るのがおすすめです。
働き方改革のコンサル会社クロスリバー代表取締役の越川慎司氏は、人事評価で上位5%の社員に共通する特徴は「レスポンスの速さと無駄のなさ」だと話します。彼らは時候のあいさつのほか、社内の人に対する「お疲れ様です」のあいさつも省いているそう。(参考・カギカッコ内引用元:マネー現代|人事評価で「上位5%」に入った人たちの働き方「驚きの共通点」)
メール送信時、本題に入る前に丁寧にあいさつを入れるのがマナーだと考える人も多いかもしれません。しかし、余分な文章を減らせばより速い返信ができ、要点も伝わりやすいため、相手からの返信も速くなるというメリットがあります。
たとえば、見積書の作成メールの場合。
【NG例】
いつもお世話になっております。〇〇株式会社の〇〇部の〇〇と申します。
先日はソフトウェア導入説明会にご参加いただき、誠にありがとうございました。皆様のご参加により、有意義な説明会となりましたことを心より感謝申し上げます。
さて、この度は新しいソフトウェアに関してご依頼をいただいた見積書を添付いたします。 添付ファイルの「見積書.pdf」に詳細な内容を記載しておりますので、ご確認くださいますようお願いいたします。
添付の見積書は、△△様のニーズに合わせ、最適なプランをいくつか提案させていただきました。また、何かご質問や追加のご要望がございましたら、お気軽にご連絡ください。
それでは、引き続きよろしくお願いいたします。
〇〇株式会社
〇〇部
〇〇
【OK例】
お世話になっております。
〇〇株式会社の〇〇部の〇〇です。
先日ご依頼いただいた新ソフトウェアについての見積書を添付いたします。
何かご質問などございましたら、お気軽にご連絡ください。
よろしくお願いいたします。
〇〇株式会社
〇〇部
〇〇
メール送信に時間がかかる人は、このように要点のみに絞ったメールを送る習慣をつけましょう。
また、重要でない作業を削る方法として ”人に任せる” のもひとつの手。
『もう「いい人」になるのはやめなさい!』著者の潮凪洋介氏は、次のように述べています。
「適当」でありながらも成績を維持、あわよくば向上させる有効な方策は、部分的でも構わないので、自分よりもスキルの高い人を探すことです。(中略)エキスパートが見つかったら、該当する業務は任せてしまいましょう。
(引用元:プレジデントオンライン|仕事がデキる人ほど適当に手を抜いている)
たとえば、企画書が得意な人には企画書作成を、見積書が得意な人には見積書作成を、自分の代わりにやってもらえばいいのです。
作業のすべてを依頼するのは気が引けるなら、まずは相談することから始めてはいかがでしょう。企画書の案に困ったら一緒に考えてもらう、普段どのように案を出しているかを聞いてみる。自分だけで考えるよりもずっと楽に、効率よく作業が進むはずですよ。
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今回は中途半端な仕事でクオリティを上げる方法を紹介しました。完璧主義にこだわらず、力を抜いて仕事をしてみてくださいね。