「嫌なこと」は放置するな! 書きなぐる&対策を考える『嫌なことノート』で何倍も成長できる。

ノートを目の前に、「イラッ」としているビジネスパーソン

誰でも、“嫌なこと” は “なかったこと” にしてしまいたいもの。「飲んで忘れよう」「運動で汗を流して忘れよう」「でっかいチョコレートパフェでも食べて忘れよう」などと、さまざまな方法で “嫌なこと” を忘れようとする人は多いでしょう。

しかし、世の中にある多くのヒット商品は “嫌なこと” から生まれ、誰もが知る巨大企業はクレームを経営にうまく生かし、お茶の間の人気者は嫌だったことで自分を奮い立たせ、成功を収めています。

そこで今回は、どんどんアイデアを生むかもしれない!? 「嫌なことノート」に挑戦してみました。まずは、“嫌なこと” がいかに役立つか説明します。

“嫌なこと” は不快だが役に立つ:企業編

パナソニック株式会社を創業し、世界的企業へと成長させた「経営の神様」こと松下幸之助氏は、著書『思うまま』(PHP研究所)のなかで、じつは苦情をよく言ってくださるお客様こそが、“お得意様” になるのではないか、と述べています。なぜならば、苦情を把握することが、お客様への対応や商品の改善へとつながるから。

また、株式会社ユニクロは1995年に、「ユニクロの悪口言って100万円」という広告を出しました。このショッキングな広告を出したところ、約1万通の応募があったそうです。クレームグランプリは「レジが混んでいる」で、もちろん実際に100万円も支払われたとのこと。さまざまな “嫌なこと” と向き合った同社は、結果として大幅な顧客サービスの改善に成功したそうです。

デル創業者のマイケル・デル氏は、こういったとか。

「あら探しの好きな人、わがままな人、 厄介な質問をする人に言いたい。 ありがとうございます」

(引用元:ひすいこたろう, 石井しおり(2013),『常識を疑うことから始めよう』, サンクチュアリ出版.)

客のクレームに対し、丁寧に対応するビジネスパーソン

“嫌なこと” は不快だが役に立つ:商品・サービス編

“嫌なこと” が、サービスや商品の改善に役立った例も紹介しましょう。

たとえば星野リゾートは、「スキー場の飯はまずい」という耳の痛い声をヒントにスキー場を再生したそう。その後の成功は皆さまもご存知のとおりです。

また、「計量が面倒」「詰め替えが面倒」「詰め替えるときにこぼれたり、手についたりして」といった声をヒントに生まれた洗濯用のジェルボール型洗剤は、発売3年間で約1億個以上を売り上げる大ヒット商品となりました。

そして、成熟化に直面し、飽和状態となっていた手洗い用食器洗剤業界で、家事をする人が抱える真のストレスに目を向けて開発されたライオンの「CHARMYMagica 速乾+」もヒット商品になりました。すすいだ後の食器をすばやく乾かす成分を配合したのだそう。

家事をする人が抱える真のストレスとは、「洗ったら終わりじゃなく、今度は拭かなきゃいけないのが」「食器を拭いたあとの、“ぬれたふきん” の手入れが」といったものでした。水切りカゴに置いたままではなく、サッサと拭いて片付けたいという消費者の要望が、“嫌なこと” に含まれていたわけです。

ほかにも、「子どもがボロボロこぼすから」といったクレームに応えて生まれた、おやつカンパニーの「ベビースターラーメン丸」もヒット商品です。このように、

“嫌なこと” には、問題の解決や、改善に役立つヒントが満載です。

それに、自分が「嫌だ」と感じたことを、明確にするだけでも大きな効果があるのです。

“嫌なこと”を書く手のイラスト

“嫌なこと” を書き出す効能

センジュヒューマンデザインワークス代表取締役の大嶋祥誉氏いわく、非現実的なストレスフリーを目指すより、ストレスはあるものだと考えたうえで、うまく手放し、コントロールするほうがいいとのこと。

ストレスを我慢したり、無視し続けたりすると、いつかは限界を迎え、心を病んだり、身体を壊したりしてしまうからです。

ただし、ストレスを手放すには、自分の感情を客観的に認める必要があるそう。客観的になるには、“嫌なこと” を文字にしてノートなどに書きなぐるといいそうです。

メンタリストのDaiGo氏も同様に、自分の感じたことを紙に書いて吐き出すようアドバイスしています。自分の感情を抑えこんでいると、メンタルが弱くなってしまうからです。

自分の感情を書き出す習慣を身につけておけば、一歩引いた客観的な目で「自分はこんな感情だった」と受けとめられるので、メンタルが強くなり、ストレスもやわらいでいくのだとか。

嫌なことがあり、階段の途中で「嫌なことノート」を書いているビジネスパーソン

アメリカの社会心理学者、ジェームス・W・ペネベイカー氏の研究でも、心の内にこもったネガティブな感情を書き出す行為には、セラピー効果があると明らかにされています。

そうした “感情の書き出し” には、「クリアリング・ノート」「エクスプレッシブ・ライティング」あるいは「ライティング・セラピー」といった名前がついていますが、基本的なことは同じ。 自分の「イラッ」や「モヤモヤ」「ムカムカ」を、紙に書き出す――それだけです。

さらに効果を高めたいなら、前出の成功例にならい、対策を考えて書いていくといいでしょう。 その際には「嫌なことノート」が役立ちますよ。

じっくりと「嫌なことノート」を書くビジネスパーソン

「嫌なことノート」のやり方

「嫌なことノート」は、嫌なことノート普及委員会が著した『書くだけで人生がうまくいく嫌なことノート』(アスコム)で紹介されています。準備するノートは2冊。おすすめはB6サイズのノートとのこと。2冊用意する理由は、次の用途があるからです。

“嫌なこと” をどんどん【書き留める用】に1冊
“嫌なこと” を【まとめる用】に1冊

【書き留める用】には、汚い字でも、ひどい言葉づかいでも、文章がメチャクチャでもいいので、とにかく感情を吐き出してしまいます。

【まとめる用】は見開きにして、縦に4分割する線を引いて使います。それぞれの列に書く内容は、左から「嫌なこと」「対策1」「対策2」「対策3」です。 すべてを埋める必要はなく、対策も思いついたらでOK。手順はこうです。

  1. イラッときたら【書き留める用】にメモする。
  2. メモしたことを【まとめる用】にまとめる。
  3. 何か思いついたら「対策」を書いてみる。
  4. 「対策」を実践してみる。

先述のとおり、“嫌なこと” をどんどん書き出すだけでも大きな効果があります。加えて対策を考え、小さなことでも実践していけば、それが積み重なり大きく成長できるでしょう。

ちなみに、人気芸人の南海キャンディーズ山里亮太さんも、自分を鼓舞し、努力を続けられたのは、嫌だったことをノートに書き留める習慣があったからなのだそうです。自分の感情とともに、「あの人を見返すためにはどうしたらいいか」と考えて書き出すことで、イライラが収まり、モチベーションが高まっていったとのこと……!

南海キャンディーズ山里亮太さん風のメガネと「嫌なことノート」

では、筆者も実践してみます!

「嫌なことノート」をやってみた

嫌なことノート普及委員会のおすすめはB6サイズのノートでしたが、今回は手持ちのノート(セミB5サイズの横罫ノート・方眼ノート)を活用しました。

「嫌なことノート」用に使う、セミB5サイズの横罫ノート・方眼ノート

イラッときたら【書き留める用】にメモ。

小さな「イラッ」から、大きな「イラッ」まで、想像以上に日々の「イラッ」はあふれかえっていました。有識者の方々のアドバイスどおり、丁寧に書こうとも、きれいに書こうともせず、感情のまま書きなぐります

結果、とてもじゃありませんが、お見せすることができない【書き留める用】ノートができあがっていきました。もはや犯罪現場です。

筆者が実際に書いた「嫌なことノート」

それを、【まとめる用】にまとめていきます。

縦に4分割して、上部に「嫌なこと」「対策1」「対策2」「対策3」と入れます。

縦に4分割線を入れて上部に項目を書いた、筆者実践の「嫌なことノート」

それから、左側に「日付」を入れて、「嫌なこと」の列に、書きなぐりメモよりもグンと簡潔にした “嫌なこと” を書き、何か思いつくたびに「対策」を書いていきます。

「嫌なことノート」をやってみた感想

筆者が実践した「嫌なことノート」

じつは最初、頭では理解できるが、2冊も書くなんて面倒だし、非効率な気がすると感じていました。

しかし、実際にやってみて、1冊目の【書き留める用】に書きなぐり終えたときより、2冊目の【まとめる用】に要約し、対策を考えはじめたときのほうが、数倍も冷静になっていると気づいたのです。

もちろん書きなぐっているときも爽快でしたが、使う脳の領域が大きく切り替わったのでしょう。2冊目に移った時点で、不快な感情よりも、問題解決や改善のために、アイデアを絞り出すことのほうに意識が向きました。

これが、手放すことであり、生かすことなのかと実感です。

ちなみに仕事のノルマに追われ、「速く仕上げなきゃ」と焦ってしまい、自分の個性がどんどん失われている気がして嫌だ、と感じていたことに対しては、

「対策1」クイックタイプと、こだわりタイプに、分類してみる
「対策2」テーマを決めた時点でタイプを区分け、あとは悩まない
「対策3」クイックタイプ:簡潔であること、こだわりタイプ:独特であること

と頭を整理できました。はたから見たら当たり前のことかもしれないし、画期的なアイデアとまではいきませんが、「嫌なことノート」で焦る気持ちを和らげ、論理的に仕事を分類し、大切な「感情」を守る方法を見出せたのは、筆者にとって大きな成果です。

***
ノートいっぱいの“嫌なこと”ぶん、成長できるはず。ぜひお試しくださいね。

(参考)
嫌なことノート普及委員会,『書くだけで人生がうまくいく嫌なことノート』, アスコム.
ひすいこたろう, 石井しおり(2013),『常識を疑うことから始めよう』, サンクチュアリ出版.
zakzak|【こんな時代のヒット力】「食器手洗い・水切れ・片付け」まとめて時短! ライオン「CHARMYMagica速乾+」
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