「一生懸命なのに評価されない人」4つの盲点。頑張りすぎて “上から目線” になってませんか?

「仕事で空回りする人」4つの盲点01

あなたの仕事の頑張りは、きちんと成果として実っていますか?」——努力と成果の関係を問うこの質問に対して、迷わず「実っている!」と答えられる人は、はたしてどれくらいいるでしょうか。

必死にたくさん仕事をこなしているのに、誰も頑張っていると認めてくれない……
ほかの社員に明るく優しく接しているのに、誰も自分を頼ってくれない……
このように、努力が成果につながっていないと頭を悩ませる人たちには、仕事上のスタイルに問題点があるのです。今回は、「一生懸命なのに評価されない人」に共通する4つの問題点をご説明します。

1. 「風紀委員」になってしまっている

正義感や責任感が強くて真面目な人にとって、職場で怠けている人や不道徳な人は目につきやすい存在。積極的に仕事を頑張ろうと、怠けているように見える人たちの不正やミスをひとつひとつ注意していくのは、本来は正しいことかもしれません。

ですが、プリンシプルコンサルティンググループ株式会社代表取締役で、多くのビジネス書を著した秋山進氏は、警鐘を鳴らしています。

実際には客観的に見て正しいこと、全体にとって良いことを言っているにもかかわらず、組織の中では鼻つまみ者になってしまう。それでも、成果が出ているうちはよいのだが、一度でも失敗すると、周りから袋だたきに遭ってしまう。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|成果がないのに出世する人、仕事はできるのに没落する人の違い ※太字は筆者が施した)

正義感や責任感が空回りし、まるで風紀委員のように、周りの人の小さな不備や不正にいちいち口を出すと、下手をすれば「一言多いタイプ」と煙たがられてしまう。秋山氏は「風紀委員」の問題点を指摘しているのです。

「〇〇だからダメですよ」とダメ出しされるだけだと、注意された側は、ただ上から否定されたように感じてしまいます。一方的な注意をするのではなく、「これには〇〇という問題があるので、このように改善する余地があります」と、上から目線にならないよう、否定ではなく提案をしてみましょう

例えば、プレゼンテーションで声が小さいことを指摘したいときに、強い口調で「声が小さくて聞こえないです」と言うだけだと、上から目線で文句を言っているようにしか聞こえません。代わりに、「声が聞こえないのですが、マイクのボリュームは上がりますか?」と穏やかに伝え、マイクのボリュームを上げてはどうか、という提案をしてみましょう。指摘しても、相手は冷たい否定ではなく思いやりのある提案として受け入れることができます

職場の人たちは、敵ではなく仲間です。真面目さや正義感は、他者への攻撃のためではなく、あくまで “正しい方向へ優しく導いていくため” に使っていきたいものですね。

「仕事で空回りする人」4つの盲点02

2. 話し相手の感情を無視している

周りの人との他愛もない雑談は、仕事と同じかそれ以上に、人物評価に影響してきます。たとえ雑談でも、ただ愛想良く受け答えしているだけでは、つまらない人だと思われてしまう危険性があるので、注意する必要があるでしょう。

IT事業を手がける株式会社グッドコミュニケーション代表取締役の野口敏氏によれば、雑談の仕方で、評価されるかされないかが分かれるのだそう。

雑談は、上司とのコミュニケーションのチャンス。ここで重要なのは、「相手の感情を受け止めること」だ。

(引用元:THE21オンライン|評価が低い人の話し方vs.評価される話し方 ※太字は筆者が施した)

職場の人と雑談する機会としては、仕事の合間や昼休みなどがあります。特に多くの言葉を交わす場として、食事や飲み会もありますね。飲み会などでの会話においても「相手の感情を受け止めること」が大切だと解説しているのは、コミュニケーション講師の川島達史氏です。

コミュニケーションには問題解決を目的としたものと、人間関係の構築を目的としたものの2種類があります。

(中略)

しかし飲み会は仕事ではなく、プライベート要素が混ざった場です。ここで必要なのは、情報のやり取りではなく感情のやり取りです。

(引用元:東洋経済オンライン|飲み会の会話が苦手な人はこのコツを知ろう-忘年会で周りから浮かないための鉄板話法

例えば、「昨日ゴルフ行ったんだけど、全然ダメだったよ」と上司が口にした場合、「そうですか。スコアいくつだったんですか?」と、情報だけしか受け止めていない返答は、低く評価されるでしょう。上司がスコアを答えたら会話が終わってしまうだけでなく、言葉に込められた相手の気持ちをスルーした返答です。

一方、「えー! 練習なさっていたのに残念でしたね」という返答であれば、相手の感情を尊重できています。上司は自分の感情を共有でき、「実は、クラブを持っていくのを忘れちゃってさ」などと会話を弾ませやすくなります。言葉をうまく受け止めてくれた部下を「こいつは良いやつだ」と評価したくなるでしょう。

川島氏の理論に当てはめると、重要なのは「情報のやり取り」と「感情のやり取り」の使い分けです。仕事上の会話では「情報のやり取り」が必要ですが、上記の例のような仕事以外の雑談においては、「感情のやり取り」が重要です

相手の発言を受けて自分の思いを述べたり、相手の気持ちを拾うための質問を投げかけたりするなど、「感情」をキーワードに雑談を展開させていきましょう。

「仕事で空回りする人」4つの盲点03

3. 相手の時間に配慮しない

仕事をするうえで、「ほう・れん・そう」と呼ばれる上司への報告・連絡・相談は、社会人にとって基本中の基本といえるでしょう。「ほうれんそう」だけでなく、わからないことや悩みがあったときに上司に教えを請うのも大切なことです。

上司に認められたいという意識の強い人には、「ほうれんそう」「教えを請う」などを徹底する人も多いでしょう。上司に評価されるための効果的なアピールになるからです。

しかし、積極的な姿勢も相手への配慮がないと、むしろ評価を一気に下げかねません。人材育成コンサルタントで株式会社リンク代表取締役の能町光香氏は、上司と会話をする頻度やタイミングに注意するべきだと述べています。

評価アップにつながる「周囲への気遣い」のうち最も大事なのは、相手の時間を尊重すること。要領を得ない報告などで相手の時間を無駄に使うと、多忙な相手であればあるほど迷惑をかけてしまう

(引用元:THE21オンライン|元社長秘書が見た「大きな仕事を任される人の習慣」  ※太字は筆者が施した)

職場で忙しくない人などいません。緊急の要件でもないかぎり、相手の事情を考えずに長話をすると、面倒でやっかいな人だと思われる可能性が高くなってしまいます。相手と話したいときは、相手が取り込み中でないことを確認したうえで、簡潔にわかりやすく要件を伝えましょう。

具体的には、「この点は〇〇なのか△△なのか」と質問をメモしておいて、お昼休みに相手が食事を済ませて手が空いているときや、徒歩や電車で一緒に移動している最中など、なるべく時間に余裕のあるときに声を掛けるのがベストです。

どうしてもすぐに確認や相談をしたくても、相手の様子を見て、仕事を一区切りさせたであろうというタイミングで声をかけ、簡潔に用件を伝えましょう。例えば、相手がパソコンのキーボードや書類から手を離し、手を上げて伸びをしていたら、サッと近づいて、「お忙しいところすみません」と切り出すのです。無理に返答をもらおうとせず、「お時間があるときに目を通していただければ大丈夫です」と、相手に時間の余裕を持たせるのも、よい心遣いですね。

「仕事で空回りする人」4つの盲点04

4. 営業熱心すぎて「ブーメラン現象」に陥っている

たとえば営業部門で、頑張ろうと意気込み、熱心に強く商品を売り込む姿勢が強くなりすぎている人がいます。営業や交渉力などの研修講師として5,000人以上を指導してきた大岩俊之氏によれば、営業で熱心な人ほど空回りして相手に悪い印象を持たれる恐れがあるのだそう。

心理学用語で「ブーメラン現象」と言われているのは、ビジネスでいえば「強く売り込まれれば売り込まれるほど、人は反発する」というものです。押しが強ければ強いほど、反発される度合いもブーメランのように強くなるという意味で使われています。

(引用元:東洋経済オンライン|「努力が空回りする営業」に欠けた3つの視点-激しい売り込みはお客をゲンナリさせる

「買ってください!」「いかがですか?」などといった言葉は、商談の最終段階で使うもの。商談のはじめに言ってしまっては、顧客は離れていくことでしょう。

商談におけるプロセスを軽視し、自分の主張と「買ってください」という要求ばかりを伝えていると、ブーメラン現象が発生し、商談は失敗してしまいます。大岩氏によると、売れる営業担当者は、まずは商品に関係ない会話にたくさん時間を使い、商品を売り込まず、信用と信頼を売り込むのだそう。

例えば、ちょっとした雑談の中で少しでも話が弾んだら、「すごくわかります。弊社も実は…」などと会話を広げましょう。雑談を盛り上げることで、相手に「気持ち良く話ができる感覚」と、「こちらが相手を信頼していること」を知ってもらうのです。この人は信頼できて話していて楽しい、と感じると、相手は商品に対する気持ちや、購入を迷っている理由を自然と話してくれます。

顧客が心を開いてくれる段階まできたら、決して急がせずに、商品購入にあたっての相手の悩みや事情を、商品の特徴や魅力を伝えながら解消していきましょう。すると相手は、悩みを解消するために商品を購入したほうがよい、と考え、ついに「商品を購入したいのだけど」と購買意欲を示すのです。

商談のプロセスを丁寧に進め、相手にストレスを感じさせず、自然に商品を買いたいという気持ちにさせるのが、空回らずに営業を頑張る、ということなのです。

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「頑張りました!」とアピールをすれば評価してもらえるという勘違いから、勢いだけの努力をして空回りする人はたくさんいます。せっかくの努力が空回りになってしまわないよう、今回ご紹介した4つの「盲点」を振り返ってみましょう!

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|成果がないのに出世する人、仕事はできるのに没落する人の違い
THE21オンライン|評価が低い人の話し方vs.評価される話し方
東洋経済オンライン|飲み会の会話が苦手な人はこのコツを知ろう-忘年会で周りから浮かないための鉄板話法
THE21オンライン|元社長秘書が見た「大きな仕事を任される人の習慣」
東洋経済オンライン|「努力が空回りする営業」に欠けた3つの視点-激しい売り込みはお客をゲンナリさせる

【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。

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