勉強や仕事がなかなか捗らない……。なぜか集中力が持続しない……。もしかしたらその原因は、あなた自身ではなく “あなたが作業している環境” のせいかもしれません。職場であれ自宅であれ、作業に取り組む環境がきちんと整っていないと、捗るものも捗らなくなってしまいますよ。
3つの改善法をご紹介します。
1. 「部屋が汚い人は仕事がデキない」は本当だった? いらないものは断捨離を
部屋の状態を見れば、その人の人格や精神状態がわかる――どこかで聞いたことがある人も多いのではないでしょうか? 逆に、部屋を整えれば心も整っていく、と。どうやら、それは真実であるようです。
空間心理カウンセラーの伊藤勇司氏によれば、空間心理学では「自分が現在抱えている内面の問題が、住んでいる部屋の状態に反映される」と考えるのだそう。伊藤氏自身もかつて、働きづめなのに収入がまったく増えない時期があり、そのときは部屋に物があふれかえっていたのだといいます。
「そこで心理学の実験も兼ねて部屋の物を9割捨ててみたところ、出費が減り、本当にやりたい仕事が明確に見えると同時に集中力も高まったのです」
(引用元:ハーバード・ビジネス・オンライン|「自宅が汚い人は仕事ができない」は本当だった――空間心理学の結論! ※太字は筆者が施した)
ただし、考えなしに断捨離をするのはNG。伊藤氏によれば、「捨てる」「磨く」「循環させる」の3つの工程を意識するのがいいのだそう。
まず押入れや引き出しの中に詰まった物を全部出し、「捨てる」物を決断していくことで、自分にとって本当に大切なものを見極める力がつく。汚れた物を「磨く」ことで、ないものを求める思考が減り、既にあるものを大切にできるようになる。物を捨てて空間を作り、窓を開けて空気を「循環させる」と動きと流れが生まれ、滞りの突破口が見えてくる。
(引用元:同上)
例えば、壊れてしまったものの元が高価で取っておきがちなスマートフォンやパソコンはありませんか。買ったはいいものの使わなくなった文房具はないでしょうか。あるいは、つい溜め込んでしまいがちなクリアファイルや紙袋なども、最低限必要な数を除いては捨てる対象となります。また、洋服が散乱しているようならば処分し、残りを整理整頓して収納する必要があるでしょう。
嫌な思考や無駄な考えに翻弄されている状態、脳がさまざまな物事を処理しきれていないストレスフルな状態は、少なからず部屋の状態として現れます。まずは部屋を整理整頓することで、自分の心理にポジティブな変容をもたらしましょう!
2. オフィスでは “収納の7割” まで物を減らせ!
次は、オフィス環境に焦点を当ててみましょう。仕事場のデスクには、どうしても物があふれてしまいがち。しかし、常にめまぐるしく仕事をこなしていかなければならない環境において、書類やファイルなどはすべて必要そうに見えます。物が雑多に散乱している状態から上手に整理整頓していくには、どうすればいいのでしょうか?
作業が捗るデスクをつくるコツについて、片付けアドバイザーの石阪京子氏は、「収納の『7割』までモノを捨てる」ことが最大のポイントだと話します。この「収納の7割」とは “管理できる量” を指すのだそう。
「収納の7割分しかモノがなければ、小さなお子さんでもお年寄りでも、必要なモノをすぐに探し出すことができます。それだけ管理がしやすいということです」
(引用元:プレジデント・オンライン|二度と散らからない"デスクの片づけ方"7)
ちなみに、収納いっぱいいっぱいに物を詰め込んでしまうのはNG。時間が経つと、空いたスペースにモノを入れ……がパズルのようになってしまい、また散らかっていってしまうと、石阪氏は指摘します。
なお、残しておくものと捨てるものの選別は、シンプルに “本当に使うモノかどうか” を考えればいいとのこと。いまデスクまわりにあるすべての物の必要性を真剣に考え、収納の7割まで断捨離することができれば、自ずと快適なデスクができあがりますよ。
3. 優秀な子どもがやる“リビング勉強” は大人にもおすすめ
子どもが自宅で勉強する場所として最も多いのは、自室ではなくリビングであるそうです。子どもの勉強においては、“親が子どもの様子を確認できる” “親がアドバイスしてあげやすい” といったメリットがありますが、じつは大人にも当てはまるメリットがありますよ。
“塾ソムリエ” の西村則康氏は次のように述べています。
(前略)リビングは人がいて集中できないのではないか、音が集中を乱すのではないかなどと不安に思われるかもしれない。しかし、その心配は無用だ。テレビは消すべきだが、夕食をつくる音や自然な会話、生活音は逆に安心感をもたらし、集中のジャマにはならないのだ。また、ある程度こうした音がしていた方が、脳は活性化されるともいわれている。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|中学受験に勝つ子どもが、部屋ではなくリビングで勉強している理由 ※太字は筆者が施した)
また、リビングは自室に比べて勉強以外の誘惑が少ないですし、同居人がいる場合は他人の目があるため、集中しなければという気持ちも自然と高まりますよね。
静かな自室で、なおかつ自分の好きなものに囲まれた誘惑の多い環境で集中力を継続できるのであれば、問題ないでしょう。しかし、気づいたら参考書ではなくマンガを読み始めてしまうような人や、無音が耐えきれず集中できない人には、リビング勉強は特におすすめです。
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知らず知らずのうちに、作業をする空間自体が、あなたの集中を邪魔しているかもしれません。仕事や勉強が捗らないと感じたら、自らを責める前に、快適な作業環境をつくってみてはいかがでしょうか?
(参考)
ハーバード・ビジネス・オンライン|「自宅が汚い人は仕事ができない」は本当だった――空間心理学の結論!
プレジデント・オンライン|二度と散らからない"デスクの片づけ方"7
SUUMOジャーナル|リビングで勉強する子どもが伸びる理由。ポイントは刺激と発見、適度な雑音
ダイヤモンド・オンライン|中学受験に勝つ子どもが、部屋ではなくリビングで勉強している理由
【ライタープロフィール】
武山和正
Webライター。大学ではメディアについて幅広く学び、その後フリーのWebライターとして活動を開始。現在は個人でもブログを執筆・運営するなど日々多くの記事を執筆している。BUMP OF CHICKENとすみっコぐらしが大好き。