近頃、ビジネス書などで盛んに叫ばれているのが「アウトプット」の重要性。京大に首席合格し、現在はウェブサイト「勉強革命.com」を運営して効率的な勉強法を発信し続けている粂原圭太郎(くめはら・けいたろう)さんも、その重要性を説くひとりです。
独自の読書法、勉強法で京大に首席合格も果たした粂原さんは、どのようなアウトプットを心がけているのでしょうか。読書のあとのアウトプット法についてお話を聞きました。
構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹
インプットした知識を自分なりにとらえる
読書によって知識をしっかり定着させるためにも、アウトプットはとても大事なことです(インタビュー第1回『偏差値95の京大首席合格者が教える「知識がつく読書術」。絶対に “もくじ” から読み始めるべきワケ。』参照)。とはいえ、僕はアウトプット偏重の考えを持っているわけではありません。アウトプットとインプットはどちらも重要なもの。それぞれがそれぞれの質を上げていくものです。
英会話を学ぶにしても、「アウトプットが大事だから」と、勉強をしてインプットすることなくただ実際に話すばかりでは、英会話は上達しません。ただ、世のなかにはインプットばかりをしてしまっている人が多いがために、アウトプットの重要性がより注目されているのだと思います。
では、僕が考えるアウトプットの重要性や僕自身のアウトプット法はどのようなものかをお伝えします。そもそも、アウトプットはインプットしたらなるべく早くすることが大切です。インプットした直後の新鮮な知識は、いろいろなかたちに変えやすい状態にあるからです。
そこでなんらかのかたちでアウトプットすれば、頭に入ったばかりの知識を整理することにもなりますし、もともと頭にあった知識と関連づけて新しい知識やアイデアを生み出すこともできる。でも、インプットしっぱなしだとしたら、せっかく頭に入れた知識もそのままのかたちで固まってしまって、「使える知識」にはなりにくいのです。
要は、本に書かれていた内容を自分なりにとらえるということ。そして、自分の「血肉」に変えていく――。これがアウトプットの大きな効果です。
本を読んだら「A4の紙」にアウトプットする
では、実際にどのようにアウトプットをすればいいのでしょうか。僕がおすすめしているのが、本を読んだら「A4の紙にまとめる」ということ。そのまとめ方の前に、なぜA4の紙がいいのかという理由をお伝えしましょう。
ひとつは、紙に手書きでまとめる場合はなるべく大きい紙のほうがいいという理由があります。小さい紙だとスペースが限られていますから、文字や図を書き込むにも大きさを意識しなければ、書きたいことを書けないということにもなる。大きい紙ならそういう制約がないので、書きたいことを自由に書くことができます。そのように紙を広く使うことが柔軟な発想を生むということにもつながるのです。
でも、A4より大きな紙となると、なかなか手近にはありませんよね。わざわざ買うのも少し面倒でしょう。一方で、日常的に書類などに使う紙も家庭用のプリンタで使う紙も主にA4用紙ですから、A4の紙なら身のまわりにあふれています。これがA4の紙をおすすめするふたつ目の理由です。
マインドマップと箇条書きがまとめの基本
では、そのまとめ方に入ります。僕の場合は1日に3、4冊の本を読むこともありますから、1冊ずつではなく、その日に読んだすべての本のまとめを1枚の紙にするようにしています。そうすることで、まったく関係がないように思える分野の本どうしも、その根底に流れる共通のエッセンスに気づくということもあるからです。また、1日が終わって寝る前にまとめれば、それが復習になることもメリットですね。
僕が使うまとめ方のスタイルは主にふたつ。「マインドマップ」と「箇条書き」です。マインドマップとは、頭のなかにあることを紙に書き出して、目に見えるかたちで整理する思考・発想法のこと。考えをまとめたり新しいアイデアを出したりするときにとても有効な手段です。
基本的に、紙の中心には目的などの大きなテーマを書く。そこから、本で得た知識や自分なりの気づきを放射状にどんどん書いていきます。他にはとくにルールはありません。そうして視覚化することで、またあらたな気づきを得たり、アイデアを生んだりすることができるはずです。
箇条書きをする場合は、内容をカテゴリーの大きさによって分けることを意識しています。教科別の勉強法を書き出すのなら、「英語の勉強法」「数学の勉強法」「国語の勉強法」といったものが大きなカテゴリーになります。横書きなら、それらの左端がそろうように同列で書きましょう。
そして、英語の勉強法の下には、1段下げて「単語の勉強法」「文法の勉強法」などと書く。さらに1段下げてそれらの具体的な勉強法を書き込むというふうに、階層構造で書くのです。これによって、頭のなかに散らかっている知識を整理し、より強く頭に定着させることができます。
自分なりのスタイルを確立することがベスト
でも、こういっては身もふたもないかもしれませんが……僕や誰かの真似をするのではなく、人それぞれに自分なりのまとめ方のスタイルを見つけていくべきだと思っています。なぜなら、読んだ本やそれぞれが持っている目的によって、まとめ方もちがってくるからです。
その意味では、僕自身はA4の紙を使いますが、手帳を使ってもいいしメモ帳アプリを使ってもいい。アウトプットを習慣化し、経験を重ねるうちに自分に合っていると感じられるスタイルこそ、あなたにとってのベストのまとめ方なのですから。
紙にこだわらないのであれば、『Twitter』を利用することもおすすめですね。多くの人の目に触れることを意識すれば、インプットの質もアウトプットの質も上がるはずです。また、著者の名前も入れて本の感想などをツイートすれば、著者本人の目にとまるということも珍しくありません。著者本人から「いいね」をされたりリツイートされたりすれば、勉強意欲もさらに高まるはずですよ。
【粂原圭太郎さん ほかのインタビュー記事はこちら】
偏差値95の京大首席合格者が教える「知識がつく読書術」。絶対に “もくじ” から読み始めるべきワケ。
偏差値95・京大首席合格者の勉強法は何が違うのか? 聞いてみたら成果が出るのも当然だった。
【プロフィール】
粂原圭太郎(くめはら・けいたろう)
1991年6月13日生まれ、群馬県出身。実業家、作家、教育家、競技かるた選手など多くの顔を持つ。2010年に京都大学経済学部経済経営学科に首席合格し、現在は京都大学大学院法学研究科専攻。2014年から3年連続で『最強の頭脳 日本一決定戦 頭脳王』(日本テレビ)に出演。2016年に株式会社iMotivationsを設立し、粂原学園代表として教育業を営む傍ら、企業のコンサルティングなども務める。主な著書に『偏差値95、京大首席合格者が教える「京大読書術」』(KADOKAWA)、『頭の中を無限ループする“あの曲”を一瞬で消し去るすごい集中法』(飛鳥新社)、『京大首席合格者が教える「やる気」と「集中力」が出る勉強法』(二見書房)などがある。
【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。