「ちょっと付き合いづらいな」と感じる人がいるとき、友人関係であれば距離を置くことができますが、職場の人間関係の場合、距離を置きたくても難しいことが多いもの。その結果、職場に行くこと自体がストレスになったり、仕事中にモヤモヤして集中できなかったりして、仕事のパフォーマンスが下がった経験はないでしょうか?
本記事で職場にいる “困った人” の特徴を知り、うまく付き合う方法を探っていきましょう。
【ライタープロフィール】
澤田みのり
大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格を取得。現在は国際中医師合格を目指し毎日勉強している。勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。
All About|困った人との上手な付き合い方とは? 心地いい人間関係のコツ
ゴールドオンライン|不当な要求は拒否せよ!正義を振りかざして怒る人への対処法【産業医の解説】
Woman type|チームを蝕む「愚痴・不満が目立つ人」が劇的に変わるアマゾン流のマネジメントとは?【管理職1年目の壁突破法】
東洋経済オンライン|「文句ばかり言う人」から身を守る神対応7大コツ
アイデム 人と仕事研究所|第1回「何を言っても無反応なタイプ」
“困った人” 3タイプ。あなたの身近にいるのはどのタイプ?
付き合いづらいと感じる「困った人」にも、いろいろなタイプがいますよね。
コーチングを日本に導入した先駆者のひとりである平野圭子氏によると、付き合うのが難しい “困った人” は、次の3タイプに分けられるそうです。
- 「自分の非を認めない『攻撃的タイプ』」
- 「あげ足ばかりとる『不平不満タイプ』」
- 「自分の意見を言わない『沈黙タイプ』」
(カギカッコ内引用元:All About|困った人との上手な付き合い方とは? 心地いい人間関係のコツ)
たとえば、こんな人には要注意。「攻撃的タイプ」かもしれません。
- みんなが見ている前で執拗に相手を罵倒する
- 会議が思い通りに進まないと、物を机に叩きつけるなど八つ当たりをする
また、次のような人は「不平不満タイプ」の可能性があります。
- 口を開けば同僚の噂話や陰口ばかり
- 言葉のあげ足ばかりとる
そして、波風立てない言動をとっているように見えるこんな人にも気をつけてください。「沈黙タイプ」かもしれません。
- 説明しても反応がなく、話が伝わっているのかわからない
- 注意すると黙り込んでしまう
これらのタイプの人と関わらなければいけない場合、どうすればよいでしょうか。
次項から具体的に探っていきましょう。
「攻撃的な人」には弱みを見せない
攻撃的な人に出会うと、必要以上に萎縮したり、目を逸らして慌てたそぶりを見せたりしていませんか? もしかすると、そんな弱みを見せる行動は攻撃的な人の態度を助長させているかもしれません。
『ストレス社会で「考えなくていいこと」リスト』著書で、精神科医の井上智介氏も、そんな人の心理を次のように述べています。
その場をコントロールできたと感じ、自分が正しいと認められた気分になっているのです。
この「相手(場)をコントロールできた」と感じる気持ちを「自己効力感」というのですが、実はこれは、人間にとってかなりの快感です。
(引用元:ゴールドオンライン|不当な要求は拒否せよ!正義を振りかざして怒る人への対処法【産業医の解説】 ※太字は編集部が施した)
つまり、攻撃的な人は快感を得るため、さらなる行動に出てしまうわけです。
では、どのように対応すればよいのでしょうか。
たとえば、提出した資料の誤字について、ミス自体ではなく人格を否定するような異常なまでの怒られ方をされたとします。そういったときは冷静に相手の目を見つめ、胸を張って立ち、毅然とした態度を意識しましょう。
とはいえ、そんなに怒らなくてもいいじゃないですか! などと反発的な態度をとってはいけません。前出の平野氏によれば、彼らにとっては「敵対すること」が「喜び」。反発したら余計に相手に快感を与えかねません。
そこで平野氏は、あえて「合意点を見つけて応対する」ことをすすめます。すると相手は「あなたに反対するために、自分自身に反対しなくてはならなくな」ります。結果、相手を「混乱」させることができるのです。
(カギカッコ内引用元:All About|困った人との上手な付き合い方とは? 心地いい人間関係のコツ)
先ほどの例で言うと、「誤字があってすみません。おっしゃるとおりでした。ご指摘ありがとうございました!」と伝えて、コミュニケーションは終わりにするといいでしょう。相手と同じ土俵に立たないことが大切です。
「不平不満ばかり言う人」を否定しない
会話中のちょっとした言い間違いをいちいち指摘したり、ほめられている人の過去の失敗談をわざわざ言ってみたり。そんな態度の人に苦言を呈したせいで、相手の文句が余計に止まらなくなってしまったことはありませんか?
愚痴や文句ばかり聞いていると言い返したくなるものですが、余計に話が長引くおそれが。グッと堪えて、話を聞く姿勢を見せたほうが無難です。聞いている “ふり” でもよいでしょう。
元アマゾン ジャパン管理職で、『amazonのすごいマネジメント』の著者のひとりである太田理加氏も、「愚痴でも不満でも、一度全部話を聞きましょう」と述べています。
絶対やってはいけないことは、上から頭ごなしに否定したり、感情的に叱ったり、もしくは、なかったことのように受け流したりしてしまうこと。
これでは、信頼関係を築くことができません。(中略)
そして、一緒になって愚痴を言うというのも、もちろんNGです。
(カギカッコ内および枠内引用元:Woman type|チームを蝕む「愚痴・不満が目立つ人」が劇的に変わるアマゾン流のマネジメントとは?【管理職1年目の壁突破法】 ※太字は編集部が施した)
ここで語られるように、否定しないのはもちろん「共感しない」ことも大切です。
愚痴や文句に共感してしまうと、相手は「『自分の主張が正当なものと認められた』と判断し、言い続けるべきだと思い込んでしまう」と話すのは、“伝説の家庭教師”と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子氏。(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|「文句ばかり言う人」から身を守る神対応7大コツ)
「否定も肯定もできないなら、どうすれば?」と感じるかもしれませんが、岡本氏はその場合には下記を行なうよう提案しています。
- 「話をそらす」
- 「相手に『質問』をする」
- 「正直に『自分の気持ちを伝える』」
(カギカッコ内引用元:同上)
実際の場面に落とし込むと、たとえば次のような方法が考えられますね。
- 「私にはわからないな。ところで雨降るみたいだけど、傘持ってきた?」(話をそらす)
- 「では、あなたはどうしたらいいと思う?」(質問をする)
- 「批判的な話を聞くと気持ちが落ち込んでしまうから、そういう話題を避けるようにしているの」(自分の気持ちを伝える)
岡本氏いわく、特に3つめの「正直に『自分の気持ちを伝える』」に関しては「相手を責める」のではなく、「自分を主語に」するのがポイントだそう。(カギカッコ内引用元:同上)
会話するとき、お互いに自分の意見は正しいと思っているもの。相手を否定して自分の正しさを主張し、水掛け論になってしまったことはありませんか? 自分を主語にするときは “自分の正しさ” ではなく、“自分の気持ち” に主点を置くよう心がけましょう。
「沈黙する人」には反応の仕方を教える
「後輩に仕事を教えているけど、反応がなくてやりにくい……」
「注意したら黙り込んでしまって、意図が伝わっているのか不安だ……」
そう感じている場合、相手は “反応の仕方” がわからないのかもしれません。
人材育成に関する企業研修などを手がける、メンタルチャージISC研究所株式会社代表取締役の岡本文宏氏は、反応が薄い人に「反応することの大切さ」を教えることで状況が改善すると述べています。岡本氏自身、以下のような経験があるそうです。
(研修で)演習ワークのやり方を説明したあと、「分かりましたか?」と尋ねたのですが、受講生の誰からも「YES、NO」の返事がありませんでした。(中略)「リアクションをしてくれないと、みなさんが理解しているのかどうか分からない」と伝え、もう一度、理解しているのか否か、尋ねたところ、全員が「はい」と返事をしてきました。
(カギカッコ内含む引用元:アイデム 人と仕事研究所|第1回「何を言っても無反応なタイプ」 ※冒頭のカッコは編集部が補った)
筆者も以前、仕事の引き継ぎ時に担当者の反応が薄くて戸惑った経験があります。
「ここまで大丈夫ですか?」と聞いても反応が薄いので、「真剣な表情で聞いてくれているし、きっとわかっているのだろう」ととらえました。ですが、実際は伝わっていない部分も多く、引き継ぎに余計な時間がかかる結果に。「効率よく引き継ぎするために、不明点はつど教えてほしい」と伝えればよかったのかもしれないと、いまとなっては思います。
沈黙している本人からすると、普段から無反応でいることが当たり前なので、まさか自分が相手を困らせているとは思いもよらないかもしれません。
それならば、沈黙タイプの相手からの反応をスムーズに引き出すため、以下のような説明を加えるのも大切です。
- どうしてほしいのか伝える
- 「無反応」がどんな悪影響をもたらし、どんなリスクがあるのか伝える
相手の考えを想像するには限界があります。「自分はどう困っていて、どうしてほしいのか」を相手に知ってもらえれば、お互いに歩み寄ったコミュニケーションをとれそうですね。
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“困った人” のタイプに合わせた対処法を紹介しました。
みなさんが職場の人間関係で困ったとき、ぜひ本記事をお役立てください。