勉強しても覚えられない人向け「本当に効果的な繰り返し法」。○○をすれば正答率2倍!

繰り返し勉強している女性

「繰り返し勉強しているのに覚えられない……」
「せっかく覚えたことをすぐに忘れてしまう」

「何度も復習しているのに、学んだ内容が身についていない」と悩んだ経験は、多くの人にあるのではないでしょうか。時間をかけたのに成果が出ていないと、モチベーションが下がってしまいますよね。

本記事では “復習” に焦点を当て、「効果が出にくい繰り返し方法」と「効果の出る繰り返し方法」を紹介します。この記事を読み、正しい繰り返し方を実践すれば、勉強内容が身につきやすくなること間違いなしです。

【ライタープロフィール】
髙橋瞳
大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。

△「1ジャンルのみ」繰り返す→◎「関連する別のジャンルをミックス」して繰り返す

「ひとつの分野を繰り返し学習し終えてから、次の分野の学習に進む」という方法での勉強は、しないほうがいいかもしれません。

一見すると、ひとつの分野に集中して取り組むのは効果的に感じられますが、じつは効果がない可能性があるのです。

というのも、サウス・フロリダ大学のケリー・テイラー氏とダグ・ローラー氏が行なった研究で、興味深い結果が出ています。小学生の被験者を以下の2つの条件に分け、それぞれに数学に関する4種類の問題を解かせました。

  • ブロック練習条件
    同一カテゴリーに属する課題を連続して練習すること」
  • ミックス練習条件
    様々なカテゴリーに属する課題を順不同に練習すること」

その結果が以下です。

練習問題の正答率に関しては、ブロック練習の正答率(99%)はミックス練習の正答率(68%)を大きく上回っていました。一方で、1日後の事後テストでは、この結果は逆転しており、ミックス練習(77%)はブロック練習(38%)よりも2倍以上高い正答率に結び付きました。

(カギカッコ内含む引用元:現代ビジネス|その学習法は正しいか? 「うまくいっている」という幻想に要注意 ※太字は編集部が施した)

つまり、より長期的に記憶に残したいなら、複数の事柄を混ぜて学習したほうが効率的なのですね。

また、「学習中に関連性はあるが違う何かを混ぜる」と長期記憶に残りやすいと示した、別の研究結果もあります。(カギカッコ内引用元:ダイヤモンド・オンライン|反復学習よりも効果大! 学習に変化を取りいれる「インターリーブ」のすごさ

たとえば、行政書士の資格を取得するために勉強をしているとしましょう。憲法のなかには社会権、地方自治、内閣などの分類があります。その場合は、「社会権について1ページ読んだら、地方自治について1ページ読む」といった具合に、“つながりはあるけれど、違う分野” を混ぜて学習してみるのです。

身についている実感は湧きにくいかもしれません。ですが、異なる分野を混ぜることでそれぞれの違いを比較でき、理解を深めることができます。「繰り返しても定着していない」と感じる人は、ぜひ異なる分野を混ぜながらの学習を試してみてください。

さまざまな分野の参考書

ここで注意したいのが、あくまで変えるのは分野であり、参考書や教材はコロコロ変えないこと。

多種多様な参考書が売られているため、ついいろいろと試したくなってしまいますよね。しかし、複数の参考書を併用することは復習の妨げになることがあります。どこに何が書いてあったかがわからなくなるからです。

実際、東大生のなかには、教材を1冊に絞って勉強してきた人が多くいるそう。『東大思考』著者の西岡壱誠氏が、次のように述べています。

東大生は暗記する分量の多い理科や社会などの科目の勉強をするとき、同じ1冊の教科書を、何百回も読み込みます。(中略)教科書1冊を、覚えられるくらいまで何度も何度も読んでいるケースのほうが多いです。

(引用元:東洋経済オンライン|東大生が断言「正しい復習」こそ最強の勉強テクだ

参考書は特定のものに絞り、1冊を何度も繰り返すようにしましょう。

同じテキストを使って勉強している女性

△「覚えたての当日中」に復習→◎「忘れかけた数日後」に復習

効率のいい復習のタイミングについて考えたことはあるでしょうか。勉強したことをすぐに復習すれば安心できるという人も多いかもしれませんが、当日中に復習するのはあまり効果がない可能性が。

日本女子大学人間社会学部心理学科教授の竹内龍人氏が、復習に関する実験について次のように述べています。

同じ勉強をしたあと、その日に復習したグループAと、数日後に復習したグループBが、さらにしばらくたってからテストを受ける実験では、どちらの得点が高いと思いますか。直感的には、Aではないでしょうか。

この実験ではBの得点が明らかに高くなることがわかっています。

さらに同氏によると、「勉強から復習まで」と「復習からテストまで」の間隔が「1:5」の場合、「最も得点が高く」なったのだそう。(カギカッコ内含む引用元:ベネッセ教育情報|その日に復習をするのは非効率だった!? 「実験心理学」による効率的学習法

たとえば試験が30日後にある場合、勉強してから5日後に復習するといいということですね。

復習の際に日数を空けている様子

勉強すべき内容がたくさんあるなか、すべてを「1:5」で区切って復習予定を立てるのは面倒だと感じる人もいるかもしれませんが、ご心配なく。「1:5」について「厳密に気にする必要はありません」と、同氏は述べています。(カギカッコ内引用元:同上)

つまり、4日後であろうと6日後であろうと、数日後なら当日中の繰り返しよりも定着率が上がるのです。「1:5」にこだわらず、数日後の復習を心がけるだけでも、その効果は期待できます。

勉強したことをすぐに復習すれば、記憶できている内容も多く安心できるもの。ですが、効果を重視するならば、不安は覚悟のうえで数日空けて復習に取り組んだほうがよいのです。

さらに、世界記憶力グランドマスターの池田義博氏も次のように述べています。

復習というのは、ある程度忘れかけた頃に行うことにより、初めて記憶を強くする作用があるのです。

あまり忘却が進んでいない段階で復習しても脳が働く必要がないため、記憶が強化されません。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|記憶競技で生み出した速習法 ※太字は編集部が施した)

つまり、忘れかけた頃に繰り返すことにこそ、意味があるのです。

忘れかけている内容を復習している女性

池田氏は加えて、広い範囲を記憶する必要のある勉強では、全体をいくつかに分割し、「次のエリアに進んで少し記憶が薄れてきたときに、一つ前に戻って復習する」方法を提案しています(カギカッコ内引用元:同上)。この方法については、以前「STUDY HACKER」のインタビューで、分割したうちのひとつの範囲を「1ページ」とした場合の進め方をこう解説してくれました。

1ページ目を2回読んで2ページ目を1回読んだら、そのあとは「1歩下がって、2歩進む」の要領で読むのです。すると、読むページの順番は、「1、1、2、1、2、3、2、3、4、3、4、5……」というふうになります。これで、結果的にすべてのページを3回読むことになる。

(引用元:STUDY HACKER|“記憶力日本一” の男の記憶術「3サイクル反復速習法」「1分間ライティング」がシンプルだけどすごい。

こうすることで、ちょうど忘れかけたタイミングで復習ができるのです。

たとえば、日商簿記2級のテキストの20章分を2章ずつに分解し、ひとまとまりごとに繰り返しながら勉強するとしたら、こうなります。

  • 1回め:「1章・2章」
  • 2回め:「1章・2章」「3章・4章」
  • 3回め:「1章・2章」「3章・4章」「5章・6章」
  • 4回め:「3章・4章」「5章・6章」「7章・8章」
  • 5回め:「5章・6章」「7章・8章」「9章・10章」
    ……
    ……

このように、まとまった範囲まで学習を進めてから繰り返すことで、ちょうど忘れかけた内容の復習ができるはず。みなさんもぜひ、勉強した内容は「忘れた頃に繰り返す」のを心がけてみてはいかがでしょう。

***
せっかく時間をかけて勉強するのですから、効率よく身につけたいものですよね。本記事が学習に取り組むみなさんの助けになれば幸いです。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト