「空気が読めない」は脳科学で克服できる。自己嫌悪に陥ったとき試してほしい3つのこと

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「自分の発言で場が静まり返ってしまった」
「相手が迷惑そうな顔をしている。話しかけるタイミングを間違えてしまったようだ」

こんなとき、「自分はなんて空気が読めないんだろう……」と自己嫌悪に陥った経験はありませんか? もちろん思い過ごしの可能性もありますが、たびたび自分の振る舞いに落ち込んだり、後悔したりするのはつらいですよね。

それならば、空気が読める脳を鍛えてみるといいかもしれません。じつは、空気が読める・読めないにはある脳回路が関係しており、その脳回路はちょっとした工夫で鍛えられる可能性があるのです。自分の心の負担を減らすためにも試してみましょう。

脳科学で見る、「空気が読めない」の正体

大脳には「ミラーニューロン」というネットワークがあり、これが「空気が読む」ことに深く関わっている……というのが、脳科学的な考え方です。ミラーニューロンとは、ミラー(=鏡)のように働く脳神経細胞のこと。脳科学者である篠原菊紀氏によると、ミラーニューロンには相手の行動を見て自分がその行動をしているかのように働く性質があるのだそう。つまり、これが人間の共感力に深く関わっているというわけです。

そんなミラーニューロンがある大脳には、「他人の利益を考慮する意思決定の脳回路」があると、理化学研究所脳神経科学研究センターの中原裕之氏らによるチームが発見しました。

本来、人間の意思決定は自己利益(報酬)に基づいて行なわれるのですが、公の場では自己利益につながらない他者への利益が、意思決定に影響する場合があります。その際、この脳回路が他者利益と自己利益を統合し、利益の「脳内為替」を行なっているのだというのです。

実験では、fMRI(機能的磁気共鳴画像測定)を用い、自己利益のために意思決定をする際と、他者利益のために意思決定をする際とでは、脳活動の流れが違うことを特定。そして、その観測結果と社会的価値志向性テストの結果を連携させたことでわかった「社会性志向者(=空気が読める人)」と「個人主義志向者(=空気が読めない人)」との間には、脳回路の働きに違いがあることも明らかにしました。いわゆる空気が読める人は、自己利益の場合と同じ脳活動の流れが、他者利益のときにも強く働く傾向が見られたのです。

つまり、空気が読める人の脳内では、他人の喜びを自分のことのように感じられる、利益の「脳内為替」が活発に行なわれていると考えられます。

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では空気が読めない人が、空気を読める人のように脳を働かせるには、どうすればいいのでしょう。「空気が読めない自分を何とかしたい」と考える人に試してほしい、3つの方法をご提案します。

空気が読めない人に試してほしいこと1:空気が読める人の行動をコピーする

前出の篠原氏は、共感力に関わるミラーニューロンを鍛えるシンプルな方法として、空気が読めると思える人の行動をコピーすることを挙げています。ポイントは、コピーしたい相手をしっかり見ること。これにより、ミラーニューロンがより強く働きやすい状態になるのだそう。また、まねしようという気持ちが強いほど、ミラーニューロンは余計に強く働くのだと言います。

空気が読める人と全く同じ行動を取るのが難しい場合は、「あの人なら、この場でどういった行動を取るだろう」と想像するだけでも有効なのだそう。ミラーニューロンは相手の行動だけでなく、意図や感情も写し取る性質を持っているので、よく観察するだけでも他人の気持ちを理解したり、共感したりできるようになるそうですよ。

たとえば、職場で部下とうまく接することができず「空気が読めないことをしてしまった」と落ち込むことが多い場合。空気が読めると感じる上司や同僚は、どのように部下と接しているかよく観察してみましょう。

「あの部下を励ますときは寄り添うように優しく声をかけているが、こちらの部下は明るくサラッと一声かけるだけのほうがよさそうだ」「あの部下には特にこまめに声をかけているな。自分から主張しないタイプなので、意見を引き出そうとしているのかもしれない」など、空気が読める人の行動の意図を想像しながら観察してみてください。そうすれば、空気が読めなくて落ち込むことが減るかもしれません。

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空気が読めない人に試してほしいこと2:オウム返しトレーニングをする

脳神経外科医の築山節氏は、空気が読めなくて落ち込みがちな人にオウム返しトレーニングをすすめています。築山氏いわく、相手の話す内容を瞬時に理解できず、返事を考えるまでに時間がかかったり、こちらから話すタイミングを失ったり……など、会話に取り残されがちな人に、オウム返しトレーニングは有効なのだそうです。

ここで言うオウム返しとは、ただ同じ言葉をなぞることではなく、「これは、こういうことですね」と確認することを指します。会話の中ですべての言葉にオウム返しするのが現実的ではない場合も、そういう意識を持つことが大切。

たとえば上司から、「来週の会議の資料を作成しておいて」と言われたら、「わかりました」で終わらせるのではなく、「○日のチームミーティングの○○についての資料でよろしいですか」とオウム返しします。そうすると、会話についていくことができるだけでなく、自分が間違った解釈をしていないかを確認することもできるのです。

また、コミュニケーション総合研究所代表理事の松橋良紀氏は、オウム返しとはすなわち「相手の“脳内地図”を尊重すること」だと言います。脳内地図とは、ものの見方や考え方のこと。オウム返しによって相手の脳内地図が把握できるようになれば、よりいっそう、空気を読んだ振る舞いができるようになるでしょう。

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空気が読めない人に試してほしいこと3:周りを信頼する

空気が読めない自分を克服する基本は、周りをとことん信頼することだ――こう篠原氏は言います。空気が読めないと落ち込む人は、何かと自分を責めてしまいがちです。しかし、それよりも大切なのは周りを信頼することなのだそう。

これにも、脳科学に基づいた根拠があります。信頼ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」の分泌を促すと、相手の心をより読みやすくなることがわかっているのです。つまり、空気が読める(=相手の気持ちを理解する)ことと周りを信頼することは、つながっているのだということ。

「空気が読めない振る舞いをしたかも……」と思ったときも、「この人はこれくらいで怒ったりしない」「本当に注意すべきときは指摘してくれる人だ」など、相手を信じてみましょう。

また、オキシトシンの分泌を促すには、信頼できる人とゆっくり話す時間を設けたり、ペットとコミュニケーションをとったりするのが効果的とのことですよ。空気が読めないからと殻に閉じこもるのではなく、気の置けない相手とともに過ごすのがよさそうです。

そして、これは余談ですが、オキシトシンにはウソを見抜く力をつける働きもあるそう。そのため、オキシトシンの分泌が増えても信頼一辺倒になることはない、と篠原氏は言います。脳には「信じてよいもの・信じてはいけないもの」を見分ける力が備わっています。ですので、「空気が読めるようになりたいけど、信じて裏切られるのが怖い」という心配はいりませんよ。

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たとえ自分の気にしすぎであったとしても、空気が読めないことで落ち込むのはつらいですよね。心の負担を減らすために、3つのことをぜひ試してみてください。

文 / かのえかな

(参考)
EconomicNews|「空気読めない」は脳回路によって決まる。理研が回路特定
篠原菊紀(2012),『「しなやか脳」でストレスを消す技術』,幻冬舎.
東洋経済オンライン|信頼される人は「オウム返し」で聞いていた!
築山節(2009),『脳から変えるダメな自分 「やる気」と「自信」を取り戻す』,NHK出版.

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