「人間関係を崩さない人」が大切にしている3つの伝え方。断るときは○○を言えば角が立たない

人間関係が円滑な職場

「頼まれ事を断ったら、嫌われるのではないかと心配……」
「後輩の指導をしたいが、関係性が壊れないか不安……」

仕事を円滑に進めるために、できることなら職場の人とはいつでも穏やかに接したいもの。しかし時には、後輩に少し厳しい指導をしたり、同僚から頼まれた仕事を断ったりと、ネガティブなコミュニケーションも必要ですよね。

そんなとき、いい関係をその後も保ち続けるにはどんな伝え方をするとよいのでしょうか。今回は、さまざまな場面で人間関係を崩さないために役立つコミュニケーション術をご紹介します。

【ライタープロフィール】
髙橋瞳
大学では機械工学を専攻。現在は特許関係の難関資格取得のために勉強中。タスク管理術を追求して勉強にあてられる時間を生み出し、毎日3時間以上勉強に取り組む。資格取得に必要な長い学習時間を確保するべく、積極的に仕事・勉強の効率化に努めている。

依頼を断るときは「代替案」や「デメリット」を伝える

取引先からの相談、同僚からの依頼など、毎日の業務で何かを頼まれる機会はよくあるもの。引き受けられるならいいのですが、どうしても無理な場合、「断ったら角が立たないか……」と気になってしまいますよね。

そんなとき、人間関係を崩さない人は “あること” を意識しながら上手に断っているようです。コミュニケーション研究家の藤田尚弓氏は「丁寧に断る時の基本公式」があるとし、次のように定義しています。

残念な気持ち + できない理由 + 代わりの案

(カギカッコ内および枠内引用元:All About|ビジネスでの上手な断り方!メールや電話などでの丁寧な断り方【例文あり】 ※太字は編集部が施した)

たとえば、仕事に追われているタイミングで上司から「手伝ってほしい業務があるんだけど……」と声をかけられた場合、次のような返答が考えられます。

いつもお世話になっている◯◯さんに、ぜひお力添えさせていただきたいところではあるのですが、(残念な気持ち)
来週末までにプレゼンテーション資料をつくらなければならず、いまは追加の仕事を引き受けることが難しい状況です。(できない理由)
資料をつくり終わった再来週であればお受けできるのですが、いかがでしょうか。(代わりの案)

冒頭で、仕事を受けたいのに応じることができない残念な気持ちを表明し、相手への配慮を伝えます。次に断る理由を説明することで、相手に納得してもらえる可能性が高まるでしょう。最後に、代替案を伝えれば、「断る理由がないタイミングであれば、応じる気がある」と示すことができるのです。

この伝え方なら、今後の人間関係に悪影響を及ぼす可能性は低くなりますね。最大限の配慮を添え、相手の気持ちを害さずに断ることができます。

依頼を丁寧に断っている男性

加えて、藤田氏は「『デメリット』を伝える断り方」も提案しています。(カギカッコ内引用元:同上)

いつも無理な要求をしてくる相手の場合、何度も同じ方法で断るわけにもいかないもの。そんなときには、相手のデメリットになることを理由にするのです。「引き受けることで相手に迷惑がかかってしまう」と伝えることで、自分の落ち度であることを示しながら謙虚に断ることができます。

筆者も仕事を断る際に、このデメリットを伝える方法を実践してみることにしました。「いまは力不足なので、お引き受けするとかえって足を引っ張ってしまいそうです」と言ってみようと考えたのです。

このとき感じたのが、代替案を出すのがとても重要だということ。自分の力不足を理由にすると、相手からの励ましや「期待している」といった言葉によって、説得されてしまう可能性もあるためです。

そこで、「いまは力不足なので、〇〇の能力が身についてから……」などと代替案を出すと、同時に「将来的には、仕事を受けることを考えている」という意思を示せて、納得してもらうことができましたよ。

依頼を断っている女性

指導するときは「具体的な説明」と「目的」を意識する

「後輩に指示を出したけど、やってほしかったこととは違う結果が返ってきた……」なんてことはありませんか? その原因は、説明の “曖昧さ” にあるかもしれません。説明が曖昧だと、相手から「あの人の指示はよくわからない」と不信感をもたれるきっかけにもなってしまうかも。

人材育成・組織開発コンサルタントの和泉祐子氏は、部下の指導法についてこう語ります。

雑な指示を出せば、雑な結果しか戻ってきません。5W1Hに基づいて、可能な限り具体的に言語化しましょう。

(引用元:ZUU online|若い世代の特長を生かす指導法 ※太字は編集部が施した)

たとえば後輩に指示を出すとき、次のような表現では十分だとは言えません。

この資料を参考に、今週中に取引先ごとの見積比較書を作成してください。

この指示では、どんなグラフで比較すればいいのか、どの数値を参照すればいいのか……と、部下を混乱させてしまうかもしれません。

和泉氏の言うように「5W1H」に基づいて指示を出すなら、以下のような具合になります。

社内でのソフトウェア導入の検討のための資料が必要なので(Why)、今週木曜日の15時までに(When)、A社、B社、C社のソフトウェアの見積比較書を作成してください(What)

Excelを使って、1ページで各社の金額の比較ができる表にしてほしいです。金額は、先週各社から送られてきた見積もり金額の合計欄にある数字を利用してください。作成方法の例になる資料があるので、これを参考にしてください(How)

和泉氏いわく、「大量採用で組織に人があふれていた昭和の時代」とは異なり、現代は「常に最低限の人数で、ギリギリの状態」。いち早く部下や後輩に成長してもらうには、「とにかく正解を先に示す」ことが近道だとのこと。(カギカッコ内引用元:同上)

特に、まだ仕事に慣れていない後輩に指示をしても、彼らは具体的な作業イメージまではもてない可能性がありますので、細かく具体的な指示が必要です。時間の無駄や後輩からの不満を生まないために、相手に合わせた丁寧な説明を心がけましょう。

丁寧に指示を出しているビジネスパーソン

また、「ミスや問題点を後輩に指摘したら、関係がぎくしゃくしてしまった……」という経験がある方もいるかもしれません。人間関係の問題となりやすいのが部下や後輩へのフィードバック。時には厳しい指摘もしなければならない立場上、上司・先輩はどうしても嫌われる役割になりやすいですよね。

組織開発コンサルタントの守屋智敬氏は、好かれるリーダーになる言葉遣いの具体例を、次のように挙げています。

× ここ抜けてるよ。これで3回目だよね。

○ 間違ってしまいがちなところだけどこの抜けがあると、お客様が困ると思うの。

(引用元:日本経済新聞|好かれるリーダーになる、後輩・部下へのモノの言い方

上の「×」と「○」のせりふの違いは、間違うとどうなってしまうかを伝えているかどうかです。この例からわかるように、「仕事のやり方を修正してほしい」というとき、相手の反感を買わないためには、どのような目的での修正なのかをあわせて説明することが効果的。そうすれば、「ミスを指摘された」という印象よりも、「目的のための修正なのだ」とメリットが強く伝わり、納得してもらいやすくなるのです。

たとえば、次のNG例よりもOK例のほうが、そう指摘する理由が伝わりやすいうえ、「相手のためを思って言っている」という印象が強くなりますよね。

【NG例】
「会議中にはメモをとって」

【OK例】
「会議中にメモをとると眠くなりにくいし、前回の内容を聞かれたときも答えやすいよ」

このように具体的な説明と相手に寄り添ったフィードバックを行なえば、「あの先輩は丁寧に業務の説明をしてくれるよい先輩だ」と後輩からの信頼を得られるはずです。

フィードバックをする女性

相談に乗るときは「ひとくくりにしない」「アドバイスを避ける」

「相談されたとき正直にアドバイスをしたら、相手の気分を悪くさせてしまったみたい……」という経験はありませんか? 場合によっては、ふとした発言で相手を傷つけてしまう可能性も。自分を信頼して相談をしてくれた相手との関係は、大切にしていきたいですよね。

相談の乗り方のコツについて、日本メンタルアップ支援機構代表理事の大野萌子氏は、次のポイントを挙げています。

  • 「ひとくくりにしない」
    「もっと苦しんでいる人がいる」「みんなもそうだから」などと一般化せず、「その人自身の問題として、相手にフォーカス」する
  • 「アドバイスは極力しない」
    「基本は、相手の話を聞くこと」がメインと考える

(カギカッコ内引用元:東洋経済オンライン|「相談」で相手を傷つけないための3つの心がけ ※太字は編集部が施した)

たとえば、「3年目になるのに、事務処理ばかりで大きな仕事を任せてもらえない」という悩み相談を受けたとします。受け答え方のNG例とOK例がこちら。

【NG例】
「みんな3年くらいは下積み期間があって、ようやく少しずつ仕事を任せてもらえるようになるんだよ。それでも気になるようであれば、上司に伝えてみたら?」

【OK例】
「3年も同じような仕事ばかりだとつらいよね。何か打開策として考えていることはあるの?」

NG例は、みんなもそうなのだからと、相手の悩みを軽視してしまっています。一方、OK例では相手に寄り添い、話を聞こうという姿勢を示していますね。

相談をされると、どうしてもNG例のようなアドバイスをしがち。ですが、大野氏の言うようにまずは話を聞くことが大切。自分の考えを伝えるのは、相手から意見を求められてからでいいのです。

「あの人に相談すると気分がすっきりする。頼れる先輩だ」そんな印象をもってもらえるような、コミュニケーション上手を目指してみませんか?

***
「頼まれ事を断るとき」「指導するとき」「相談に乗るとき」の3種類の場面に分け、コミュニケーション術をご紹介しました。ぜひこの記事を活用して、円滑な人間関係を築いてくださいね。

会社案内・運営事業

  • 株式会社スタディーハッカー

    「STUDY SMART」をコンセプトに、学びをもっと合理的でクールなものにできるよう活動する教育ベンチャー。当サイトをはじめ、英語のパーソナルトレーニング「ENGLISH COMPANY」や、英語の自習型コーチングサービス「STRAIL」を運営。
    >>株式会社スタディーハッカー公式サイト

  • ENGLISH COMPANY

    就活や仕事で英語が必要な方に「わずか90日」という短期間で大幅な英語力アップを提供するサービス。プロのパーソナルトレーナーがマンツーマンで徹底サポートすることで「TOEIC900点突破」「TOEIC400点アップ」などの成果が続出。
    >>ENGLISH COMPANY公式サイト

  • STRAIL

    ENGLISH COMPANYで培ったメソッドを生かして提供している自習型英語学習コンサルティングサービス。専門家による週1回のコンサルティングにより、英語学習の効果と生産性を最大化する。
    >>STRAIL公式サイト