“読んで終わり” にならない最高の紙習慣! 「KWL表」で読書の学びが圧倒的に深まるワケ。

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必要に迫られて本を読むものの、知識がいまひとつ身につかない……。いつも本が “読んで終わり” になっている気がする……。そんな悩みを抱えている人はいませんか?

せっかく本を読むのであれば、書かれてあること全部とは言わないまでも、身になる知識を何かしら獲得したいもの。

そこで今回は、教育の世界で使われているという「KWL表」を読書に応用する方法について考えてみました。実際にやってみたら、たしかにその効果を実感できましたよ。

「KWL表」が読書にも使える納得の理由

今回取り上げる「KWL表」とは、アメリカの教育学者ドナ・オーグル氏が1986年に提案したものです。教科書やテキストを効果的に読ませるための教育の手法として考案されました。

KWL表の「K」「W」「L」とは、それぞれ「What I know(知っていること)」「What I want to learn(知りたいこと)」「What I learned(知ったこと)」のこと。表は、ノート等の紙面に枠線を引いて作ります。学習前にK列(自分がすでに知っていることは何なのか?)とW列(これからの学習を通して知りたいことは何なのか?)を埋め、学習後にL列(今回の学習を通して知ったことは何なのか?)に書き込んで完成となります。

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K列に「自分がすでに知っていること」を書き出すのは、スタート時の自分の知識(=予備知識)を明確にするためです。これから学習していこうとする範囲について(あるいはそれに関連する範囲について)自分がどれくらいの知識を持ち合わせているのか、あるいはどの程度の知識しか持っていないのかを、初めに自覚しておきます。

W列に「知りたいこと」を書くのは、目的意識を高めるため。たとえば「今日のラッキーカラーは赤」という情報を聞いたうえで街を歩くと、それまで気づきもしなかった赤色(ポストや看板や標識など)が目に入ってきやすくなったりしますよね。これを心理学用語で「カラーバス効果」といいますが、事前に「こういうことを知りたい」と明らかにしておくことで、学習中に、それに関連する内容に自然と目が向きやすくなるのです。

そしてL列に「知ったこと」を書くことで、学習前から自分がどれだけ知識を得たのか、「知りたいこと」を学習を通してきちんと知れたかが言語化されて表現されます。K~Lが1枚にまとまるので、学習内容をしばらく経ってからざっと振り返りたい場合にも役立つでしょう。

そして、勉強も読書も「新しい知識を手に入れる」という点では変わりませんよね。教育の世界で使われているこの手法、読書にも使わない手はありません!

「KWL表」を読書で試してみた

というわけで、読書に「KWL表」を使うとどうなるのか実践してみました。

今回使った書籍は、現役東大生でライターとしても活躍する西岡壱誠氏が手がけた『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)。2018年に発売され、書店等でも話題になっていたことは目にしていましたが、筆者はまだ読んだことがありませんでした。

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まずは、左側のK列「知っていること」を書いていきます。今回は、本の表紙や帯、口コミから知り得たこと、また西岡氏に関して筆者が事前に知っていた情報などを書き出してみました

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【※内容】
西岡氏は、偏差値35の状態から東大に合格した
西岡氏は読書をして学力を上げた
本を読む力は、意図的にアップできる(らしい)
読むとプラスになる書籍がある(らしい)
『東大読書』が各方面で絶賛されている

次に、真ん中のW列「知りたいこと」を書き出していきます。主に、先ほど書いたK列から想起される内容となりました。

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【※内容】
なぜ西岡氏は東大に合格できたのか?
読書をするだけで本当に学力は上がるのか?
読書力を後天的にアップさせることは可能なのか?
「読むとプラスになる書籍」とはどんな本なのか?
『東大読書』が絶賛されている理由とは?

完成したKWL表がこれ!

こうしてK列「知っていること」とW列「知りたいこと」を埋めたうえで、本を読み進めていきます。W列に書いた疑問に対する回答となりそうな記述を見つけたら、あとでL列「知ったこと」にまとめるために別紙へメモ書きしていきます。

最後まで読破し、L列に書き込みました!

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【※内容】
東大の試験は、知識の量を増やすだけではなく「自分で考える力」(=知識を応用する力)を重視している。以前の西岡氏は読書する機会はほとんどなかったが、教科書やテキストを理解する練習として読書を始めた結果、「自分で考える力」をアップさせられた

書籍を読んでいるとき、普通の人は書かれている内容をそのまま受け入れがち。一方、東大生の大半が、読書をするときは会話形式(「どうしてこうなるんだろう?」「これは本当にそうなのだろうか?」と、書籍の内容に疑問を挟む)で行なう。それが「自分で考える力」を養うようだ

装丁に書かれている内容から書籍の内容を推測する『装丁読み』と、同じテーマを扱った2冊の書籍を同時に読んで内容を見比べる『パラレル読み』を行なうと、さまざまな知識が身につきやすくなる

大事なことは時代や状況によって刻々と変化する。迷う場合は、いま売れている本(※多くの支持を集める主張や意見を知っておく)や古典(※多くの作品の基礎になっており、時代を超えて語り継がれる説得力もある)を選ぶとよい

西岡氏の経験に基づく読書術が、例を交えてわかりやすく説明されている。現役東大生の読書法はシンプルに誰もが知りたいものだが、やはり実践に結びつけやすい方法が紹介されているのが理由ではないか?

この『東大読書』には、西岡氏の経験に基づいた読書術がわかりやすく記されており、大いに参考になる箇所が多々ありました。でも、筆者のこれまで通りの本の読み方だったら、もしかしたら文字通り “読んで満足” して終わっていたかもしれません。

しかし、KWL表は学びを(強制的に)アウトプットできる仕組みです。KWL表とともに読書をしたことで、学びの結果を手元に言語化して残せたことは何よりも大きかったように感じます

実際、『東大読書』には「以前に読んだ本の大まかな内容を語るのは簡単だが、詳細な内容を語るのは難しい」という記述がありました。そのとおり、KWL表を作成していなかったら、本の内容をすぐに忘れてしまっていたかもしれません。しかし、こうしてKWL表を作ったことで、それを見返せば本の肝要な部分を思い出せるようになりました。

「本を読みっぱなしにしない」という点で、このKWL表は最適なツールだと思います!

***
1枚の紙とペンを使うだけで、読書の学びが大きく深められます。ぜひKWL表を試してみてください。

(参考)
Wikipedia|KWL表
西岡壱誠 (2018),『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』, 東洋経済新報社.

【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。

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